「ムービーマービーアワード2021」ノミネート作品⑭『空白』古田新太×松坂桃李の「ご近所サスペンス」は、その超展開に唖然、そして感動
ムービーマービーが読者の皆様と共に毎年ベストな1本を決める最もユーザーフレンドリーな映画賞「ムービーマービーアワード」。今回は、昨年末からTwitterで募集した作品と、ムービーマービー編集部が選出したノミネート作品、計14本の中から今年度の「ぜったい面白い映画大賞」を決定します!
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ノミネート作品⑭
『空白』
古田新太×松坂桃李の「ご近所サスペンス」は、その超展開に唖然、そして感動
空白の魅力は「ご近所」にあります。
アナタが寝起きして、通勤して、仕事して、帰って、食べて寝る。その日々の生活の中に、どれ程のドラマが隠されているでしょうか?
日々楽しい、
波瀾万丈ですわ、
とか言ってる人でも、お金を払っても人が見たい程かと言われると「いや、さすがにそこまで、、」となるのではないでしようか?
「空白」は、そんな日常の中の、ある限定された地域「ご近所」に住まう人たちの間で突如巻き起こる鮮烈な人間ドラマです。
ご近所ですから、皆さんの周りを想像してもらえればわかる通り、まぁ普段は笑顔の普通の人しか出て来ません。
ただ一人だけちょっとキレやすいお父さん(古田新太)がいまして、その娘(伊東蒼)がスーパーで万引きしたと疑われ、追いかけた店長(松坂桃李)から逃げた店の前で車に撥ねられて死んでしまう。
観てるこっちも決して受け止められない光景ですが、コレははじまりにすぎません。
悲嘆に暮れたそのお父さんは、店長はもちろん、色んな人に嫌疑をかけ始める。
「うちの娘本当に万引きしてたのか?」
「オマエ、娘になんかイタズラしただろ」
「学校でイジメにあってたんじゃないか?」
娘を想う気持ちはわかりますが、とにかくしつこい。このプレッシャーが、「ご近所」というのんびり空間を、少しの油断もならないサスペンス空間に激変させます。
(本当に万引きしたかどうか微妙にわからないというのもこの物語のポイントです。)
人って、焦ったり、責められたりすると全然違う性格が出てくる人、まあ多いですよね。さっきまでニコニコしてた人が逆ギレしてきたり、こっちの落ち度を攻撃してきたり、何が気に入らないのか盛んに陰口を叩いて貶めようとする人もいますね。
この映画はそういう普通の人の中にあるダークサイドが現出する様子を描きます。
更に、TVのワイドショーがこのご近所にズカズカ入ってきて、状況を混乱させ、本人が思ってる以上に相手は傷つき、分断が加速していきます。
最初の何気ない感じからすると超展開、つまり「お金を払っても観たい」映画的日常が現れるのです。
そして、さらにびっくりなのはそんな地獄絵絵図を見せつけられるのに、最後はほとんどの人は感動の涙に打ち震えてしまうという事ですね。
この作品はそもそも「イントレランス」というタイトルだったと聞いたことがあります。ハリウッドの先駆的プロデューサーのG.W.グリフィスの伝説的超大作を思い起こさせるタイトルですが、「イントレランス」は「不寛容」の意。
きっと、スターサンズ作品の例にもれず、現代のある側面を切り取っている言葉でしょう。
「空白」というタイトルの意味にも通ずるものがありそうです。
脚本・監督を務める吉田恵輔がこれまでの人物描写にさらに磨きをかけ、スターサンズの河村光庸プロデューサーの問題意識と向き合った、マジックとでもいうべき傑作が「空白」だと思います。
【キャスト】
古田新太、松坂桃李、田畑智子、藤原季節、趣里、伊東蒼、片岡礼子、寺島しのぶ
【スタッフ】
監督・脚本:吉田恵輔
音楽:世武裕子
企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
プロデューサー:佐藤順子
撮影:志田貴之
制作プロダクション:スターサンズ
撮影協力:蒲郡市
配給:スターサンズ/KADOKAWA
製作:2021『空白』製作委員会
(C)2021『空白』製作委員会
公式HP:kuhaku-movie.com
★応募はこちらから!!
投票期間:1月17日(月)~2月4日(金)
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