当時の記者も参加!騒動時のメディアの対応について佐井監督が語る!/『方舟にのって~イエスの方舟45年目の真実~』会見レポート
映画『方舟にのって~イエスの方舟45年目の真実~』の記者会見が6月21日に都内の日本記者クラブにて行われ、本作を手がけた佐井大紀監督が登場した。
本作は、1980年に東京・国分寺市から10人の女性が突如姿を消したと報道され、世間を騒然とさせた謎の集団「イエスの方舟」の現在に迫ったドキュメンタリー作品。今年のTBSドキュメンタリー映画祭で上映されると、メディアによって作られてきた世間が持つパブリックイメージとは全く別の彼女たちの生き方に衝撃を受ける観客が続出し、急遽、2024年7月6日(土)より東京・ポレポレ東中野を皮切りに全国順次公開が決定した。
会見冒頭、今回「イエスの方舟」を取材した理由について、監督は「きっかけは安倍元首相の襲撃事件で、統一教会の問題が浮上して個人と宗教の関係性みたいなものを追及したいと思ったんです。その時に、僕はこれが一体宗教かどうかわからず、かつ、今ではなくかつて騒動になった「イエスの方舟」を訪ねることによって、何か信じることと、生きることの普遍性が浮かび上がるんじゃないかなと思いました」と語った。
続いて、なんと「イエスの方舟」の騒動が起こった当時、実際に取材をしていたという元記者の方が来場しており、当時の感想を伺うことに。「彼女たちはちゃんと会話をしてくれて、非常にまともな人達でした。10年ぐらいして再度取材をするために福岡を訪れたときにも写真撮影も全く拒まれることなく、良い人たちだなと。説教みたいなものを少し聞かせてもらった時に印象的だったのが、「小鳥は手で包むと逃げたくなる。家族は一生懸命でも子供は苦しんでる、小鳥は飛び立ちたいんだ」と言っていたことです。それがこの事件の背景にもあるのかなと思いました」と話し、当時の貴重な話に会場中が聞き入る場面も。これについて佐井監督は「世間話の中で、聖書の教えを見つける形式の聖書の勉強会なんですよ。旧約聖書何が、新約聖書の何がということではないんです。だから今お話しを伺って、そういう意味でいわゆる“宗教団体”とは恐らく少し違うんだろうと思いました。」と感想を述べた。
続いて、取材するうえで心の置き所はどこにあったのか、良い人だと感じてのめり込むことはなかったという質問が司会者からあがると、監督は「一人一人良い人で、会話がてきて、知的な人だと思いますが、おっちゃんのことなどになると断言するんです。質問をすると全く考えずに間髪なくクリティカルな言葉が出てくるところに、違和感をずっと感じていました。それは別に悪いことではなく、普段僕らが生きている社会とは違う「イエスの方舟」という社会があって、そこの住人なんだろうという印象でした」と、一定の距離感で取材をしていたことを明かした。
続いて、本作はTBSに残る貴重なアーカイブ映像を通して描かれているため、制作するうえでアーカイブの使い方として工夫した点については「10年ごとぐらいにアーカイブがあったので、定点観測的に彼女たちを見ていくなかでみえる生活の変化がみえるように編集しました。あと当時どういう質問をしてるのかというところもアーカイブから知ることができたので、それに近いような質問をしてカットバックすることことを念頭に置いたうえで質問をしたりしました」と回答した。さらに、今作では佐井監督自身がナレーションをしている理由については、ドキュメンタリーは主体的なものであるので、誰から見た真実であり、事実なのかは明確にするべきだろうという思いから、自身が担当したようだ。
最後に、当時のメディアが「イエスの方舟」の事件のことを誘拐やハーレムといった報道をしていたのは間違いだったのか、狂っていたのはメディアの方だったのか?という切り込んだ質問案があがった。これに対して監督は「狂っていたのではなく、当時彼女たちを取材しなかったことに問題があると思います。親や夫が家族を取られたという声をまず取り上げているんです。その後に、彼女たちが、「私達はそうじゃないですよ」という手紙を送っているんですけど、それに対しての返答は「サンデー毎日」以外はなかったらしいんですね。要は、被害者と加害者のどちらも取材をしていれば、もう少し違ったのだろうなと。メディアが一度報じた論調を変えなかった点には傲慢さがあったのかなとは思います。ただ家族が感じていることもまた一つの事実なので、それを報じる責任や義務があると感じることは間違えではないと思うんです。だから二元論的にどちらが狂っていたということは難しいです。現代においても一概には定義できないなと、彼女たちと向き合いながら思いました」と、今回取材を通して向きあったからこそ感じたことを踏まえて語り、会見は終了した。
『方舟にのって~イエスの方舟45年目の真実~』
7月6日(土)ポレポレ東中野ほか全国順次公開
監督:佐井大紀
企画・エグゼクティブプロデューサー:大久保 竜
チーフプロデューサー:能島一人
プロデューサー:津村有紀
クリエイティブプロデューサー:松木大輔
撮影:小山田宏彰、末永 剛
ドローン撮影:宮崎 亮
編集:佐井大紀、五十嵐剛輝
MA:的池将
製作:TBSテレビ
配給:KICCORIT
配給協力:Playtime
©TBS
2024年/日本/69分/ステレオ/ 16:9
公式X:https://twitter.com/TBS_DOCS
公式HP:hakobune-movie.jp
- 『デッドプール&ウルヴァリン』プレミアムラージフォーマット上映決定!全5種フォーマット版ポスタービジュアル解禁!
- “宣伝コメンダトーレ”堂本光一 登壇!映画『フェラーリ』先行上映会イベント実施!「とにかく圧巻!衝撃シーンもあるので楽しんで」