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日本を代表するジャーナリスト・青木理と山﨑裕侍監督の対談が実現!『ヤジと民主主義 劇場拡大版』会見レポート

日本を代表するジャーナリスト・青木理×山﨑裕侍監督
「小さな声が本当にいろんなものを暴いてしまった」
『ヤジと民主主義 劇場拡大版』会見レポート

2019年7月15日、安倍元首相の遊説中に、市民が政権に異議をとなえただけで警察に即座に取り囲まれ移動させられた“ヤジ排除問題”。この出来事を追ったドキュメンタリー番組「ヤジと民主主義」が『ヤジと民主主義 劇場拡大版』として、12月9日より東京・ポレポレ東中野、北海道・シアターキノほか全国公開される。
公開に先駆けて、日本を代表するノンフィクション作家であり、ジャーナリズムにも深くメスを入れるジャーナリスト、青木理氏と、HBC放送の社員であり、ディレクターとして、ジャーナリストとして本事件を追い続けた山﨑監督の対談が実現し、11月8日(水)に会見が実施された。

山﨑監督は、「北海道放送報道部でデスクをしている山崎と申します。本作は警察の過剰警備や表現の自由をテーマにしていますが、ヤジやスト、デモなど労働者の当たり前の権利を主張することがなかなかできなくなっていて、そんな社会になりつつあることを私たち自身が許してしまっている危機感を感じています。この映画を“ヤジは迷惑だ”と感じている方にこそ見ていただき、対話のきっかけになって欲しいと思っています。」と挨拶をした。

ゲストの青木氏は「今日は鑑賞者としてお邪魔しましたが、完全版を初めて拝見し、素晴らしいというのも変ですが、こういったドキュメンタリーが映画として観れるのは社会にとって意味のあることだと思います。ヤジを発した人の小さな声が、いろんなものを暴いたのだと思いました。日本社会の空気なようなものも暴き、この作品によって問題の所在が明らかになってきたなと思います。そして暴くきっかけとなった声を精緻な取材をして我々の目に見せてくれた監督、制作者の皆さんに敬意を表したいと思います。」と感想を述べた。

映画で暴かれたさまざまなポイントについて、青木氏は「僕自身の経験から、本編で原田さん(元北海道警察幹部)も指摘されていましたが、滑稽なまでの排除をした警察の内部でどういった力学が働いていたのか。推測にはなりますが、上層部からの指示がなければここまでやらないと原田さんもおっしゃっており、警察という組織の体質を考えればその通りだと思います。では何が起きていたのかを我々は考えなければならない。それが官僚組織の安倍政権への忖度なのか、上司からの忖度があったからなのか・・」と疑問を呈した。

本事件を4年間追い続けたモチベーションについて問われた山﨑監督は、「この問題を最初に報じたのは本日もお越しいただいている朝日新聞の斎藤さんでした。第一報で警察を批判するような記事を出す勇気は素晴らしいと思います。我々は遅れた形で追いついたのですが、「放っておいたら大変なことになるのではないか」と思って取材を続けました。続報を出していくうちに気がつくと他局が報道しなくなっていた。我々だけが続けていて、我々が辞めると特にテレビはどこも検証しなくなると思い、やり続けた結果です。」と語った。さらに青木氏は、「吃音に悩まれている女性、少数派を排除しようとする日本の社会に違和感を感じている男性、僕自身、どこかの活動団体の方かとも思いましたが、映画を見たら全く違う。今年このお二人とシンポジウムでじっくりお話させていただいたのですが、本当に真面目に地道に一生懸命生きようとしていて、弱い人々に優しい向ける人たちでした。そう言う方々が必死に声を上げたと言うのはある種彼らは「炭鉱のカナリア」なのかなと思いました。小さいけれど声を上げただけで「迷惑だから排除」すると言うのはどう考えても生きづらくなると言うことを痛感しました。そしてこう言うことが社会のあちこちで蔓延しているのではないかと思いました。我々は小さな声に目を見張って耳をそばだてないといけないですし、その中でのメディアの大切さを痛感しました。」とメッセージを送った。

話は先月10月14日徳島にて、岸田総理に対して「増税するなら宗教法人にしろ」などとヤジを飛ばした男性に対する警備の話にも及んだ。山﨑監督は「徳島県警の警察官が集まり、自制を促したように見えて問題がわかりにくいですが、専門家(刑事訴訟法・警職法を研究している教授ら)に確認したところ、ヤジ自体は犯罪行為でも危険行為でもない上、不審を抱いて職務質問をすると言う行為もなしに制すると言うのは職務質問を上回る不利益行為を行なっていると指摘があり、さらに安倍元総理の銃撃事件も相まって、“街頭演説はおとなしく聞くものだ”と言う風潮が広まってしまって警察の過剰警備に気付いていない点にも問題があるのではないか。」と言及した。

最後に質疑応答として、活発に意見が飛び交った。フリーライターの江川紹子さんや、北海道ヤジ排除問題を最初に報じた斎藤記者からの質問があり、1時間の非常に有意義な記者会見となった。

 

『ヤジと民主主義 劇場拡大版』
12/9(土)よりポレポレ東中野、シアターキノほか全国順次公開
配給:KADOKAWA
ⒸHBC/TBS

語り:落合恵子 取材:長沢祐 制作・編集・監督 山﨑裕侍 
プロデューサー:山岡英二 磯田雄大 鈴木和彦
撮影:大内孝哉 谷内翔哉 村田峰史 編集:四倉悠策
MA:西岡俊明 音楽:織田龍光
製作:HBC北海道放送 
配給:KADOKAWA 宣伝:KICCORIT
2023年/日本/100分/ステレオ/16:9  
ⒸHBC/TBS
公式HP:http://yajimon.jp/
公式twitter: https://twitter.com/yajimin1209