MOVIE MARBIE

業界初、映画バイラルメディア登場!MOVIE MARBIE(ムービーマービー)は世界中の映画のネタが満載なメディアです。映画のネタをみんなでシェアして一日をハッピーにしちゃおう。

検索

閉じる

黒沢清監督作『Chime』がDVTプラットフォーム「Roadstead」で限定999個を世界同時販売!「通常とはまた違う、新しい形態でみなさまのもとに届けられる」

株式会社ねこじゃらしは世界初の動画流通の枠組み「DVT(Digital Video Trading /デジタル・ビデオ・トレーディング)」プラットフォーム「Roadstead」にて、Roadstead Original映画、第74回ベルリン国際映画祭正式招待作品、黒沢清監督作『Chime』の世界同時販売を4月12日(金)19時より開始する。

<映画『Chime』DVT販売について>

【DVTコンテンツ】

■販売価格: 99 USドル(14,850円 ※1ドル=150円換算、以下同)

■販売期間:2024年4月12日(金)・午後7時00分~ 5月11日(土)午後11時59分
※全世界販売総数が 999 本に達した時点で販売終了

■購入特典:
(1)『Chime』メイキング・ドキュメンタリー「料理人たち」(63分) 監督:金 允洙(キム・ユンス)
(2)『Chime』デジタル・ポスター
※特典は購入者にRoadstead上で無償配布の予定です(配布日時は購入者に通知)

■二次利用(リセール・レンタル・スタニング)利用開始日時:2024年5月13日(月)・午前0時00分~
※『Chime』本編、購入特典(1)、(2)とも二次利用が可能

公式サイト:https://roadstead.io/chime

販売に先駆け、墨田区菊川にある「映画館 ストレンジャー」にて記者発表を開催。サービス提供する株式会社ねこじゃらし代表取締役・川村 岬による作品の流通についてのカンファンレンス、『Chime』国内初上映、黒沢清監督を招いてのトークとQ&Aが行われた。

「Roadstead」を運営する株式会社ねこじゃらしの川村代表は、カンファレンス冒頭「映画は死なない 技術を味方に一人一人の声を届ける」という巨匠マーティン・スコセッシが第74回ベルリン国際映画祭で口にした言葉を紹介。「Roadstead」のサービスをはじめとする、この日の発表内容は「この言葉に凝縮されています」と語る。

そして「Roadstead」について「ひと言で言うと、ユーザーが作品を広めるWeb3型のプラットフォームです」と説明。「作品を販売するクリエイター側は基本的に全くノーリスクで作品をローコストで出品することができますし、作品を買うユーザー側は、いわば作品の“オーナー”となって、合法的にトレードできます。最終的に、テクノロジーで映像作品の流通コストを改善し、その利益をクリエイターに還元することで、作品制作の好循環をつくることを目指しています」とクリエイターとユーザーの関係性、その目指すべき方向性を語る。

Roadstead上での具体的な作品の販売の仕組みの説明に際し、川村代表は「DVT(Digital Video Trading)」という概念を提唱する。これは「デジタル映像作品のオーナーライセンスを購入し、それを好きな時にトレード(リセールおよび期間限定でのレンタル)すること、さらに家族や友人などのために非営利の上映を行うこと(スタニング=“推し活”の意)も可能になる」というもの。

現在の日本国内における映画興行ウインドウでは、映画館(劇場公開/約2100億円規模)、配信(SVOD/約5500億円規模)に続き、「DVD、Blu-rayの販売」、「放送」、「非劇場(自主上映)」という流れとなっているが、川村代表は「Roadstead」を全ての公開ウインドウの最初に持ってくることで、コアなファンの「いち早く見たい」、「コレクションしたい。特典が欲しい」、「人にも見せたい」という要望・熱量に同時に応え、映画を盛り上げることが可能になると展望を語る。

一方で川村代表は、映画館の大スクリーンやサラウンド音響で映画を鑑賞することやパンフレットやグッズの存在、舞台挨拶やティーチインなどのリアルな交流がもたらす特別な価値についても言及し、DVTパッケージ販売後に『Chime』が劇場公開されることも明言。「Roadstead」がミニシアターエイドなど、映画の多様性を支える活動をスポンサードしてきたことにも触れつつ「DVTと劇場公開は両立する」と語り、劇場の利益を損なう存在ではないと強調する。

また今後の予定として、「Roadstead」オリジナルシリーズの第2弾として工藤梨穂監督の『August My Heaven』がリリースされるのに加え、第3弾以降の作品も制作中であると明かした。

川村岬代表(株式会社ねこじゃらし)

『Chime』上映後には、黒沢清監督、川村代表、岡本英之によるトークセッションと質疑応答が行われた。黒沢監督は今回の『Chime』について「45分という、通常、僕がやっている映画とは違う長さの作品ですが、川村プロデューサー、岡本プロデューサーから『一度、こういう作品をやってみないか?』とお声がけいただきました。やったことがないので、自分に何ができるのか試してみたいというシンプルな欲望から出発しました」と出発点について明かし、「Roadstead」という新たなプラットフォームでの映画製作に関しても「通常とはまた違う、新しい形態でみなさまのもとに届けられる、新しい何かに参加できることを光栄に感じまして、やろうと思いました」と語る。

黒沢清監督

川村代表は第1弾作品に、以前『スパイの妻』でも組んだ黒沢監督を指名した経緯について「黒沢監督とは私たちが映画製作に関わった第1作である『スパイの妻』でご一緒させていただきましたが、今回『Roadstead』という新たなサービスを始めるにあたり、どういう作品をどういった方にオファーするかを、『スパイの妻』のプロデューサーを務めた岡本さんに相談する中で、推薦していただきました。最初に聞いた時は、まだできてもいないプラットフォームに協力していただけるのだろうか? という不安もありましたが、引き受けてくださるということで非常に喜んだのを覚えています」と明かす。岡本プロデューサーは「今回のお話が立ち上がってきた時、メールでおそるおそるご連絡したところ、まさか引き受けてくださるということで企画がスタートしました。制作プロダクションのC&I エンタテインメントの田中美幸プロデューサーにもご相談し、動き始めました」と振り返る。

岡本英之プロデューサー

黒沢監督は「内容について『何をやればいいんでしょう?』と聞いたら『お好きにやってください』と言っていただけて、『本当に僕でいいんですか? 濱口(竜介)でなくていいんですか?』と聞いたら、『いいんです。ぜひ黒沢さんに』と言っていただけました(笑)。45分くらいで通常と違う形式の映画で『なんなんだ、これは…』という不思議な作品をつくってみたいと思っていたので、ちょうど良いと思いました」と述懐。

主人公は料理教室の先生として働く松岡(吉岡睦雄)で、料理教室が主な舞台のひとつとなるが、この設定について、黒沢監督は「わりと思い付きでたいしたきっかけはないですが…」と明かしつつ、クリント・イーストウッド監督の『ヒア アフター』に触れ「料理教室のステンレスが不気味だった」と語り「ステンレスの包丁などが並んでいる場所は、撮りようによっては怖いかなと思いました。実際の料理教室に見学に行くと、不穏なことは全くないんですけど、先生が言った通りに全然やらない生徒など、面白いものが見えてきて『これはいいかも』と思いました」と説明する。

また「Roadstead」という新たなプラットフォームで映画を撮ることの魅力について、黒沢監督は「長さが自由であることは魅力ですし、作品を作品として世の中に出していただける、たかが45分の作品であっても世の中に提供していただけるというのは最大の魅力だと思います」と作り手側から感じるメリットについて言及。さらに「僕は映画の信奉者であり、古い人間なので『映画が一番』だと考えています」と断った上で「こういう新しい試み、(従来の)映画とは作り方、見せ方みたいなものは、絶対に、回り回って映画にとってプラスになると思っています。よく『こういうものが出てくると映画はどうなっちゃうんでしょう』と不安がる人がいますが、その程度で映画はめげません! むしろ、そういうものを取り込んで、映画はより豊かになると信じています。通常の映画というものと少し違う形で映画を豊かにできるチャンスがあるなら、大いにやりたいという思いが強かったです」と「Roadstead」に対して強力なエールを送った。

川村代表は黒沢監督の言葉に嬉しそうに笑みを浮かべ「本当に良い作品を作っていただいて感動しておりますし、第一弾でこの作品が販売されることを嬉しいことだなと思っております」と語り、改めて「Roadstead」と映画館の関係性についても「今日、この映画館でこの発表会をやったことがひとつの象徴ですが、我々は映画文化というものをテクノロジーで破壊して、全部配信にしようというのではなく、逆に映画文化を支えてきたミニシアターとうまく共存できると思っています。例えば45分という尺ですが、普通の90分や120分の長さが、作品にとって必ずしも良いとは限らないですし、新しいプラットフォームだからこそ、こういうことにも挑戦できます。見事にそれを形にしていただいた監督に感謝申し上げたいです」と語った。

【ストーリー】
料理教室の講師として働いている松岡卓司(吉岡睦雄)。ある日、レッスン中に生徒の1人、田代一郎が「チャイムのような音で、誰かがメッセージを送ってきている」と、不思議なことを言い出す。事務員の間でも、田代は少し変わっていると言われているが、松岡は気にすることなく接していた。しかし別の日の教室で、田代が今度は「僕の脳の半分は入れ替えられて、機械なんです」と言い出し、それを証明するために驚くべき行動に出る。田代の一件後のある日、松岡は若い女性の生徒・菱田明美を教えていた。淡々とレッスンを続ける松岡だったが、丸鶏が気持ち悪いと文句を言う明美に、彼は──。松岡の身にいったい何が起きたのか。料理教室で、松岡の自宅で、ありふれた日常に異様な恐怖がうごめき始めたのだった……。

監督・脚本 黒沢清
主演 吉岡睦雄
プロデューサー:川村岬、岡本英之、田中美幸
共同プロデューサー:村山えりか
製作:Roadstead
企画:Sunborn
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント
(c)2023 Roadstead

※「DVT」=Digital Video Trading (デジタル・ビデオ・トレーディング)とは?
Roadsteadの最大の特徴は、映像を数量の制限なく配信するプラットフォームと違い、オンライン上に存在する映像作品をDVD等と同じように一意・固有の「アイテム」として扱い、ユーザーは作品を視聴して楽しむだけでなく、第三者に転売やレンタルすることで収益を得ることができる。出品される映像は例外なく数量限定で全てにシリアルナンバーが付与されており、購入した方だけが利用できる「モノ」です。ユーザーは動画を視聴するだけでなく、販売やレンタルを通じて流通(トレーディング)に参加することができ、その売上からは出品者に権利料が還元される仕組みになっている。ユーザーは単なる消費者ではなく、出品者の活動を経済面で直接的に支援するサポーターになることができる。

★関連記事

黒沢清の新作『チャイム』が製作決定!ホラーでもSFでもない全く新しいジャンルの映画!「世にも異様な映画、それが今回の作品の狙い」

【第35回東京国際映画祭】『地獄の警備員』 黒沢清監督トークショー「この時期はいわゆるジャパニーズホラーというものはなかった」