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【プロが見たこの映画】宣伝のプロが語る 「『福田村事件』を見て予告編の今後について考える」

『福田村事件』を観た。
というか目撃してしまったと言う方が正しいかもしれない。

日本人としてこんな衝撃的な事件を今まで知らなかったことを恥じたし、今知れたことに感謝したいとも思った。
この映画はクラウドファンディングで制作費を集めたらしい。その理由は映画を観ればわかると思うが、地上波では絶対に放送できない内容だ。今や報道にまで圧力がかかる日本では、もはや映画が真実を届けられる最後のメディアなのかもしれないと強く思った。

この映画を観に行ったのは、instagramでの映画紹介を見たことがきっかけ。
元々は水道橋博士さんがYouTubeで福田村事件に出演している話をしていて「どんな映画かな?」と思っていたが、その後何度も映画紹介記事を見かけたが、なかなか観に行くきっかけがなく過ごしていた。その時目にしたのが、このinstaの紹介文。そこには「伝えなきゃ、観てほしい!」と言う純粋な気持ちが溢れていた。そして、その紹介文の最後は監督の言葉で締めくくられていた「自分探しをして欲しい」と。この映画を観たら僕は一体どんな気持ちになるのか?自分の目で確かめたくなった。

(提供元:nami_cinema)

今のご時世映画を観る時間を作ることは大変。スケジュールの問題、場所の問題もあるが、スマホで何の映画を観ようか検索していると、いつしか関係ないサイトに辿り着いて映画を探すことがどこかに行ってしまったり、そのまま仕事のLINEの処理に追われてしまうこともある。映画を観に行くまでにはいろいろな障害があるのだ。

こんな状況で、一番効果があるのは、自分に向けられた言葉。この映画観た方が良いよ。観たらこんな気持ちになるよと言われると、「観たいな」と言う気持ちが「観なければ」と言う確信に変化する。

 

自分の宣伝はそんな気持ちにさせられているだろうか?

 

最近、「この映画にこんな予告つけるな」と言うクレームを時々見かける。プリキュアにホラー映画の予告、ディズニー作品に大人向けのアニメ予告などいろいろあるが、自分の感性に合わないものが流れた事に対してのクレームだ。でも、これはある意味仕方ない事だと思っている。映画館は、お客様に映画を楽しく観ていただくことを全力でサポートするのが務めだし、次の鑑賞動機に繋げるための役割が予告編なのに、気分を害してしまっては本末顛倒だからだ。100%全員を満足させることはできないかもしれないが、予告編も映画鑑賞体験の一つの思い出になってくれたらなと思う。

「福田村事件」は事の真相がわからないまま、仮想敵をイメージし自衛団を作り恐怖に怯え自己を失うことから始まる。集団心理も働き「自分だけ反対したら自分もやられるかもしれない」と言う恐怖で善悪の判断もつかなくなる。ポイントは「これは本当は間違っているかもしれない」と誰しも気づいているが止められないと言うところ。この感情は同調圧力の強い現代でも同じことが起こる可能性を示唆している。気をつけなければいけない。

クレームの電話が増えたらどうしよう、SNSが炎上したらどうしようという恐怖が冷静な判断を狂わせていないか?この延長線上にはもしかしたら、怖くないホラー映画の予告編、笑えないコメディ映画の予告編。情熱的になりすぎない恋愛映画の予告編などが生まれかねない。さらには「予告編の予告」の制作に発展する可能性だってある。

問題を取り違えてはいけない、配慮は必要だが過剰な対応は害になる。誰を忖度し、誰に気を遣っているのか?そこがはっきりとしていない対応は意味がないと思っている。具体的にイメージし、「自分はどう考えるか?」としっかり自分と向き合いながら判断していくことが大切になってくる。

 

福田村事件を鑑賞して、日々事件が起こる宣伝の現場を連想する
宣伝プロデューサー ちくん

 


『福田村事件』公開中
監督:森達也
出演:井浦新、田中麗奈、永山瑛太 ほか
(C)「福田村事件」プロジェクト 2023

 

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