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【あなたの勇気を呼び覚ます! 強くて魅力的な女性キャラクター特集】#10 『ミス・アメリカーナ』のテイラー・スウィフト(番外編)

強くて魅力的な女性キャラクター特集 #10

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映画・ドラマライターの伊藤万弥乃です。この特集では「あなたの勇気を呼び覚ます! 強くて魅力的な女性キャラクター特集」と題して、やる気が出ない時、スカッとしたい時、どんな人でも楽しんでもらえる映画をご紹介していきます!

ドキュメンタリー『ミス・アメリカーナ』世界の歌姫テイラー・スウィフト

今回ご紹介するのは、世界中で愛される歌姫テイラー・スウィフトに密着したドキュメンタリー『ミス・アメリカーナ』です。女性“キャラクター”ではありませんが、リアルな側面を映したドキュメンタリーからも学ぶべきことがあると思い、この映画を選びました。

筆者はテイラー・スウィフトの熱狂的ファンというわけではなく、高校生の時に登下校中に聴いていた程度。久しぶりに聴き始めたのは、昨年末です。そのきっかけとなったのは、5年ぶりの来日公演で話題となっていたツアーの映画『Taylor Swift | The Eras Tour (Taylor’s Version)』。その興行収入もニュースに取り上げられるほどで、行かぬわけにはいかない!と思い、劇場に足を運びました。

鑑賞後はノスタルジックな気分に浸るためにテイラーの昔の曲から聴き直し、春には『Taylor Swift | The Eras Tour (Taylor’s Version)』を配信でも観て、他にもコンテンツはないのかと調べていたところ『ミス・アメリカーナ』を見つけました。

ひどく重くのしかかるプレッシャーや期待を背負って曲を生み出し続けること、そしてファンが満足するパフォーマンスも披露しなければならない歌手という職業は、本当に大変であることは想像していましたが、このドキュメンタリーを通してその世界が想像をはるかに超えてハードであることを知りました。

歌手としてだけではなく一人の人間として、個人的な恋愛について噂されることもあれば、政治について問われることもあります。一つの行動で世界を動かすことも難しくありません。本作には、そんな苦悩の中にいる彼女の力強さを映し出しているシーンもいくつもあります。

 

歌姫テイラー・スウィフトの曲作りから感じる強い心

「子供のころからの倫理観は『良い人と思われること』」

そう語りながらピアノを弾くテイラーの姿から始まる本作。その信念をどう打破することができたのかが本作のテーマとも言えるでしょう。きらめくライトの中で堂々と立ち、歓声を浴びている姿から、静かなタクシーの中で余韻に浸っている姿にすぐに転換されるシーンには、「テイラーは普通の女性でもあるのだ」と感じさせられました。

“世界的歌姫”ともなれば、常に過剰なファンやパパラッチに追われ、私生活が丸見えになって言われ放題になってしまう立場。性的暴行被害で法廷に立った時の感情や、カニエ・ウェストにひどいことを言われた時のどうしたらいいかわからないという表情、政治的な発言をしようと決意する瞬間まですべて記録されています。普段私たちが見ることができるのは、ステージの上で輝く彼女や、テレビや雑誌で“歌手”として存在している姿だけ。この映画でもテイラー・スウィフトのすべてが映されているわけではありませんが、常に勇敢な気持ちだけではなく、悩みやひどく傷ついた経験まで垣間見ることができます。

そんな中で思いをぶつけることができるのは、やはり曲作り。傷ついて、現実を自分の手で変えることはできないと思っても、「曲作りは自分次第」と語っています。一つでも自信を持てるものがあると、それが自分の軸となって強くなることができるし、人々も惹きつける。デビュー前から、30代を迎えようとしているテイラーの今までを振り返り、一視聴者として勇気と強さをもらうことができました。

“良い子”であった過去とそこから脱した現在、スウェット姿で家族や友人と過ごすテイラーとステージ上でファンの歓声に包まれるテイラー、曲作りの過程とステージで披露される完成した曲。この比較がより彼女の人生に深みを与えており、さらに様々な経験を重ねて声にもより力強さも出ているように思います。“良い子”から抜け出せた今だからこそ、このようなドキュメンタリーを作って、当時感じたことや思っていることを赤裸々に語ることができたのでしょう。

これを観たら絶対にテイラーの楽曲を聴きたくなるはず。アルバム『folklore』の楽曲をエピソードを交えながら披露する『folklore:ロングポンド・スタジオ・セッション』や、最初に紹介した『Taylor Swift | The Eras Tour (Taylor’s Version)』も併せて観てみると、より深く彼女のことを知ることができるかもしれません。

 

 

『ミス・アメリカーナ』
2020年製作/85分/アメリカ

出演:テイラー・スウィフト

監督:ラナ・ウィルソン
製作:モーガン・ネビル、ケイトリン・ロジャース、クリスティン・オマリー
撮影:エミリー・トッパー
編集:グレッグ・オトゥール、リンゼイ・ウッツ、ポール・マーチャンド、リー・ロッシュ、ジェイソン・ゼルデス
音楽:アレックス・ソマーズ

Netflixで視聴する→こちら

 


伊藤万弥乃(いとうまやの)
海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。
執筆記事:https://linktr.ee/mayano

ブログ:https://ladybird99.com/

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