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LiLiCo「エンドロールが終わっても、彼らは戦い続けている」 「TBSドキュメンタリー映画祭2026」ラインナップ発表会見で監督16組がプレゼン

2月24日、都内にて「TBSドキュメンタリー映画祭2026」ラインナップ・プレゼンテーション会見イベントが開催された。TBSおよびJNN系列の記者・ディレクターが取材を続けてきた題材を映画として上映する本映画祭は、2021年のスタートから6回目の開催となる。2026年は3月13日より東京・大阪・京都・名古屋・福岡・札幌の全国6都市で順次開催される。当日は映画祭アンバサダーのLiLiCoと、上映16作品の監督が登壇し、各監督が自ら作品の見どころをプレゼンテーション形式で紹介した。

プレゼンテーション開始前、映画祭アンバサダーのLiLiCoが登壇し、本映画祭への思いを語った。日頃から多くの映画を観ているものの、毎年3月のTBSドキュメンタリー映画祭の時期は「“ちゃんと生きる”というメッセージを一番強く受け取る時間」だと話し、毎回、素敵な作品からその思いを受け取っているという。知らない世界に触れることが多く、それを知ることで自分の器が大きくなっていく感覚があり、この時期を「人生が花咲く時間」だと感じているとも述べた。一方で、ドキュメンタリー作品では悔し涙が出ることも多いとし、作品と向き合う体験の強さを表現した。さらに映画体験の違いについて触れ、「普段ブランチで扱う実写の長編映画は、エンドロールの後に物語を自分の中で噛み砕き、“自分の人生にどう取り入れられるか”を考えるものだと思う」と説明。そのうえで、本映画祭の作品については「エンドロールが終わっても、そこにいる人たちはまだ戦い続けている。ここがまったく違うところ」と語った。そして、作品に触れることで「日常の小さなイライラや悩みがとても小さなものに思えてくる。皆さんの作品を観るたびにそう感じさせてもらっています」と述べた。

各監督によるプレゼンテーション

司会からはプレゼンテーションの進行についても説明が行われた。各作品はまず予告映像を上映し、その後、監督自らが作品の魅力や見どころを記者とアンバサダーのLiLiCoに向けて語る形式で行われ、持ち時間は予告編を含めて90秒。あわせて、このプレゼンを通じて最も印象的なメッセージを届けた作品にLiLiCoが贈る「魂のプレゼン賞」が選出されることも発表され、会場の注目が集まる中、16作品の紹介がスタートした。

「ブルーインパルスの空へ」渡部将伍監督
最初に登壇したのは、航空自衛隊のアクロバット飛行チームを追った『ブルーインパルスの空へ』の渡部将伍監督。作品のテーマについて、あえてシンプルに「挑戦」という言葉を掲げたと説明する。劇中では、地上から見る展示飛行だけでなく、機内に設置したカメラの映像や隊員同士のやり取りなども取り入れ、ブルーインパルスの内部に踏み込んだ描写を行ったという。完璧な飛行という印象が強いが、「今回は“完璧に対して挑戦する人たち”を追いかけたかった」と語り、その過程を物語として描いたことを明かした。そして「彼らが挑戦する姿、夢を追う姿が、誰かの夢を追う姿になったらいいなと思っています」と述べ、来場を呼びかけた。

「野島伸司 いぬ派だけどねこを飼う」津村有紀監督
続いて登壇したのは、脚本家・野島伸司に密着したドキュメンタリー『野島伸司 いぬ派だけどねこを飼う』の津村有紀監督。野島はSNSも一切行わず、これまでメディアにほとんど登場してこなかった人物だという。「『101回目のプロポーズ』『高校教師』『ひとつ屋根の下』『愛という名のもとに』『未成年』『聖者の行進』など、作品タイトルは知っていても、“歩いて動く野島伸司”を見たことがある人はほとんどいないと思います」と紹介した。本作は、30年以上にわたり40本以上の連続ドラマを手がけ、日本でも屈指の視聴率を記録してきた脚本家の人生と創作の情熱を追った作品。取材の多くは居酒屋で行われたといい、「野島さんと一緒に飲んで食べて、いろんなことを話した、そんな“野島伸司ワールド”を楽しんでいただければ」と語った。

「田村真子 のと鉄道 明日へ向かう旅」矢島公紀監督(メッセージVTR)
続いて、『田村真子 のと鉄道 明日へ向かう旅』のプレゼンはメッセージ映像で紹介された。本作は、震災前に田村アナウンサーがのと鉄道に乗って地域の魅力を取材した旅を出発点に、その後の能登半島地震を経た現在の姿を追ったもの。矢島監督は、震災によって「家や物だけではなく、文化、そして人々の心も破壊されたことだと思います」と語り、被災地で懸命に生活を続ける人々がどのように希望を持って生きているのかを伝えたいと説明した。映像には田村真子も登場し、この2年間、多くの困難を抱えながら前に進み続けてきた人々の姿に触れたことを振り返る。「まだ大変なことはたくさんありますが、美しい景色や文化を未来につなごうと頑張っている方々の姿を、今回の旅でも知ることができました。それを皆さんにお伝えできればと思います」と語った。

「THE LAST PIECE -Glow of Stars-」北村太洋監督
続いて登壇した北村太洋監督は、『THE LAST PIECE -Glow of Stars-』についてテーマを「夢」と掲げ、「夢を叶える10代たちの物語です」と作品を紹介。本作は、芸能事務所BMSGによるオーディションプロジェクト「THE LAST PIECE」に密着したドキュメンタリー。BE:FIRST、MAZZEL、HANAに続く第4のグループを選出する企画で、そこから5人組ボーイズグループ「STARGLOW」が誕生したという。オーディションの記録に加え、夢を叶えた5人に改めてインタビューを行い、未公開映像とともに再編集した作品であることを明かした。北村監督は、夢を持っている人だけでなく、持っていない人にとっても何かを考えるきっかけになるのではないかと語り、「夢とは何なのか、どうしたら夢を叶えることができるのか、そのヒントが10代の5人の姿に隠されていると思います」と説明。自身も彼らから大きな刺激を受けた1年だったと振り返り、作品への思いを語った。

「War Bride2 奈緒と4人の戦争花嫁」川嶋龍太郎監督
続いて登壇した川嶋龍太郎監督は、「戦争花嫁」という言葉を初めて聞いたときに胸が締め付けられる思いがしたと語り、その理由が自身の叔母にあったことを明かした。叔母が戦争花嫁であると知ったのはおよそ40年前のことで、それ以来、この事実をきちんと伝えなければならないと考え、取材を続けてきたという。本作では叔母の桂子・ハーンに加え、シアトルに暮らす3人の女性を含め、4人の戦争花嫁の人生を取材。川嶋監督は、彼女たちがそれぞれにたくましく生き、輝く人生を送っていると語り、「まずは皆さんにご覧いただき、女性の生き様を感じてもらえればと思います」と作品に込めた思いを述べた。

「余命1年のシングルマザー~天才相撲少年への遺言~」飯田晃嘉監督・林将也監督
続いて登壇した飯田晃嘉監督は、本作のテーマを「親子の絆」と説明。本作は、TBSで20年以上続くスポーツドキュメンタリー番組「バース・デイ」から生まれた作品で、5年間にわたり取材を続けてきたのは隣に立つ林将也監督だと紹介した。林監督は、5年前に“天才相撲少年”がいると聞いて取材に向かったことからこの家族との関係が始まったと振り返る。相撲に打ち込む少年と母を追うなかで、昨年、母親が余命宣告を受けたという。当初は取材を続けてよいのか迷ったものの、母親自身が「自分の生き様を残したい」と望んだため撮影を継続し、「亡くなる1時間前までカメラを回し続けました」と語った。母の生き様と親子の絆を通して何かを感じ取ってほしいと述べ、作品への思いを語った。

「やまない症動ー死ねない難病に挑むテレビマンの記録ー」増山賢監督
続いて登壇した増山賢監督は、自身がパーキンソン病を患っていることを明かし、「治らない病気ですが、うつることはありませんので安心してください」と語り、会場の空気を和らげた。病気の状態を説明するため、LiLiCoにじゃんけんの実演を求め、自らの手を見せながら症状を説明。手がほとんど動かない状態を示し、「子どもたちは“ズルじゃん”と言うんです」と笑いを交えて語った。かつて“無敵”と呼ばれたじゃんけんになぞらえ、いまの子どもたちは「チート」「神の手」などと表現すると紹介し、自身の身体の変化をユーモアを交えて伝えた。そのうえで、こうした自身の病と向き合う日々を記録した作品であることを述べ、作品を紹介した。

「共に、世界一へ デフサッカー日本代表の軌跡」鴻上佳彦監督(リモート)
続いて福岡からリモートで登場したRKBの鴻上佳彦監督は、本作のキーワードを「19年の悲願」と説明。「VTRで“絶対優勝する”と言っていた、主人公・松元卓巳選手の思いです」と語った。松元選手が“もう一つの侍”と呼ばれるデフサッカー日本代表に入ったのは鹿児島実業高校2年生のときで、代表歴は19年に及ぶ。「彼はずっと世界一になると言い続けてきました」と振り返る一方、当初はチームも強豪とは言えず、「何を言っているんだと言われた」と当時を明かした。その後、2023年ワールドカップで準優勝を果たし、昨年11月のデフリンピックへとつながっていく。しかし、ワールドカップで痛めた右肩の手術とリハビリ、さらに大会4か月前の監督交代など困難が続いたといい、「そこに至るまでの歩みはとても厳しいものでした」と語る。そして最後に、「かなり胸熱な記録です」と作品を表現し、長年の挑戦を追ったドキュメンタリーであることを伝えた。

『矛盾に抱かれて 音楽 建築 哲学 悲哀 循環』時崎愛悠監督
続いて登壇した北海道放送の時崎愛悠監督は、本作の主人公・畑中氏について、建築家でありフルート奏者という二つの顔を持つ人物だと紹介した。2011年に突然の病に見舞われ、現在も右半身麻痺を抱えているという。それでも畑中氏は活動を続けており、「麻痺が進行する中でもフルート奏者、建築家として、さらに音楽と農業を掛け合わせた新しい取り組みにも挑戦している」と説明。なぜ病を抱えながら前へ進み続けられるのかを追った作品だと語る。時崎監督は、人は抗えない病や過去を抱えるものだとしたうえで、「彼がこれまで残してきた“哲学”を糧にどう生きてきたのかを描いています」と作品の意図を説明。「見ている人にも彼の思いが伝わり、抗えないものに出会ったときのヒントになれば」と思いを語った。

『鈴木順子「私は生きる」―脱線事故20年、記憶の軌跡』橋本佐与子監督
続いて登壇したNBSの橋本佐与子監督は、作品を紹介するキーワードとして「テレビの力、映像の力、人の力」の3つを挙げた。本作は、2005年に起きた脱線事故の負傷者である女性を20年以上にわたり追い続けた記録だという。橋本監督は「20年前と今では撮れる映像そのものが違っています」と語り、当時の映像は現在の価値観では受け止められ方が変わる可能性にも触れた。また、事件や事故が忘れ去られていく時代に入っているとしたうえで、「この事故について知らないという人も大勢います」と現状を説明する。一方で、当事者にとっては人生を大きく変える出来事であるとし、「そんなことが起きたんだと知ってもらうことで、皆さんの想像力が広がるのではないかと思っています」と語った。さらに、この取材を20年間、同じカメラマンと編集マンとともに続けてきたことを明かし、「テレビ受難の時代ですが、テレビ番組から映画ができるということも知っていただけたら」と作品に込めた思いを述べた。

『劇場版 盗るな撮れ~罪と少年とケーブルTV~』柳瀬晴貴監督
続いて登壇した柳瀬晴貴監督は、本作のキーワードを「愛と裏切り」と説明した。作品は、窃盗の罪を犯した元非行少年が少年院を出所後、愛知県で最も小さなケーブルテレビ局に入社し、新人テレビマンとして働く姿を追ったドキュメンタリー。家庭環境が複雑な少年を受け入れた、破天荒なお笑い芸人のプロデューサーを中心に描き、「二人の疑似親子のような関係を表現しようとしました」と語る。しかし物語の途中で、少年が父親代わりともいえるプロデューサーを裏切る出来事が起きたという。この出来事により、本作は当初予定されていた昨年のTBSドキュメンタリー映画祭での上映が見送られることになった経緯がある。「関係者や各所から問題作とも言われましたが、賛否両論のある作品です」と明かしつつ、今回は弁護士によるコンプライアンスチェックを経ての上映となると説明。柳瀬監督は「悲願の劇場公開です」と語り、作品への思いを述べた。

「ある日、家族が死刑囚になってー」西村匡史監督
続いて登壇したTBSの西村匡史監督は、「この作品は家族の物語です」と切り出した。ごく普通の家庭が、ある日を境に死刑囚の家族となった姿を追った作品だという。両親は、息子の死刑がいつ執行されるか分からない恐怖の中で日々を過ごし、弟も兄が死刑囚であることを理由に結婚が二度破談になるなど、厳しい環境の中で生きてきたと説明。「死刑は加害者や被害者の視点で描かれることが多いですが、死刑囚の家族の立場で描かれることはほとんどありません」と語る。そのうえで、「この過酷な環境で生きる家族の姿を通して、死刑のある一面の現実を知ってもらいたい」と作品に込めた思いを述べた。

「死刑宣告の女性弁護士 アフガンからの脱出」加古紗都子監督
続いて登壇した加古紗都子監督は、本作がアフガニスタンで弁護士として活動していた女性が、タリバンから突然死刑宣告を受け、一家で国外脱出を図る過程を記録した作品だと説明した。命の危険にさらされ難民とならざるを得なかった人々の救出の過程だけでなく、難民を取り巻く世界の排外主義の現状も描いているという。「日本でも難民や移民に対するネガティブなイメージが一部で広がっているように感じます」と語り、SNSなどで断片的な情報が広がることや、難民が生まれる背景が十分に知られていないことにも触れた。現在、迫害や紛争によって国を追われた人は世界で1億2,320万人にのぼり、日本の人口を超える規模になっていると指摘。「この映画を通して難民の実情を知り、私たちや世界が向き合うべき課題について考えるきっかけになれば」と思いを述べた。

「強制沈黙~殺される記者たち~」萩原豊監督
続いて登壇した萩原豊監督は、本作のテーマを「沈黙と抵抗」と説明した。戦時下を除けば、記者にとって最も危険な国とも言われる地域で起きている現実を取材した作品だという。メキシコでは汚職を告発した記者が銃撃され命を落とし、レバノンでは「PRESS」と明記された防弾ベストを着用した記者たちが二度にわたり攻撃を受けた事例を紹介。「記者の殺害によって恐怖が植え付けられ、真実が伝えられない“沈黙の地帯”が作り出されています」と語った。一方で、「それでも屈しない記者たちがいます。銃弾で真実は消せないと、今も現場に立ち続けています」と述べ、権力による圧力とそれに抗う報道の現場を描いたと説明。メディアを敵視し市民との分断を煽る状況は中米や中東だけの問題ではないとし、「権力が強いる強制沈黙に命がけで抗う記者たちの姿を見届けてほしい」と作品への思いを語った。

「受忍の国 報道1930劇場版」石川瑞紀監督
続いて登壇した、BS-TBS『報道1930』の石川瑞紀監督は、本作が番組の特集取材から発展した劇場作品であると説明した。ギャラクシー賞を受賞した企画をもとに、松原耕二キャスターが日本とドイツでさらに取材を重ね、映画として再構成したという。石川監督は、作品の中心となる概念について次のように語る。「戦争の被害は皆等しく耐え忍ぶべきだとして、民間人被害者への補償や謝罪を拒んできた“受忍論”という考え方があります。しかもこれは、今も拒み続けられている考え方です」そして、「なぜこの“受忍論”が日本にだけ存在するのか。さらに、私たちはいまも理不尽な我慢、つまり受忍を強いられていないか。そして、その受忍を私たち自身が無意識に受け入れてしまっているのではないか――」と、現代社会への問いを提示。本作は過去の問題にとどまらず、「今の日本に問いかける作品になっています」と語った。最後に石川監督は、「この“受忍”という言葉で流行語大賞を狙っていますので、どうぞよろしくお願いします」と会場の笑いを誘いながら来場を呼びかけた。

「特攻の海 ~3Dが語る80年目の真実~」今林隆史監督(リモート)
福岡RKBの今林隆史監督は、本作のキーワードを「記憶の継承」と掲げた。戦後80年を迎え、戦争体験者の証言が失われつつある中、どのように記憶を残していくかをテーマにした作品だという。本作では沖縄の海底に眠るアメリカ軍艦や、鹿児島湾で新たに発見された日本軍機を3Dで立体的に可視化した。「3Dの技術がある今だからこそ、物言わぬ遺物から戦争の真実を読み解くことができます」と説明し、3Dモデルの分析から若者を育てる教官までもが特攻に出撃していた事実が浮かび上がってきたと明かした。さらに「戦争遺物は劣化し、海の底へ消え去ろうとしています。それを最新技術で記録し、遺族の証言という声を重ねることで未来へ引き継ぐことが可能になります」と語り、「80年経った今だからこそできる記憶の継承をぜひご覧ください」と来場を呼びかけた。

全監督のプレゼンテーション終了後、LiLiCoが「熱い言葉で、まっすぐなメッセージで伝えてくれた作品」として選ぶ“魂のプレゼン賞”の発表が行われた。

「それでは発表します。魂のプレゼン賞は――『鈴木順子『私は生きる』ー脱線事故20年、記憶の軌跡』です!」

会場の拍手の中、橋本佐与子監督が登壇。受賞の感想を問われると、「なんだか上映がすべて終わってしまったかのような、ほっとした気持ちです。皆さんのプレゼンをずっと聞かせていただいていて、本当は“全部見てください”って最後に言おうかなと思っていたんですけど、時間がなくて…。でも、そんなふうに言っていただけて本当に嬉しいです。ありがとうございました。今のお言葉をすべて、鈴木順子さんとお母さんの桃子さんにお伝えしたいと思います。取材を始めたとき順子さんは30歳で、とても生き生きとされていた女性でした。外見が大きく変わってしまった姿をテレビカメラで映すことについて、自分が彼女の立場だったらと常に考えていましたが、1年半ほど経ったときに“取材を続けていいですか”と直接お尋ねしたところ『いいですよ』と言っていただき、その言葉が大きな励みになりました。その気持ちを受け止めてくださったLiLiCoさんの映画を見る力、人を見る力にも感動しています。ありがとうございました」と語った。

LiLiCoは作品について、「この事故の朝は本当に衝撃的で、覚えている方も多いと思います。日本はいろんなマニュアルの中で縛られている部分もありますが、その中でこういう事故が起きてしまうことをもう一度考えなければいけないと感じました。自分が順子さんだったらどういう気持ちだったんだろうと考えました。あの陶芸がとても好きで、どこで買えるのか問い合わせをしているところなんです。家に飾れたらいいなと思っています。長年同じスタッフで取材を続けてきたことも胸に響きました。すべての作品に共通していたのは、密着している方の周りの支え合いでした。人は人としか繋がれません。日本は人口が多いのに孤独を感じる人がいる。TBSドキュメンタリー映画祭を通して、人とぜひ繋がってください」と呼びかけ、涙を浮かべながら総評を述べた。

続いて、LiLiCoおよび登壇監督への質疑応答が行われた。

まずLiLiCoに、初めてドキュメンタリーを観る観客へ薦めたい作品について質問が寄せられると、「若い方にドキュメンタリーの良さを知ってほしいですね。例えば『THE LAST PIECE』のように人気の若者たちの裏側を見ると、どれだけ努力しているかが分かります。ドキュメンタリーは知らない職業や行かない場所を体験できるもの。16本ありますから、タイトルやビジュアルで気になった作品からでいい。知ること自体が財産なので、まず会場に足を運んでほしいです」と語った。さらに「クラスで観て話し合うのもいい。観て終わりではなく、考えることで理解が深まると思います」と呼びかけた。

会見中に増山賢監督がカメラを回していたことについて質問が及ぶと、LiLiCoは「撮りましょうか?」とカメラを受け取り、代わって撮影を行った。その後、増山監督は自身の病状に触れ、「パーキンソン病は“死ねない難病”とも言われます。カメラもマイクも持つのが難しくなってきていますが、生きている間にまた映画にできればと思っています」と語った。撮影を終えたLiLiCoはカメラを監督に返し、「結構いい画が撮れたと思います」とコメントし、会場は笑いに包まれた。

次に、取材開始時と撮影を進める中で変化した点について質問が出され、『バース・デイ劇場版余命1年のシングルマザー~天才相撲少年への遺言~』の林将也監督が回答。「天才少年が横綱になると信じて親子二人三脚で歩んでいるなかで、元気だったお母さんが余命宣告を受けるとは想像していませんでした。撮り続けていいのか悩みましたが、“生きている証を残してほしい”という言葉を受け取り、息子さんも協力してくれました。この取材は親子に助けられました」と振り返り、「支え合って生きることの大切さや、今生きている幸せを教えられました」と語った。飯田晃嘉監督も「兄弟や家族も含め、とても温かい家族。シングルマザーが懸命に生きる姿を見てほしい」と補足した。

また『ブルーインパルスの空へ』渡部将伍監督は、「万博にブルーインパルスが飛ぶということで1か月前から取材を始めたんですが、最初の取材では雨で飛ばず、万博当日も雨で飛ばなかった。さらに同型機の事故も重なり、実際に飛行するところを撮れたのは取材開始から4か月後でした。完璧に見えるブルーインパルスも雨が降れば何もできない。切磋的なジレンマも感じましたが、その4ヶ月ブルーが飛ばなかったからこそ、彼らの人間的な部分により触れられたのかなと思いました。」と明かした。さらに自衛隊への印象については、「パイロットも自衛官も普通の人でした。空を飛んでいない時間はずっと喫煙所にいる人もいて(笑)。彼らは“青い服を着ているだけの自衛官”と言いますが、またまたって思ったんですが、まさに言葉通りだなと思いました。特別な存在ではないんだけれど、彼らの努力自体はすごく特別なものだなと思いました。」と語った。

最後にLiLiCoが映画祭への思いを語った。「今の私の人生の原動力になっているのが、このTBSドキュメンタリー映画祭です。ディレクターの皆さんはさまざまな番組を担当しながら、撮りたいもの、感じたことを70〜80分の作品にして届けてくれる。そこから私たちは生きる力をもらえます」危険な取材や病と向き合う現場にも触れながら、「ここから各地の映画館で上映されていく作品も出てきますので、皆さんにとってはオーディションのようなものかもしれません。みんなが生きる力をいただける、そして人間の本気が見られる、そんな素晴らしい映画祭です。ドキュメンタリーが初めての方も、ぜひ足を運んでください。」と呼びかけ、会見は終了した。


<開催概要>

「第6回 TBSドキュメンタリー映画祭2026」
2026年3月13日(金)より東京・大阪・京都・名古屋・福岡・札幌の全国6都市にて順次開催される。
※一部の作品は上映されない会場があります。

東京:ヒューマントラストシネマ渋谷|3月13日(金)〜4月2日(木)
大阪:テアトル梅田|3月27日(金)〜4月9日(木)
名古屋:センチュリーシネマ|3月27日(金)〜4月9日(木)
京都:アップリンク京都|3月27日(金)〜4月9日(木)
福岡:キノシネマ天神|4月3日(金)〜4月16日(木)
札幌:シアターキノ|4月4日(土)〜4月10日(金)

主催:TBSテレビ
公式サイト:https://tbs-docs.com/2026
公式X:@TBSDOCS_eigasai