【TBSドキュメンタリー映画祭2025】満席続出!大阪・京都・福岡・札幌にて舞台挨拶!東京新聞記者・望月衣塑子「関生問題」でメディアのあり方を嘆く!その他その道のプロや出演者が作品を徹底深掘り!
TBSテレビやTBS系列各局の記者やディレクターが、歴史的事件、現在進行形の出来事、そして市井の人々の日常を追い続け、記録し、情熱を込めて世に送り出してきたドキュメンタリーブランド「TBS DOCS」。その想いが結実した場として2021年にスタートした「TBSドキュメンタリー映画祭」。第5回を迎えた本映画祭は、3月14日(金)より東京・渋谷で幕を開け、3月28日(金)より大阪・名古屋・京都・福岡の各都市で連日盛況で開催中。舞台挨拶には監督や出演者、専門家など多彩なゲストが登壇し、作品と社会をつなぐ“対話の場”としても注目を集めている。
さらに、ドキュメンタリーの持つ力をより多くの人々に届けたいという想いから、中国エリア初となる広島・福山市での特別上映が決定。会場となるのは、地元で親しまれてきた映画館「福山駅前シネマモード」。上映されるのは、『彼女が選んだ安楽死~たった独りで生きた誇りとともに~』(西村匡史監督)、『劇場版 僕と時々もう1 人の僕~トゥレット症と生きる~』(監督:柳瀬晴貴)、『小屋番 KOYABAN ~八ヶ岳に生きる~』(企画・プロデューサー:永山由紀子、監督:深澤慎也)の選りすぐりの3作品。4月5日(金)より、期間限定で上映となる。
そして遂に、映画祭は津軽海峡を越えて、北海道・札幌に上陸!シアターキノにて 4月5日(土)~11日(金)の日程に て絶賛“開祭”中。今回は、4月5日(土)6日(日)の2日間、4都市、5作品、計7回の豪華ゲストが続々登場し、ドキュメンタリー映画でしか実現できない、その道のプロや作品の出演者が作品の魅力を深掘りした舞台挨拶の模様をお届けします。
<4月5日(土)実施 札幌 舞台挨拶>
『劇場版 クマと民主主義』
【登壇者】
監督:幾島奈央
ゲスト:佐藤喜和(酪農学園大学教授)
幾島監督は、クマによる被害で「大切な人を失った方々が、同じことを繰り返してほしくないからと取材に応じてくださいました。映画で知ってもらうことで、防げるはずのクマの出没や被害を無くしていけたら」と取材を続ける思い具体的に語りました。クマ対策は、現れた時の駆除だけでは効果は期待できません。地域の実態に合わせた周到な計画こそが大切だと主張するのは、ヒグマ生態研究の第一人者、佐藤喜和教授(酪農学園大学)。佐藤教授は、ヒグマの暮らす森林で調査を続け、集落に通い、足で成果を出す研究者です。「研究を始めた30 年前には、クマ問題が映画になるとは想像できなかった。温暖化などでクマが変わっていくので、人間社会も変わらなければならない。行政や猟友会に任せるだけではなく、自分ごととして対処することでクマとの共存につなげたい」と信念を説きました。イベント終了後には、幾島監督のもとに「クマ注意の看板が家のそばにあるのできちんと知らなければと映画を観に来た。とても考えさせられた」、「クマへの対応に苦労しているので応援になりました。ありがとう」と声をかけるお客さんも見受けられました。
<4月5日(土)実施 京都 舞台挨拶>
『労組と弾圧』
【登壇者】
ディレクター:伊佐治整
ゲスト:望月衣塑子(東京新聞記者)
満席の会場に拍手で迎えられ登壇。ゲストの望月さんが「逮捕者数自体にも驚きましたが、これほど多くの人が無罪となった労働弾圧の事件を東京のマスメディアが報じてこなかったことを恥じた。そしてこの歴史を伝える作品を自分と同世代の伊佐治さんが作られた、こういう作品こそ全国展開となってくれたらいいなと思ってみていた。」と映画本編の感想を語ると、伊佐治ディレクターは「関生の事件に当初から強い関心があったわけではない、正直、むしろつい後回しにしてしまう事件だったと思う。自分は竹信三恵子さんの発信をきっかけに一気にスイッチが入った形だが、取材し始めるとこれほどの事件を取り上げてこなかったことに忸怩たる思いがした」と思いを綴った。望月記者は「ただ、だからこそ事件の顛末、ここまでの無罪を出しているという重い事実も捉えることになった」とし、これまで見過ごしてきてしまった事実を悔いつつ“ここから”改めて労働者の権利を考え、取り戻すときが来たのではないかと結んだ。
<4月5日(土)実施 福岡 舞台挨拶>
『誰のための公共事業~ギロチンが宝の海を壊した』
【登壇者】
監督:里山千恵美
ゲスト:平方宣清(出演者)
真正面から丹念に、長期に亘り取材を続けた里山千恵美監督は、「RKB に残っている豊かだった時代の有明海の映像を見て、この問題に対して黙っていることは出来ないと思いました」と取材を始めた動機を熱く語りました。映画の視点について「取材現場で感じたこと、確信した思いのまま、あからさまに漁業者側に立って、この事業は本当に正当なものなのか、大きな声で問いたいと思い制作しました」と、タイトル「誰のための公共事業」にも繋がる問いかけを説明して観客を頷かせました。ゲストで映画にも登場し、かつて"宝の海"の象徴、二枚貝「タイラギ」を採っていた佐賀県太良町の漁師の平方宣清さんは、巨大な国や県などとの訴訟に翻弄される当事者にもなってしまいました。現在の境遇を「有明海の漁業が大変厳しい状況を多くの方に知っていただきたい」と説明し、「干拓事業は、漁業者だけでなく、地域に暮らす様々な人たちの生活、地域の産業を潰してしまったら、人は生活することが出来ない」、「事業を行った国の無責任な姿勢には本当に憤りを感じる」と訴えました。全国ニュースで、過去幾度も取り上げられた干拓問題は、法的には「一応の」決着をみたかたちです。しかし、そこに生きる人の生活が終わったわけではありません。平方さんが「宝の海を取り戻すためにこれからも闘っていきたい」と決意を示すと、里山監督は「今回このような形で〝有明海の今”’を伝える機会があり、本当にありがたい。いつか漁業者が望む潮受け堤防の開門が叶った時に、この映画の映像が役に立ってくれたら嬉しい」と遠くを見つめました。有明海の堤防問題は決して終わったわけではないと再認識する場になりました。
<4月5日(土)実施 大阪 舞台挨拶①>
『カラフルダイヤモンド~君と僕のドリーム2~』
【登壇者】
監督:津村有紀
ゲスト:古川流唯、中下雄貴、國村諒河、高垣博之、関優樹、永遠、加藤青空(カラフルダイヤモンド)
本映画祭7 回目となる舞台挨拶は大阪で行われ、その1 回目の舞台挨拶。沖縄旅行のシーンの際、足を負傷していた古川さんは「乗りたいものも乗れなくて悔しかった」と本音を吐露。沖縄に行けなかったチームは寮でピザパーティーだったのですが、普段頼めないものも注文出来て大満足だったそう。映画でここに注目して欲し
いという話の中で、出てきたのが永遠さんの髪型問題。今日はばっちり髪型が決まってるという永遠さんですが、映画の中では髪型がシーンごとに変わっており、「強風に合った後のシンガーのVaundy(バウンディ)さんみたいだった」と古川さん。小辻さんが映画の中で細かい”コボケ”をしている箇所が随所にあるので、ぜひ、注目してほしいと話していました。大阪がめちゃめちゃ好きだというリーダーの國村さんは「人柄がいいなーって。大阪にいるだけで明るくなれる街」だと語っていました。最後に、大阪が10 回目の舞台挨拶だという津村監督は「うわべだけの付き合いが多い中、一歩踏み込んだ付き合いも大切だということを映画を通じて届けられたら嬉しいな」と語っていました。
<4月5日(土)実施 大阪 舞台挨拶②>
『カラフルダイヤモンド~君と僕のドリーム2~』
【登壇者】
監督:津村有紀
ゲスト:古川流唯、中下雄貴、國村諒河、高垣博之、関優樹、永遠、加藤青空(カラフルダイヤモンド)
本映画祭8 回目、大阪2 回目の舞台挨拶。國村さんが数週間前に京都でイベントをしたときに出会った警備員さんが前作も観てくれており、今回もチケットを購入したと言ってくれたことを報告。「おじさんにも僕らの映画が刺さって嬉しかった」とファンが広がっている喜びを語ってくれました。大阪で行きたいところや食べたいものが数えきれないくらいあるようなのですが、みんなでこれはおいしいと盛り上がったのが大阪のミックスジュースでした。関さんは自販機のミックスジュールを鞄に入るだけ買ったそうですよ。最後に津村監督は「みんなと過ごす時間が多くなればなるほど、みんなすごく優しいんだなって感じました。そんなみんなのやさしさが映画を通じて伝われば嬉しいです」と締めくくり、大きな拍手で舞台挨拶が終了しました。最後の写真撮影会では、会場からの連続シャッター音が響き渡りました。
<4月6日(日)実施 福岡 舞台挨拶>
『カラフルダイヤモンド~君と僕のドリーム2~』
【登壇者】
監督:津村有紀
ゲスト:古川流唯、中下雄貴、小辻庵、國村諒河、関優樹(カラフルダイヤモンド)
本映画祭9 回目の舞台挨拶は福岡で。この回でラストとなる舞台挨拶では各地でさまざまな出会いや再会があったと語る登壇メンバーたちですが、舞台挨拶冒頭、「イエーイ!」と喜びの声をあげたのは、福岡出身の小辻さん。「1 年前にもこの場所に来たけれど、こうしてまた戻ってこられてうれしい」としみじみと語りました。古川さん、國村さん、関さんからは博多名物を堪能した様子も語られ、「モツ鍋、串焼き、鯨も食べました!」とご当地グルメを大満喫。小辻さんおすすめのラーメンやクロワッサンを紹介する一幕もありました。舞台挨拶中盤には、古川さんの“ホテル事件”が話題に。他のメンバーがベッド付きの部屋だった中、古川さんの部屋だけなぜか畳に布団。「俺だけお風呂もなくて、布団が真ん中に…しかもちょっと膨らんでいてホラー(笑)」と語ると、会場は爆笑に包まれました。「マジで怖くて、夜中4 時に諒河(國村)くんの部屋に引っ越しました」と明かすと、國村さんも「夜中にガラガラってキャリーケースごと引っ越してきて(笑)」と振り返り、まさに“忘れられない福岡の夜”となった様子でした。最後に、津村監督は会場を見渡しながら、次のようにメッセージを残しました。「本日はご来場いただきありがとうございました。(小辻)伊織くんがですね、10 年後どうなっていたいですかって聞いた時に、『カラフルダイヤモンドとして生きていたいですし、誰1 人欠けることなく』ということを言っているのですけれども。国とか状況とか環境とかっていうのは日々変わってはいきますが、そのとき、その瞬間の真実を映し出せていて良かったなと思っています。未来とか、明日とかってどうなるかわかんないんですけども、この今の瞬間、もうちょっと大切にしようとか全力で生きよう、みたいな。そんなきっかけになってもらえれば嬉しいです。本日はどうもありがとうございました。」最後まで笑顔とあたたかさに包まれたキノシネマ天神での舞台挨拶。フォトセッションでは会場に大量のシャッター音が響き、名残惜しそうにマイクを握った國村さんの「これでラストだ!楽しかったっちゃんね。」という言葉で締め括られ、本作の“終着点”にぴったりのフィナーレとなりました。
<4月6日(日)実施 福岡 舞台挨拶>
『巣鴨日記 あるBC級戦犯の生涯』
【登壇者】
監督: 大村由紀子
ゲスト:冬至克也(出演者)
RKB毎日放送の大村由紀子監督と冬至勝也さんが舞台挨拶に登壇。この上映は早々に完売となる大盛況の中、舞台挨拶が行われました。冒頭では、映画に関する感想や制作のきっかけなどが語られ、大村監督は「BC 級戦犯というものがあまり知られておらず、JNN のニュースライブラリー(TBS 系列の28 局で共有しているライブラリ)で検索をしたら3 件ぐらいしかなかった」とBC 級戦犯というテーマがまだあまり知られていなかった当時を振り返り、「しかも報じられていないっていうところも、なぜ?と思ってリサーチを始めましたけれども、それはやはり、もうこの戦争犯罪に戦犯という言葉が非常に重くてですね、亡くなったご遺族の方もそれを語らず、語らなかったわけで」と、戦争犯罪という言葉の重みを語りました。映画内の登場人物である、冬至堅太郎氏のご子息である冬至勝也さんがゲスト登壇し、「(祖父は)物事の判断が非常に早い人間でした。非常に強情なところもあったんですけども、問題が解けると、もう手のひらを返したように自分の主張を引っ込めるというような面もありました」「しかし、映画を見まして、私は家族として祖父とずっと接してきたわけですけども、普段では見れない彼の性格というか、そういう彼の姿が垣間見れた気がして非常にありがたいなと思います」と監督に感謝の意を伝えました大村監督は「日本国憲法の前文に、『戦争の惨禍を繰り返すことのないように決意し、日本国憲法を確定する』とあって、憲法っていうのは日本を作る一番ベースのところ、全ての法律がそこに全部上に立っているもので、戦争を繰り返さないように作られたものなんだっていうことが、すごくそのときストンと落ちて、明確に戦争の惨禍を伝えなきゃいけないっていう目標が出来た」と本作の制作についての動機を熱く語りました。ゲストの冬至さんは「戦犯そのものだけではなくて、これから先に戦争しないようにするために、この国の主権者のひとりとして、それぞれが自分自身で決めなくてはいけないと、そのために、考えたり誰かと話し合ったりする機会っていうのは非常に重要だと思います。」と国内だけでなく、現在の世界情勢にも目を向けて、本作を通して戦犯裁判のことだけでなく、戦争の悲惨さを伝えていく必要性も語った。最後に大村監督は、「過去のことを描いた作品ですけれども、私達の過去を見てそこからぜひ未来に目を向けていただけるきっかけになれば」と観客にメッセージを送りました。
第5回「TBSドキュメンタリー映画祭2025」
全国6都市にて順次開催中 & 4/4(金)より広島・福山でも開催決定!
<開催概要>
東京=会場:ヒューマントラストシネマ渋谷|日程:3月14日(金)〜4月3日(木)
大阪=会場:テアトル梅田 |日程:3月28日(金)〜4月10日(木)
名古屋=会場:センチュリーシネマ |日程:3月28日(金)〜4月10日(木)
京都=会場:アップリンク京都 |日程:3月28日(金)〜4月10日(木)
福岡=会場:キノシネマ天神 |日程:3月28日(金)〜4月10日(木)
札幌=会場:シアターキノ |日程:4 月 5 日(土)〜4 月 11 日(金)
公式サイト:https://tbs-docs.com/
公式X:https://x.com/TBSDOCS_eigasai
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