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「あの頃の悔しさも、全てが今のBABEL LABELを形作った」──BABEL LABEL 15周年キャラバン in 広島・横川シネマ。藤井道人監督と原廣利監督が語る“原点の地・広島”

映画・ドラマの注目作を数多く手がけてきたコンテンツスタジオ・BABEL LABELが、設立15周年を記念して全国のミニシアターを巡る特集上映企画「全国ミニシアターキャラバン」を展開している。その地方ラストとなる第14弾が、広島市の横川シネマで行われた。広島国際映画祭と連動した本イベントには、BABEL LABEL所属の藤井道人監督、原廣利監督が参加。二人のキャリアの“原点”となった広島の地で、創業期から現在までの歩みが語られた。

BABEL LABEL全国ミニシアターキャラバン in 横川シネマ 概要
【日程】11月29日(土)
【場所】横川シネマ(〒733-0011 広島県広島市西区横川町3丁目1−12)
【登壇】藤井道人(『7s/セブンス』監督)、原廣利(『帰ってきた あぶない刑事』監督)

 

1日目:広島国際映画祭《BABELLABEL連動企画》15年の軌跡と奇跡」ティーチイン
BABEL LABEL所属:藤井道人・原廣利監督登壇!

11月28日、映画祭のイベント会場にて「15年の軌跡と奇跡」と題されたティーチインが開催。満員の会場を前に、ダマー映画祭での挑戦や、広島の映画文化が持つ熱が、今のBABEL LABELの原点であるという想いを胸に、登壇した。

BABEL LABEL設立の経緯を語る中で、会社員であった原監督が、藤井監督の自主映画『埃』を見た瞬間、「本当に会社員をやってる場合じゃない。本気で監督を目指すのであれば、今辞めないとダメだ」と、会社を辞める決意をした経緯を明かし、『埃』という作品は藤井監督の原型がある作品なので是非観て欲しいと呼びかけた。さらに、自主制作時代から商業ドラマ制作に移行する中で、藤井監督は制作会社としての苦悩を吐露。ビジネス面での厳しい現実に直面したことを告白した。その結果、「制作会社だけじゃなくて、自分たちで企画から作り、自分たちの映画をちゃんと作っていこう」という、現在の「コンテンツスタジオ」としての体制へと移行したと、ターニングポイントを語った。質疑応答コーナーでの演出論に関する質問に対しては、藤井監督は「僕にとっては、その人たちをキャスティングしたからには、その人たちが一番最大化できるやり方を探すのが自分の仕事だなと思っている」と、俳優を型にはめるのではなく、個性を引き出すことを最優先していると伝えた。原監督は、藤井監督の演出スタイルについて、自主映画時代のエピソードを交えて言及。「藤井さんって俳優部と話すのがすごく上手いんですよ。コソコソ喋ってて、誰にも聞かれないように喋っていて」と、俳優が抱える不安を現場に入る前に解消するための藤井監督のコミュニケーションの工夫を明かし、自身もその手法を学んでいると語りました。

イベントの様子はBABEL LABEL公式インスタグラムでアーカイブ配信中。
https://www.instagram.com/reel/DRmXmiwgVje/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

2日目:横川シネマ「全国ミニシアターキャラバン」登壇イベント①
『帰ってきた あぶない刑事』上映後舞台挨拶開催!BABEL LABEL所属:原廣利監督登壇。

11月29日、会場を横川シネマに移し、BABEL LABEL全国ミニシアターキャラバン第14弾:横川シネマが幕を開けた。原廣利の初長編監督デビュー作『帰ってきた あぶない刑事』と、藤井道人監督のインディーズ初期作『7s/セブンス』が上映され、ミニシアターの観客との交流が深まった。まずは、『帰ってきた あぶない刑事』上映後に原監督が登壇。短時間のトークながら、「本当に嬉しいですよね。公開から1年が経ち、こうやって見ていただけるお客さんがいると、こちらも作ってよかったと励みになります」と心境を述べた。舘ひろしさん、柴田恭兵さんについて、原監督は、「現場でのアドリブを相談しながら撮影しているのがとても印象的だった」など、主演の二人のプロフェッショナルな姿勢を明かしました。さらに、撮影中、父親(原隆仁監督)がカメラマンに語った、「どう撮っても君たちがあぶない刑事を撮るんだ!っていう思いさえあれば、あぶない刑事になるんだよ」という言葉を胸に、大作に挑んだエピソードを披露した。

続いて、横川シネマ「全国ミニシアターキャラバン」登壇イベント②
『7s/セブンス』上映前舞台挨拶開催!BABEL LABEL所属:藤井道人・原廣利監督登壇。

藤井監督は、「広島が本当に自分たちを育ててくれた一つの場所で」と、映画祭の代表・部谷京子さんとの出会いを始め、広島の映画コミュニティ全体への感謝として、ミニシアターの観客に伝えられた。配信ドラマなどで活躍の場を広げた今もなお、藤井監督はミニシアターが原点であることに言及し、「もともとは劇場で、自分でもぎりをして、自分で上映ブザーを鳴らして、自主上映をやっていたところから監督になったので。こういうコミュニケーションというか、こうやって観客の皆様の前でお話しさせてもらえば非常に貴重な経験だなと思っています」と語り、インディーズ時代から応援してくれた全国のミニシアターへの感謝を改めて強調した。

そして、『7s/セブンス』について、藤井監督は、企画頓挫の悔しさを「ほぼ実話」として書き下ろした脚本であることを告白。インディーズ時代の壮絶な予算事情、当時の苦労と現在の撮影環境の変化などを対比させ説明し、藤井監督は最後に、「まずは今日、その原点でもある『7s/セブンス』という映画を、本当に僕らの自伝だと思って観ていただいて結構ですので、何か感慨深いものを残していければなと思います」と伝えた。続いて、原監督は、「映画ってやっぱり見られて完成するものだと思いますので、そういったのを何回も体験していただけるのは、すごく僕らにとってもありがたいことなんだな」と、ミニシアターで上映を続ける意義を熱く語った。

イベントの締めくくりとして、キャラバンを通して実施されている「旅するパネル」との記念撮影へ。このパネルには、「あなたにとって、ミニシアターとは?」という質問に対して、これまでキャラバンを巡ってきた各地のミニシアター支配人の方々から、寄せ書きのように答えていただいているもの。横川シネマの溝口徹支配人からは「僕にとっては避難所でした。一人になりたい時も一人でいたくない時もいていい場所」という、ミニシアターの存在意義を深く表す言葉が寄せられ、会場は温かい拍手に包まれた。

その後登壇者によるサイン会が実施されたのち、映画『7s/セブンス』の上映がスタート。登壇者2人の自主映画制作時代を振り返るような本作に対し、上映後には自然と拍手が湧き上がり大盛況の中幕を閉じた。1年を通し15個の全国のミニシアターをまわるBABEL LABEL全国ミニシアターキャラバン、残すはあと1箇所。

次回の全国ミニシアターキャラバンは、東京・渋谷の「ユーロスペース」で12月13日(土)〜21日(日)の9日間で開催予定。それぞれの上映後にはゲストが登壇する舞台挨拶も予定している。上映作品や登壇者など詳細は、「BABEL LABEL15周年特設サイト」(https://retrospective.babel-pro.com/)で、随時更新中。

より深く作品を知る機会、そして新たな出会いのきっかけになるので、是非、参加してみて欲しい。

 

「BABEL LABEL」とは
BABEL LABELは、ドラマや映画において数々の話題作を生み出し、日台合作映画『青春 18×2 君へと続く道』や映画『正体』を手掛けた監督の藤井道人を筆頭に、映画『帰ってきた あぶない刑事』の原廣利、藤井とともに監督を務めたNetflix シリーズ「イクサガミ」の山口健人など気鋭のクリエイターが所属するコンテンツスタジオです。

15周年特設サイト:https://retrospective.babel-pro.com/
公式X:@BABEL_LABELdirs
公式Instagram:@babel_label

<上映作品>

映画『7s』(監督:藤井道人)©7s/セブンス製作委員会

映画『LAPSE』(監督:志真健太郎、アベラヒデノブ)©BABEL LABEL

映画『青の帰り道』(監督:藤井道人)©映画「青の帰り道」製作委員会

映画『デイアンドナイト』(監督:藤井道人)Ⓒ2019「デイアンドナイト」製作委員会

映画『ヤクザと家族 The Family』(監督:藤井道人)©2021『ヤクザと家族 The Family』製作委員会

映画『DIVOC-12』(監督:藤井道人、林田浩川、ナカモトユウ)
©2021 Sony Pictures Entertainment (Japan) Inc. All rights reserved.

映画『ジャパニーズスタイル』(監督:アベラヒデノブ)©2020 映画「ジャパニーズ スタイル」製作委員会

映画『生きててごめんなさい』(監督:山口健人)©2023 ikigome Film Partners

映画『青春18×2 君へと続く道』(監督:藤井道人)©2024「青春 18×2」Film Partners

映画『帰ってきた あぶない刑事』(監督:原廣利)©2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会

映画『朽ちないサクラ』(監督:原廣利)©2024 映画「朽ちないサクラ」製作委員会

映画『正体』(監督:藤井道人)©2024 映画「正体」製作委員会

<上映予定劇場>

北海道:サツゲキ
秋田:御成座
新潟:シネ・ウインド
神奈川:シネマ・ジャック&ベティ
群馬:前橋シネマハウス
山形:鶴岡まちなかキネマ
愛知:刈谷日劇
兵庫:元町映画館
京都:出町座
大阪:第七藝術劇場
広島:横川シネマ
大分:別府ブルーバード劇場
鹿児島:ガーデンズシネマ
沖縄:シネマパレット 他

※上映時期、上映作品は各劇場によって異なります。