映画『黒牢城』初日舞台あいさつレポート!本木雅弘「作品は新たな航海に漕ぎ出す。そして私の後悔も始まる」
6月19日(金)の全国公開初日を迎え、第79回カンヌ国際映画祭「カンヌ・プレミア」部門でも大きな喝采を浴びた映画『黒牢城』が、丸の内ピカデリーにて初日舞台挨拶を開催した 。壇上には、荒木村重を演じた主演の本木雅弘をはじめ、黒田官兵衛役の菅田将暉、村重の妻・千代保を演じた吉高由里子、家臣役の青木崇高、宮舘涼太、柄本佑、オダギリジョー、そしてメガホンを取った黒沢清監督という日本映画界を代表する豪華な布陣が勢揃い 。全国300館以上の映画館へ生中継されるライブビューイングのファンに向けても、熱いメッセージが届けられた 。
本作は、第166回直木賞と第12回山田風太郎賞をダブル受賞し、史上初となる4大ミステリー大賞を制覇した米澤穂信の傑作ミステリーを映画化した戦国系心理ミステリー 。織田信長に反旗を翻して有岡城に立てこもった武将・荒木村重が、城内で次々と発生する不可解な怪事件の真相解明に、地下牢に幽閉した天才軍師・黒田官兵衛とともに挑む姿が緊迫感たっぷりに描かれる 。
上映直後の熱気が立ち込める中、まずマイクを握った主演の本木雅弘が「映画は無事に公開されましたが、私の“後悔”も始まります。こうすればよかった、ああすればよかったという自分の後悔が、公開されてもなお止まないという連鎖です」と、作品の「公開」にかけた見事なユーモアで挨拶を切り出すと、客席は大きな笑いに包まれた。
これを受けるように、黒田官兵衛役の菅田将暉が「きっと僕も後悔はするんでしょうけれども、今はただただ楽しみです」と笑顔を見せ、初日を迎えた喜びを語った。
村重の妻・千代保を演じた吉高由里子は、全国の劇場を結ぶ中継カメラに向かって「見てますか?お元気です!」と無邪気に手を振り、一気に会場を華やかな空気で満たしていく。
続いて、作中で暗躍する郡十右衛門役のオダギリジョーが「なかなか名前が覚えられなくて、今日やっと朝覚えたとこなんです」とぶっちゃけてさらなる笑いを誘った。
すかさず、荒木久左衛門役の青木崇高が「僕は後悔ではなくて爽快な気分です!」と本木のコメントに交えて切り込み、抜群のチームワークのよさをのぞかせた。
トークセッション中、本木は自ら他のキャスト陣に次々とマイクを向け、現場の生のエピソードを引き出す名司会者ぶりを発揮した 。黒沢監督作品ならではの「長回し」という張り詰めた撮影手法について本木が話を振ると 、菅田は「大変でしたけど、黒沢監督作品で今回初めて、長回しのオッケーが出た後にみんなで小さくハイタッチをしました。それがすごく嬉しかったです」と、演者とスタッフが一体となって掴み取ったドキュメンタリーのような撮影裏の喜びを告白 。
また、現場の過酷な天候について、最下三太夫役の柄本佑が「10月、11月の撮影で山の上はめちゃくちゃ寒くて、俺今日持たないかもしれないというくらい震えていた」と明かせば 、乾助三郎役の宮舘涼太は「合戦のシーンでお昼休憩の時に、皆さんで甲冑を着たままお弁当をいただいたんです。僕からしてみたら絶景で、とてもスリリングな空気感を味わえました」と振り返り、時代劇ならではの貴重なエピソードで客席を和ませた 。
イベントでは、本作が従来のエンタメ時代劇とは異なり「と言葉に重きを置いた、言葉で切り合う重厚なスタイル」と評価されていることにちなみ、「心に深く刺さった言葉」というテーマでもトークが展開された 。
本木は、黒沢監督が撮影中に漏らした「僕は主人公をギリギリのところまで追い詰めて、ある種どん底に突き落としてから会話をするのが好きなんですよ」という言葉を挙げ、「役者も責められながら、最後に解放がやってくる。監督の作品が常に心を揺さぶるものである理由が詰まっている言葉」としみじみ回想 。菅田は監督から「菅田さんはホラーが似合いますね」と言われたことが印象に残っていると語り 、それに対し黒沢監督が「菅田さんはアップで映っているだけで、何かが起こりそうな緊張感に見てる人を巻き込むことができる」と、その卓越した存在感を称賛した 。
そして、宮舘が「皆様の前で言うのはすごくおこがましいのですが、本木さんから『伊達様はさ、カメレオン俳優だよね』とおっしゃっていただいたんです。そこで夢ができました。色々な作品に出会っていく中で、その言葉の意味を確かめながら、自分で道を切り開いていく努力をさせていただこうと……」と真摯に熱い決意を述べた直後のことだった 。
最後に「思いました」と締めくくるところを、緊張のあまり「おめえました」と言い間違えて噛んでしまい、会場は一気に爆笑の渦に 。吉高がすかさず「『おめえました』って!」とツッコミを入れ 、大照れする宮舘に対し、本木が「今コメディーを演じたの!これもカメレオン部分なの!」と最高のユーモアでフォローを連発 。宮舘が「いい言葉をいただいたのに、最後の最後でこけてしまいました」と無念そうに頭を下げると 、本木はさらに「自然に立ち振る舞えるし、身体能力も高い。切ればはまる」と、その確かなポテンシャルを大絶賛し、宮舘の愛されるキャラクターが存分に輝く名シーンとなった 。
また、黒沢監督からは、撮影初期に本木が漏らした一言が忘れられないというエピソードが明かされた 。部下たちの前で殿としての威厳を見せるシーンのカットがかかった瞬間、本木がぽつりと「ああ、向いてない」と呟いたと言い 、監督は「大スターが思ったことを素直に口にできる凄さに衝撃を受けたと同時に、殿様として振る舞わなきゃいけないけれど、どこかで自分は向いてないと思い続けた荒木村重という人間にその瞬間重なった。最初からずっと心に残っています」と語り、本木がもがき苦しみながら役に命を吹き込んだ2ヶ月間の軌跡を称えた 。
舞台挨拶の最後には、映画の封切りを祝してキャスト・監督全員で華やかに鏡開きが執り行われた 。
最後に黒沢監督は、「戦国時代のドラマは、どっちが勝ったか負けたか、誰が天下を取ったかという物語が中心になることが多い。しかし、この映画の荒木村重はそういうところから抜け出した人です。『もう争うのはやめようじゃないか』と言って、一人で城を出ていった人物です。僕は荒木村重という人に非常に心を打たれました。戦国時代の話ではありますが、現代にも通じる生き方ではないかと思っています。この映画をきっかけに、この時代のことを知ったり、今という時代を考え直したりしていただけたら嬉しいです」と観客へメッセージを送り、初日舞台挨拶を締めくくった。
『黒牢城』
6月19日(金)全国公開
<ストーリー>
荒木村重(本木雅弘)は暴虐な織田信長のやり方に反発し、籠城作戦を決行する。城は織田軍に囲まれ孤立無援に。城内の血気盛んな家臣たちを抑えながら、村重は妻・千代保(吉高由里子)を心の支えに、城と人々を守ろうと苦心していた。そんな時、城内である少年が殺される事件が発生。その後も怪事件が次々と起こる。容疑者は、密室と化した城内に居る家臣や身内の誰か。城外は敵軍。城内は裏切り者。誰もが疑心暗鬼になっていく中、村重は牢屋に幽閉した敵方の危険な軍師・黒田官兵衛(菅田将暉)と共に謎の解決に挑む。事件の驚きの真相とは―。
出演:本木雅弘、菅田将暉、吉高由里子、青木崇高、宮舘涼太、柄本佑、ユースケ・サンタマリア、吉原光夫、坂東龍汰、荒川良々、渋川清彦、渡辺いっけい、オダギリジョー
原作:米澤穂信「黒牢城」(角川文庫/KADOKAWA刊)
監督・脚本:黒沢清
音楽:半野喜弘
配給:松竹
コピーライト:©米澤穂信/KADOKAWA ©2026映画「黒牢城」製作委員会
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/kokurojo-movie/























