映画『愚か者の身分』北村匠海、林裕太、永田監督がZ世代と白熱トーク! 現代を生きる若者たちへのメッセージ「小さな幸せを見つけてほしい」
第30回釜山国際映画祭で最優秀俳優賞(北村匠海・綾野剛・林裕太の3名同時受賞)に輝いた映画『愚か者の身分』(10月24日公開/配給:THE SEVEN/ショウゲート)。公開直前の10月13日、都内で<Z世代とホンネトーク>と題したティーチイン付き試写会が行われ、主演の北村匠海、林裕太、永田琴監督が登壇した。本作は、西尾潤の同名小説(第2回大藪春彦新人賞受賞)を映画化した逃亡サスペンス。貧しさの中で闇ビジネスに足を踏み入れた3人の若者が、わずか3日間の逃避行の中で友情と再生を見出していく。
冒頭、北村は「朝からこんなヘビーな映画を見て大丈夫ですか?元気ですか?」と観客を気遣い、「いろんなお話ができればと思います」と笑顔を見せた。林も「皆さんが元気が出るようにトークを楽しみたいです」と応じ、北村が「不思議ですよね、この映画を観ていただいたのに僕らが元気を出させてあげるって」と笑うと、会場が柔らかい空気に包まれた。
永田監督は制作のきっかけについて、「知り合いが警察にお世話になる出来事があって、どうしてそうしたのかを本人に聞いたのが始まりでした」と語る。「少年院のルポを読んだり、トー横で支援活動をしている方々の話を聞いたりして、闇に踏み込む若者たちの心理を少しでも理解したいと思った」と、取材の積み重ねを振り返った。
北村は、SNSで女性を装い戸籍売買に関わる主人公・タクヤを演じた。「決して“闇バイトの映画”ではないけれど、今の時代の危うさは感じました」と話し、「深夜の歌舞伎町で撮影したとき、ラジカセを背負って踊る若者たちや、未成年らしき女の子たちが群がって踊っていて。何のパレードなんだろうと思うほどカオスでした。視点を変えれば天国にも地獄にもなる街。あの混沌を肌で感じました」と振り返る。そして「タクヤは生きづらさを抱えながらも、マモルと出会って“誰かを思う”という意義を見出す人。彼を通して、自分自身も“生きる理由”を考え直しました」と語った。
林は「マモルにとってタクヤがいてくれて本当に良かったと思います。タクヤがいたからこそ、人の愛情や優しさを受け取れたし、タクヤを失って初めて悲しみを知れた。マモルが生きようと選んだなら、それは本当に素晴らしいこと。みんなにもタクヤみたいな存在がいてくれたらいいなと思いました」と静かに語る。北村は「裕太がマモルを演じたからこそ、僕もタクヤの感情を深く表現できた」と応じた。
ティーチインでは、観客からの質問に三人がひとつずつ丁寧に答えていった。「先輩や後輩と良い関係を築くために心がけていることは?」という質問に、北村は「似た者同士は惹かれ合うようにできている」と答える。「自分の好きなものや得意なことを真っすぐ伸ばしていけば、自然と同じ道を歩む人ができてくる。僕は古い映画やファッション、音楽が好きで、現場では年上の方とすぐ仲良くなって『あなた本当に20代?』って言われます」と笑顔を見せた。
林は「ピュアでいること」と答え、「『好きだからこの人と一緒にいたい』という気持ちを素直に伝えること。恥ずかしくても、その気持ちが伝われば自分もうれしいし、そのやりとりを大切にしたい」と話す。北村が「僕が出会った中で一番ピュアなのが彼。撮影中に町中華に行った時、すっごくおいしそうに食べていて、『こういう気持ち忘れてたなぁ』と思った。そのピュアさが僕にはないんです」と語ると、永田監督も「3人ともピュアなんですよ。綾野さんを含めて、みんな一生懸命で本当に素敵でした」と笑顔で頷いた。
続いて「闇バイトなど現実の問題をどう感じたか」という質問には、北村が真剣な表情で答える。「根底にあるのは“お金の価値って何だろう”ということ。僕は8歳から芸能界で働いてきて、稼ぐ意味とか数字の価値を考えながらタクヤを演じました。タクヤやマモルにとってお金は希望だった。でも“生きる=お金”ではない。そこにすがるしかない人もいるから否定はしないけれど、そんなにいいものでもないと思う。劇中の“アジの煮付け”のように、小さな幸せを感じられる瞬間を大事にしてほしい」と語りかけた。
さらにこの日は、本作のプレス資料にも寄稿した文筆家の佐々木チワワが来場。「歌舞伎町という街の“特殊性”をどのように感じたか」との問いに、永田監督は「30年前に比べて反社の方はいなくなって、ある意味“安全”になったけど、若い人たちにはむしろ危険。中高生のような子たちがたくさんいて、夜に帰らず路上で寝ている。観光客がコスプレ姿の若者を眺めている光景もあって、本当に不思議な街になった」と語り、「映画では、そこをオアシスのように生きる若者たちを描いた」と説明した。
北村も「僕の目の前で踊っている若者たちを見て、“特殊性”って言葉がまさに当てはまると思いました。視点を変えれば誰かにとっては天国だし、誰かにとっては地獄。エゴとエゴがぶつかり合っているような場所だと感じました」と振り返る。林は「楽しそうに見える人たちもいるけど、事情は分からない。いろんな人の目線が入り混じっていて、そこに生きている人たちはただ必死に生きているだけ。否定も肯定もできない」と静かに語った。
イベント終盤、北村は観客に向けて語った。「この映画は“今を生きる理由”を探す物語。生きるのって本当に大変になっちゃったなと思います。でも、どうか自分を信じて、隣にいる人を信じて生きてほしい。僕らのようなエンタメの仕事は人生の最後に来る娯楽かもしれないけど、それがあることで人生が楽しくなると思っています」。林は「悪い状況にいるときほど動けない。でも動き出す勇気が誰かを救うかもしれないし、自分を救うかもしれない。その一歩を踏み出すことが大事だと思います」と言葉を重ね、永田監督は「SNSの時代だからこそ、対面で話すことの大切さを感じてほしい」と締めくくった。
『愚か者の身分』
2025年10月24日(金) 全国公開
【ストーリー】
SNSで女性を装い、言葉巧みに身寄りのない男性たち相手に個人情報を引き出し、戸籍売買を日々行うタクヤ(北村匠海)とマモル(林裕太)。彼らは劣悪な環境で育ち、気が付けば闇バイトを行う組織の手先になっていた。闇ビジネスに手を染めているとはいえ、時にはバカ騒ぎもする二人は、ごく普通の若者であり、いつも一緒だった。タクヤは、闇ビジネスの世界に入るきっかけとなった兄貴的存在の梶谷(綾野剛)の手を借り、マモルと共にこの世界から抜け出そうとするが──。
【キャスト】
北村匠海、林裕太、山下美月、矢本悠馬、木南晴夏、綾野 剛
【スタッフ】
プロデューサー:森井輝
監督:永田琴
脚本:向井康介
原作:西尾 潤「愚か者の身分」(徳間文庫)
製作:映画「愚か者の身分」製作委員会
製作幹事:THE SEVEN
配給:THE SEVEN、ショウゲート
(C)2025映画「愚か者の身分」製作委員会
公式サイト:orokamono-movie.jp
オフィシャルX:@orokamono_1024 #映画愚か者の身分
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