没後3年、石井隆監督の初期作4本がHDリマスターで蘇る!特集上映「石井隆Returns」先行イベントに竹中直人&宇多丸が登壇!
2022年5月に永眠した映画監督・石井隆の没後3年を機に、代表作4本をHDリマスターで蘇らせた特集上映「石井隆Returns」が、2025年6月6日(金)よりシネマート新宿、池袋HUMAXシネマズを皮切りに全国順次上映される。上映作品は『死んでもいい』『ヌードの夜』『夜がまた来る』『天使のはらわた 赤い閃光』の4本。いずれも石井隆がその叙情的かつ暴力的な映像美で描いた、性愛と孤独の物語が高く評価されてきた監督初期の代表作だ。
上映開始に先駆け、5月23日には石井の命日(5月22日)にあわせて、HDリマスター版『ヌードの夜』の先行上映イベントが池袋HUMAXシネマズで開催された。トークショーには、石井作品の常連・竹中直人と、熱心なファンとして知られるライムスター宇多丸が登壇。以下、その模様をレポートとして掲載する。
特集上映「石井隆Returns」先行上映会イベント HDリマスター版『ヌードの夜』トークショー
■日時: 5月23日(金) ※上映前イベント
■場所: 池袋HUMAXシネマズ スクリーン4
■登壇者: 竹中直人、ライムスター宇多丸
石井監督の長編映画監督デビュー作『天使のはらわた 赤い眩暈』(1988)で主演を務めて以降、石井監督作の常連俳優になった竹中。元々『天使のはらわた 赤い眩暈』の台本上のタイトルが『ヌードの夜』だったそうで、その響きを気に入った竹中が石井監督に『ヌードの夜』というタイトルで映画を撮ることを進言したのが本作のスタートになったという。
石井監督の人柄について竹中は「石井隆という人は本当に最高。役者を乗せてくれる方で、石井さんが放つエネルギーというのか、カメラ横にいる石井隆の姿が僕は大好きでした。石井さんの作家性云々ではなく、石井さんの現場にいたいという気持ちがありました。石井さんの言う『ヨーイ!』という声を聞きたくなる」と愛おしそう。撮影後にはプライベートで一緒に映画を観に行くこともあったそうで「石井監督は“どうせ俺なんて”の意識を強く持っている方で前向きではない。その意味では僕と波長があった。“僕の映画なんて誰も観ませんよ”と言う。普通だったらネガティブで嫌な気持ちになるけれど、石井さんの場合はそれが色っぽくて愛おしくなる。そんな石井さんの気持ちが好きだった」と懐かしんだ。
石井監督もそんな竹中に強いシンパシーを感じていたようで「僕がテレビでやっていたギャグがあったりすると、それをやってと。でも僕としたらそれをやったら竹中直人になるわけで。でも石井さんは『それでいいんです』と。その言葉が好きでした」と振り返り「僕自身も役だとは考えていなかった。石井さんとの映画は“役”を超えたもの。石井さんと俺との関係なんだと感じることが出来た。僕を信じてくださっているという暗黙の了解。もはや役ではない。映画を挟んで石井監督と人間との関係になれた気がする。役なんて関係なくて、石井さんが現場を見てくれてる、それがよかった」と強い絆を伺わせた。この関係性について宇多丸は「竹中さんのお話しを聞くと、お二人の人柄がシンクロしているような気がする。石井監督はシャイな竹中さんにこそ“託せる”と思ったのでは?」と羨ましそうだった。
石井監督の撮影現場でのチャーミングな姿も竹中は忘れられないという。余貴美子と海にダイブするシーンでは「凄く汚い海で猫の死骸まで浮いていて。さすがに飛び込みたくないとプロデューサーの成田尚哉さんにコソッと言ったらそれが石井さんに伝わってしまい…。『ならば撮りません!』とロケバスから出てこなかった」と苦笑い。ロケバスのドアを叩いて何度も石井監督の名前を呼んだそうで、竹中は当時の様子を再現しながら「石井さん!石井さん!あ、もしかしたら今聞いてるかも?石井さ~ん!」と天に向かって呼び掛けていた。
こだわりの強い石井監督だけに、撮影は長丁場になることも珍しくなかったそうだが、竹中は「フィルム時代はカメラの横で僕らの芝居を見ていたけれど、現場で直接モニターが見られるようになってから時間がかかるようになった。よくサブのカメラマンに『そのアングルでいいのか!?』と言っているのを思い出した。丁寧な言葉なんだけれど鋭かった」と美意識の高い石井監督の横顔を明かした。
そんな石井隆監督は、2022年5月22日に75歳で永眠。改めて竹中は『ヌードの夜』について「僕にこだわってくださったというのは、愛おしくありがたい時間でした」と感謝しながら「石井隆、何故死んだ!?と思う。もう1作撮って欲しかった。悔しくて切ない。本当にいい監督で石井隆ならではの映像があって、こんな画を撮れる人はいない。ダメだ、泣きそうになっちゃう。どうしてこんなに素敵な監督が早くいなくなるのかと思うと、生き甲斐がなくなってしまう」とウルウル。これに宇多丸は「映画の良いところは、こうして上映するたびに新しい観客が観てくれること。僕は本作を観るたびに毎回驚き、感動し、思わず泣く。素晴らしい映画です」と励ますと、竹中は「本当にそう。こんなに沢山の方が石井隆の映画を観てくれるなんて本当に感謝です。初めての皆さんに『ヌードの夜』がどのように映るのか?どのように受け止めて、どのような気持ちで夜の池袋を歩いて帰るのか。…これが新宿だったら最高でしたけどね!」と笑わせながら、特集上映『石井隆 Returns』の反響に期待を寄せていた。
没後3年 特集上映 「石井隆Returns 初期監督作4本 HDリマスター版上映」
2025年6月6日(金)より、シネマート新宿、池袋HUMAXシネマズ他、全国順次上映
■上映作品:『死んでもいい』『ヌードの夜』『夜がまた来る』『天使のはらわた 赤い閃光』
■配給・宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト
■協力:ファムファタル、キングレコード、日活、キネマ旬報社、中央映画貿易、ダブル・フィールド
■公式サイト:https://mapinc.jp/ishii-takashi
■公式SNS X:@ishii_Returns
Instagram:IshiiTakashi_Returns
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