『ヤクザと家族 The Family』藤井道人監督&河村光庸EP登壇、大ヒット御礼トークショーレポート
『MOTHER マザー』『新聞記者』など話題作を世に送り出すスターサンズと、日本アカデミー賞6部門受賞に輝いた『新聞記者』のスタッフが再集結して新たに描く映画『ヤクザと家族 The Family』が1月29日(金)より公開、多くの方々に作品を観て頂きムーブ―オーバーでの公開もきまり、全国の劇場でロングラン上映中。
今回、本作でメガホンをとった藤井道人監督と、スターサンズの河村光庸エグゼクティブプロデューサーによるトークイベントが実施された。
藤井道人監督、河村エグゼクティブプロデューサーの制作スタッフのみの登壇ということにも関わらず、発売開始数時間で完売となった本イベント。未だ多くの人たちに注目され、ロングラン上映中の衝撃作『ヤクザと家族 The Family』の初の対面でのイベントに、雨にもかかわらず多くのお客様が来場。満席となった場内を見て、「僕と河村さんと言う誰が見ても本当に面白くなさそうな並びで、(おかげで)かなり気が楽ですけれでも、スタッフ、キャストといい作品が作れたと思っております。本日はありがとうございます。」と藤井監督は満面の笑顔で挨拶し、「いやーびっくりしました。女性がいっぱいいて。最初、男の人しか来ないんじゃないかなと思ってましたが、本当に感謝しております。」と河村プロデューサーも嬉しそうに挨拶。
2021年日本映画の勢いがすごいと言われている中、こういう凄まじい映画を作られて周りからの反応はいかがでしょうかと、今回MCを務めた映画ライターのSYO氏からの質問に、藤井は「本年度の面白い映画と思いたいと宣伝してきました。色々な現場で見たよと言ってもらえると嬉しいく感じました。やはり評判がいいと河村さんの機嫌がいいので非常に安心しております。」と答え会場の笑いを誘い、河村プロデューサーは、「シネコンさんで長く上映していただけると思ったんですが、某アニメ映画2作が劇場を占めておりまして、私ども邦画は追いやられた感があるんです(笑)。」と吐露するも、「それにもかかわらずこうやって多くの方が来てくださってありがたく思っています」と感謝を伝える。
Twitter上で募集した質問の中から、「タイトルは直ぐに決まりましたか?」という問いに藤井は、「河村プロデューサーから『ヤクザと家族』ってどうだ?って聞かれまして、『新聞記者』の時もそうだったんですが、最初はダサっと思いました、そんな直球ですかと(笑)。けれどもやっぱり『ヤクザと家族』だなと思いながらやっている時に、一度タイトルは検討したらどうか?という話もあったんです。でも河村さんが『ヤクザと家族』というタイトルを大事にされていたということと、主演の綾野さん、そして舘さんがすごくいいタイトルなんじゃないかって後押しして下さって、このタイトルでいこうと決まりました。」とコメント。それを受け河村は、「最初大変反対されまして、孤立無援でした。”ヤクザ”という言葉を使うと一般の人がひいてしまうと言われましたが、私は絶対に引きませんでした。多分”ヤクザ”という言葉が一番このこの映画が何なんだということをはっきり現すんじゃないかと確信をもっていました。孤立無援だった時に、まず監督が賛成してくれて、そして『このタイトルで行きましょうよ』と絶大な支持をしてくれたのが綾野くんで、そして舘さんも賛同してくださったので、このタイトルに決まりました」と振り返った。
次に、賢治が残した愛と謝罪の言葉のシーンのナレーションが変更された件について問われた藤井は、「最後のナレーションはいつも通りと言いますか、俳優部の素晴らしい演技に想像しない方向に行くこともありますので、台本に書いても現場で変わることもあります。ナレーションは撮影が終り、編集後に剛さんにアフレコに来てもらいました。河村さんとこういうことしゃべりたいよね、こういうことだよねと決めて新たに書き直して剛さんに読んでもらいました。」と藤井の答えを受け、「僕からはリクエストはしなかったです。というのは、最後のシーンは現場のキャストの方々の熱量が驚くほどすごくて。皆さんにも伝わったと思うんですが、熱量が画面からも伝わってきたと思うんですけれども、この勢い、これに懸ける皆さんの気持ちにお任せしました。」と監督、キャストの熱量に委ねたことを披露。
ファンの間で話題になっていたワンカット撮りに見える車の襲撃シーンについて藤井は、「あのシーンは1日かけて1カットに見えるように撮影しました。何日もリハーサルをし、準備をしてワンカットに見せたいなと思って撮影しました。このシーンの撮影の時に剛さんすごいなって思ったことが、襲撃の後大原を見つけて泣くシーンで、ちょっと画的にもう一回撮りたいな思った時でも、「いいよ。」とさらっと言ってくださって。結構すごく大事なシーンにもかかわらず、大事なお芝居を気持ちをぶらさずに付き合ってくださって、日もすごく落ちぎわでかなり危なかったんですけれども、もう一度撮影したということもあり、大変なこともありましたが、自分の中でもこのシーンは大事なシーンの一つです。 」と振り返る。MCよりワンカット風にするという意図的なものはと聞かれると、「これはもう自分の演出という細かい所なんですけれども、大変なことが起きるというところに見せる、突如起きる悲劇をどういう風に表現しようかと思った時に、大変な方を選んだんです。カメラマンの今村とどういう風にやろうかと相談して決めました。」と語った。
このタッグで次回作どんな作品撮りたいですかという質問に河村は、「秘密です。言いたいんですけれども、かなり期待していてください。『ヤクザと家族 The Family』を更に超えるような作品を企画中でございます。脚本も開発中です。」と自信たっぷりに回答し、「さっきやっていたんですよ」と笑顔で答えると、藤井は、「隣の隣のルノアールに呼び出されて、雨強いのにマジかよって思ったんですが、ルノアールで打合せしてました。」と笑顔でコメント。『ヤクザと家族』も『新聞記者』の編集作業中に呼び出されたんですよねとMCから突っ込まれると、「はい、そうです。宮益坂のおしゃれなパン屋に呼び出されて。年始から、『おう、次何やる?』って。」と答え笑いを誘っていた。
監督のラブコメ見たいですというTwitterに寄せられたリクエストに、「『恋はDeepに』ですかね。剛さんは凄いですよね。ヤクザとDeepにやった後に恋ぷに。やっぱりすごいなって思うんですけれども、剛さんだったらできるんだろうなって思うんですよね。自分の欠点と言いますか、、、ユーモアのセンスがないと言いますか、もっと勉強しないとなぁと思ってます。ラブコメは多分取れません。期待されておいて、こけた時のほら見ろっていう反応を受け止める自信はないかなというのもありつつ、でも人生何があるかもしれないので、自分自身が出会いたいなというタイミングで出会えればなと思っています。」とはにかみながら答えた。
トークが盛り上がる中、サプライズで主演の綾野が急遽リモート参加!映画館のスクリーンいっぱいに映し出され、大きな拍手で迎えられた綾野は、「こういった形で恐縮ですが、河村プロデューサーと藤井監督と少しでも一緒にいられる時間がないかなと思い、リモートでも電話でもいいからやらせて欲しいとお願いしまして、今日リモートという形で参加させて頂きました。とても感謝しています。そして、今日この場所を、この時間を選んでいただき、この作品を選んでくれた、お座りいただいている皆様に本当に感謝申し上げます。」と感謝の意を述べた。
自身でも「集大成」と自負する作品の為に、撮影の合間を縫って登場した綾野に、募集した質問の中から最後のシーンについて問われると、「監督、脚本も藤井さんがやっていて、その中で俳優部が感じている正義と言うか、俳優部が生きたいという生き方をやりすぎると作品が破綻すると僕は考えていています。たまたま海に沈むシーンから始まって海に沈むシーンで終わるという台本になっていたんですが、藤井監督とお話をさせて頂いて、やっぱり次の世代にバトンを渡したいですねっていう話になり、最終的に藤井さんがこういう風にとエピローグを考え抜いて始まったことなので、僕は脚本に携わったというよりも、相談をした中で藤井さんが考えたことなので、とても素晴らしいシーンになったと思います。」と藤井をほめちぎる綾野の言葉をを受け、「剛さんお疲れ様です。」と忙しい中参加した綾野にねぎらいの言葉をかける藤井に、「なんかごめんね。『剛さんリモートしてくれるんですよね?』って言ってくれたのに、サプライズって聞いたから、『やらないよ今日。恋ぷの撮影だから』って言って嘘ついちゃった。ごめんね。」とお茶目な一面を見せる綾野。「『何もなしに、それなくなったよって』LINEが来て、『え、マジ?』みたいな状況でしたが、お会いできて光栄です。普段藤井さんと言われないので、なんかソワソワしました。」とまるで夫婦か恋人かと突っ込みたくなるような仲の良さで会場の笑いを誘っていた。「剛さんはこういう風に謙遜されますけれども、僕自身俳優部の人生を撮るっていうことが自分の表現だと思ってますので、剛さんにたくさん相談が出来たことはすごく楽しいことでした。これからもそういった作品を作っていけたらなと思います。」と語った。さらに「今日マスコミの皆さんも入っていらっしゃるんですよね?河村さんはたくさんの企画を動かしているんですが、本当に実現させるために、めちゃめちゃ追い込んでもらってもいいですか?新作があるって仰ってましたけど僕聞いてないですし・・・」と綾野から河村プロデューサーにも突っ込みを入れるシーンもあり、スタッフ、キャストのまるでファミリーのようなトークが続く。
時間も迫ってきて最後に綾野は、「『新聞記者』もそうでしたし、『ヤクザと家族』もそうですけど、このチームが作っているものって映画正義を使って社会を正そう、メスを入れようというようなものではない。この作品ではヤクザの世界にも家族があるんだという事実を伝えているんです。ある世界しか見えない人たちに対して、その世界が見えていることは間違っていないと寄り添う作品だと思っています。だから、そういうふうに受け取っていただけると幸いです。」と想いを語り、藤井は「『ヤクザと家族』を観て頂いてありがとうございますと直接お礼出来まして嬉しく思っています。沢山の質問が来ていたと聞きまして、お答えできなかったんですけれども、映画には多分みなさん一人一人の感想だったり応えだったりと自分の中に大切に締まっておくのもいいのかなと思っております。次に河村さんともしくは剛さんと一緒に創る作品も楽しみにしていただきたいですし、皆様の生活に少しでも何かプラスになるような映画を創り続けていければいいなと思っております。これからも『ヤクザと家族 The Family』応援よろしくお願いします。」と感謝と共に今後の抱負を語った。最後に河村プロデューサーは、「この映画というのは、キャストの皆さんが情熱をかけ私の手から離れていってしまったという感じになりまして、途中から嫉妬してしまいまして、何か取り戻せないかなぁと思っておりましたが、どんどん独り歩きしてしまってこのようにヒットとなりました。映画がこういう風になるのはプロデューサーとしてはとても嬉しいことです。みなさんこれからも応援よろしくお願い致します。」と感謝と更なる応援を呼び掛けた。
【ストーリー】
ヤクザという生き方を選んだ男の3つの時代にわたる壮大なヒューマンストーリー。1999年、父親を覚せい剤で失い、その日暮しの生活を送っている時に、柴咲組組長の危機を救った男・山本賢治(綾野剛)。自暴自棄になっていた自分に手を差し伸べてくれた柴崎博(舘ひろし)に心の救いを得て、二人は父子の契りを結ぶ。2005年、短気な面もあるが一本気さのある山本は、ヤクザの世界で男をあげていく。激化する因縁の相手・侠葉会との争い、自分と同じような境遇で育った女性との出会い、大切な家族である仲間を失ってしまうなど、人生を大きく揺り動かす激動の瞬間に愚直なまでに向き合って生きる山本、そして彼は自分の【家族・ファミリー】を守るために、ある決断をするー。2019年、14年もの年月を犠牲にした山本が出所後目の当たりにしたのは、暴対法の影響でかつての隆盛の影もなく、存続していくのもギリギリな状態に一変していた柴咲組の姿。時代の流れによる大きな変化に戸惑いながらも、愛する家族との生活を望み、新たな人生を歩もうとする山本に、状況を根底から揺るがす事件がー。
【キャスト】
綾野剛、舘ひろし、尾野真千子、北村有起哉、市原隼人、磯村勇斗、菅田俊、康すおん、二ノ宮龍太郎、駿河太郎、岩松了、豊原功補、寺島しのぶ
【スタッフ】
監督・脚本:藤井道人
企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
配給:スターサンズ/KADOKAWA
製作:2021『ヤクザと家族 The Family』製作委員会
©2021『ヤクザと家族 The Family』製作委員会
公式HP:yakuzatokazoku.com