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「瀬田ミナコのシネまんぷく」第10回:美味しい料理でお腹も心も満たされる!『バベットの晩餐会』

共感シアター「KIQ STATION」のキャスターとしてもお馴染み、女優の瀬田ミナコによる連載コラム。毎回「映画」と「食」をテーマに、ゆるゆるとお届けします!

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1987年のデンマークの映画で、第60回アカデミー賞の国際長編映画賞も受賞している作品です。

学生の頃、授業で鑑賞した作品でとにかく料理が美味しそうで、良い香りがしてきそうな印象深い映画でした。その時は部分的にしか観れなかったので全編見てみる事にしました。

舞台は19世紀のデンマークの小さな村です。そこに暮らす、神に仕える2人の姉妹の生き方と、メイドのバベットのお話です。

前半は姉妹の若い頃の話で、プロテスタント、ルター派の穏やかな日常と、2人に訪れ、過ぎ去っていった恋愛の様子が描かれています。そして後半は、フランスの暴動により、家族を含め全てをなくしたバベットが姉妹のもとにやってきます。彼女は実はフランスの最高級レストラン、カフェ・アングレの女料理長だったのですが、物語の終盤までそのことは誰も知りません。姉妹の元にやってきて14年が経った頃、バベットの宝くじが当たり1万フランを手に入れます。バベットはそのお金を使い、姉妹の父である牧師の生誕100年の集会にフランス料理を振る舞うのです。

全体を通して静かで、悪い言い方をすると地味な印象の映画です。しかし、とにかく料理シーンが素晴らしいのと、ルター派の信仰の温かさに、見た後には心がほっこりする良い映画でした。まさに、美味しい料理をお腹いっぱい食べて満たされたような気持ちになります。

途中でてくる村の人たちの食事にはびっくりしました。硬そうなパンを水で戻しビールで煮たスープを食べていて、正直に言うととても不味そうでした。途中「舌は人の誉れと栄光と偉業を称えるもの」と言うようなセリフが出てきます。美味しい料理を味わおうとする事は、この人たちの信仰に反するために食文化が発展しなかったようです。ルター派の特徴など調べてみましたが数多くありすぎて、正しい詳細を得られなかったのですが、この作品のなかでは、質素に禁欲的に暮らしているように感じました。

ですからバベットが晩餐会の為に運び込む、色とりどりの食材や食器をみて、村の人たちはびっくりします。さらには海亀や大量の鳥達が食材だと知り、とんでもない事になった、悪魔の食事を食べさせられて魂を危機に晒す事になったと、騒ぎます。美味しそうな料理と、それにびびりまくる村の人達とのギャップがこの映画のとっても面白い所です。

この映画の山場はなんといってもバベットの調理シーンです。手際のよい調理の様子はずっと何度でもリピートして見れるクオリティの高さです。暗くて狭い台所で次々に12人分のコース料理を生み出す姿はかっこよく、生き生きとしていて、最高級フレンチの料理長の風格が出ています。

Babette's Feast_002

用意が整い、遂に晩餐会が始まりますが、将軍を除く皆は信仰がありますので、決して料理についての話はしないし、そもそも味わわないことを誓っています。しかし料理を口にした表情やがっつき方から美味しいのは一目瞭然です。この表情だけで味が想像できてしまう食事シーンは必見です!

Babette's Feast_007

怯えていた皆ですが、美味しい食事は食べる人の心を自然と優しく豊かにします。歳をとり口論ばかりだった皆もお互いを許し合い、牧師との思い出を語り合い、今までにない良い集会となります。料理は魔法のような力を持っているんだなぁと思いました。

ラストシーンでバベットが言う「貧しい芸術家はいないのです」という言葉が印象的です。お金を手にした時、色んな選択肢があったと思いますが、姉妹の元に残り、食べてもらいたい人達に自分の最高傑作を届ける事を選んだバベットは、芸術家の鏡のような気がしました。

さて、今回は晩餐会のなかでもインパクトのある料理「ウズラのパイ詰め石棺風」を作りたいと思います。この料理を食べて将軍がカフェ・アングレの思い出話をする大事な料理です。

バベット アプリ_200508_0017

さすがにうずらの丸焼きを料理するのは無理そうだったので、鳥もも肉で作りました。あの丸焼きのフォルムが再現したかったのですが残念です、、

まずはパイ生地を焼きます。映画と同じようにコップで型を抜いて重ねていきます。

バベット アプリ_200508_0001

卵黄を塗ったらオーブンに入れてスイッチオン!上手くいくかドキドキです。

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思ったよりちゃんと膨らみました!

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具材はもも肉だけでも良かったのですが、寂しいので、余っていた野菜も適当に放り込みます。焼き色をつけたら、赤ワインで少し煮て、デミグラスソースを少量絡めておきます。

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焼き上がったパイの中に具材を詰め、最後にお皿にデミグラスソースを添えて完成です!

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映画に出てくる物ほどお洒落には出来ませんでしたが、味は美味しかったです!ほんのり甘くバターが香るパイ生地と、デミグラスソースの相性が抜群でした。

いつか本物の高級なフランス料理食べてみたいです。

 

『バベットの晩餐会』の瀬田ミナコ的評価は、、、

星3.8!!!

名称未設定-1 名称未設定-1 名称未設定-1 3.7

 

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今回取り上げた作品はコチラ!

監督:ガブリエル・アクセル
キャスト:ステファーヌ・オードラン、ビルギッテ・フェダースピール、ボディル・キュア

配給:コピアポア・フィルム

公式サイト:http://mermaidfilms.co.jp/babettes/

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瀬田ミナコ(Acstar所属)
1996年4月3日生まれ 東京都出身
出演作品:映画「ゆずりは」「不能犯」(2018)
今後の公開予定作品:映画「種まく旅人〜華蓮(ハス)のかがやき〜」
その他:共感シアター「KIQ STATION」でキャスターとしても活躍中
Acstar:http://acstar.jp/talent/minako_seta.html
Twitter:@minako_seta

 

『瀬田ミナコのシネまんぷく』これまでの連載記事はこちらから!
https://moviemarbie.com/special/cinemanpuku_index/

 

※瀬田ミナコが出演中の「KIQ STATION」アーカイブ動画はこちら!