MOVIE MARBIE

業界初、映画バイラルメディア登場!MOVIE MARBIE(ムービーマービー)は世界中の映画のネタが満載なメディアです。映画のネタをみんなでシェアして一日をハッピーにしちゃおう。

検索

閉じる

映画『94歳のゲイ』公開初日舞台挨拶レポート/満席の観客全員が長谷忠さんを祝福「皆さんええ顔してはるわ。みんなこれからも元気で、長生きするんやで」

激動の時代を生き抜いてきた94歳の同性愛者に密着したドキュメンタリー映画『94歳のゲイ』が4月20日(土)よりポレポレ東中野にて公開された。当日は初日舞台挨拶が開催され、吉川元基監督と、出演者の長谷忠さん、ボーン・クロイドさん、そして日本初の商業ゲイ雑誌「薔薇族」の元編集長である伊藤文学さんを招いたトークセッションが行われた。

会場は期待感で満ちていた。吉川監督が「人生を記録させてもらった長谷さんには、満席の中で舞台挨拶をしてほしい」と望んだ通り、公開初日から多くの観客が駆けつけ、鳴りやまない拍手と暖かい雰囲気の中、長谷さんらを迎え入れた。

 

冒頭、長谷さんは観客に向かい「皆さん本当にありがとうございます。ありがとう以上のこと。皆さんええ顔してはるわ。みんな美女と男前。ええ人ばっかりやな。顔見ただけでわかる。みんなこれからも元気で、長生きするんやで」とチャーミングな笑顔を振りまき、長谷さんの朗らかな魅力は会場を和やかな雰囲気に包んだ。

そんな中、トークは吉川監督、ボーン・クロイドさんと長谷さんとの出会いから、それぞれが本作に込めた熱い思いを打ち明けた。吉川監督は「長谷さんに出会って、ドキュメンタリーを作りたいと話したら、『僕には家族も恋人もいない。どう描かれても喜ぶ人も悲しむ人もいないからいいよ』と言われたのが衝撃的でした。こんな言葉で取材が決まるのは初めてだったし、この言葉に長谷さんの人生が垣間見えたので、絶対にドキュメンタリーにしなければと思いました」

映画の中でも長谷さんを気遣う姿が印象深いボーンさんは「今日ここには僕の友達がたくさん来てくれていますが、ノンケ(異性愛者)が非常に多い。でも僕にこれだけ仲間がいるのは、僕が早い段階でカミングアウトできたから。本作が少しでも同性愛者の支えになって、カミングアウトできる人が増えるといいなと思います」と、長谷さんの人生に寄り添った二人ならではのメッセージを伝えた。

 

最後には、日本初の商業ゲイ雑誌「薔薇族」元編集長・伊藤文学さんが特別ゲストとして登壇。伊藤さんから長谷さんに花束が贈呈された。

長谷さんは「僕は少年の頃から「薔薇族」を読んでた。ゲイの生き方をこの人から学んできたんよ。薔薇族があったおかげで、僕の一生があるみたいなもんでね、この人のおかげよ。みんなこの人に手叩いてあげて」、伊藤さんは「こんな催し物をしてくれたことに、感激しております。長生きしてよかったと思います。そして「薔薇族」がゲイの人たちの心の支えに少しでもなれたことを今でも感謝しています。皆さんは「薔薇族」を読んだことないと思いますけど、まだ在庫がありますから、ぜひ皆さんに差し上げます。読んでみてください」と「薔薇族」へかけてきた思いを語り、会場には笑いと拍手と、二人を祝福する温かい雰囲気で満たされた。(※長谷忠さんは現在95歳、伊藤文学さんは92歳です)

【ストーリー】
「僕にとってまるで奇跡やな。奇跡の出来事や―」
長い間ゲイであることを誰にも打ち明けることなく、孤独の中で生きてきた長谷さん。唯一の拠り所は文学、詩作だった。1963年に現代詩の新人賞として最も権威ある「現代詩手帖賞」を受賞、そのどこか飄々とした佇まいは選者である谷川俊太郎にも高く評価され、著作も複数刊行。94 歳となった今も日々、短歌を詠む。長谷さんが生まれた当時”同性愛は病気である”と公然と語られていた。その後時は流れ、同性愛者を取り巻く環境は大きく変化してきている。そんな中自身もカミングアウトを果たし、理解あるケアマネージャーの存在にも⽀えられ、日々をたくましく生きる長谷さんだったが――。

語り:小松由佳
監督:吉川元基
プロデューサー:奥田雅治
撮影:南埜耕司
編集:八木万葉実
録音:西川友貴
音響効果:佐藤公彦
タイトル:平 大介
配給:MouPro.
製作:MBS/TBS
製作幹事:TBS
2024 年/日本/90 分/ PG12/ステレオ/ 16:9
©MBS/TBS

公式HP:www.94sai.jp

ポレポレ東中野ほか全国順次公開中