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『ジョン・ウィック:コンセクエンス』公開記念「俺たちのジョン・ウィック」/『ジョン・ウィック』だからこそ輝く、キアヌ・リーブスという俳優

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』公開記念
「俺たちのジョン・ウィック」
①『ジョン・ウィック』だからこそ輝く、キアヌ・リーブスという俳優

シリーズ最新作にして4作目、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』がついに公開されようとしている。シリーズを重ねるたびにアクションの激しさは増していき、興行収入も右肩上がり。今やキアヌ・リーブスという俳優の活動の中心になっている作品だ。

そんな中、これまでのキアヌのキャリアにとってのアクション映画、そして『ジョン・ウィック』シリーズという存在を改めて考察してみたい。

 

■『スピード』でブレイクしてもブレなかったキアヌ
そもそもキアヌがアメリカの世間に知られるようになったのは25歳。おバカコメディ『ビルとテッドの大冒険』(1989年)がきっかけだ。今でこそ『ジョン・ウィック』シリーズで拳銃を打ちまくっているが、20代~40代の彼のキャリアにおいて、アクション映画は特別なものではなかった。

28歳で出演した潜入捜査刑事アクション『ハート・ブルー』(1991年)のさわやかな演技で印象を残し、それが『スピード』(1994年)の主演につながる。『スピード』は全世界で大ヒット、キアヌは次世代のアクションスターともてはやされた。しかしキアヌにとっては出演したかった映画の1本に過ぎず、ブレイクしたことも今後の作品を選びやすくなっただけで、アクションスターになることはなかった。

それを証拠に『スピード』の次に彼が選んだのはアラフォンソ・アラウ監督の激シブ恋愛映画『雲の上で散歩』(1995年)だ。『スピード』を配給したスタジオである20世紀フォックスは、なんとかキアヌを世界的なアクションスターとして売りたいと思っていた。その後『チェーン・リアクション』(1996年)に主演させるが、キアヌの役どころはあくまで科学者。秀作ではあるものの、アクション映画として話題になるほどの作品ではなかった。

そんなスタジオの期待を知らなかったわけではないだろうが、あろうことかキアヌは『スピード2』(1997年)のオファーを一蹴する。スタジオの重役はカンカンに怒ってしまい、しばらく20世紀フォックスの敷居を跨げなくなってしまうのだった。

 

■『マトリックス』で再ブレイクしてもなおブレないキアヌ
『スピード』の熱も冷めた1999年、キアヌは『マトリックス』に主演する。『マトリックス』は世紀の映像革命と評価され、キアヌは見事セカンドブレイクを果たした。世界的ムーブメントとなった『マトリックス』シリーズによって絶大な人気を得たキアヌだったが、セカンドブレイクを果たしてもなお、キアヌはブレない。

キアヌはまたしても、スーパースターとしてハリウッドに君臨したいなら出る必要がない映画に積極的に出演し続けた。このころのキアヌなら、お金のかかった大作映画でキラキラするマネーメイキングスターになれたはずだ。筆者を含め、そんな未来を夢見た人は多かったはずで、それがスタジオの重役ならなおさらだろう。しかしキアヌはその道を選ばなかった。選ばなかったというより、おそらくそういう人なのだ。

出演作はどれも心底やりたかった作品であって、そこに打算はないのだろう。キアヌ自身がいい脚本だと思えば迷わず挑戦し、人目を気にせずに邁進する。それがキアヌという人なのだ。

■ぼっちキアヌ
『マトリックス』シリーズ以降、『ジョン・ウィック』までの約10年、キアヌに目立ったヒット作はなかった。いくつか話題作はあったもののそこまで大きなヒットには至らず、ベンチで寂しそうにしている“ぼっちキアヌ”がネットに拡散されたのもこのころだ。

ブレないキアヌだけに後悔こそなかったのだろうが、監督デビューとなった『ファイティング・タイガー』(2013年)でも評価を得られず、さすがのキアヌもメジャースタジオからのオファーがないことに危機感を抱いていた。

 

それでもキアヌは大小問わずに映画に出続けた。出演作は話題にならなかったかもしれないが、電車で席を譲っている姿を目撃され、ホームレスと友達になったとか、主演映画の打ち上げパーティに入るために行列に並んでいただとか、世界中のキアヌファンが何かと“いい人”エピソードを提供し、世界中がその姿にほっこりした。

キアヌはゴリゴリのセレブではないためプライベートがあまり話題にならないが、その過去は決して明るいものではない。親友リヴァー・フェニックスの死、恋人の流産と事故死、そんなつらい過去をひっそり乗り越えてきたのだ。信念を曲げずに活動し続けるキアヌの姿を人々は決して忘れていなかった。

 

■ジョン・ウィックという人物とキアヌ
そして2014年。キアヌの復活、サードブレイクとも言えるのが『ジョン・ウィック』だ。

ここでジョン・ウィックという人物を改めて振り返ってみたい。

マフィアの殺し屋家業を担っていた男ジョン・ウィック。彼は恋人ができたことで足を洗うことを決意するが、その才能の高さから周りがそれを許さない。それでも彼は信念を曲げずに念願の一般人となった矢先、最愛の恋人を病気で亡くしてしまう。亡き恋人が残した子犬と愛車とともに再出発を図ろうとするが、その子犬と愛車がマフィアに奪われてしまう。彼の怒りは頂点に達し、またしても殺し屋に戻る羽目になる。

信念を持って行動し、決してブレない。周りの期待を感じてはいるが、自分がそうしたいと思ったことは決して曲げない。世界のルールや常識を敵に回してでも、自分のルールを守る。最強の暗殺者なのに、なんだかほっこりさせる男。

ジョン・ウィックという人物像は、まるでキアヌのこれまでを投影したような人物で、そのことがこのシリーズを面白くしている大きな要因だろう。

 

■今が全盛期。これからも俺たちのキアヌはやってくれる
現在のキアヌは『ジョン・ウィック』シリーズに熱心に取り組み続けている。3作目の『ジョン・ウィック:パラベラム』以降、たとえほかの作品に出演しても、ひげで長髪の姿を維持していることが何よりの証拠だ。もはやこのアクションシリーズは彼のライフワークと言っていい。

ほぼ『ジョン・ウィック』シリーズ専門ではあるが、結果として遂にキアヌはアクションスターになった。そして『マトリックス』の続編に出演し、『トイストーリー4』(2019年)に出演し、『ビルとテッド』シリーズの続編に出演した。今後はあの名作『コンスタンティン』の続編も予定されている。ブレない姿勢を貫き続けた俳優キアヌ・リーブスは、人々の期待に応えるようになった。

御年59歳になるキアヌ・リーブスは、世界中から愛されるまぎれもないハリウッドのトップスターであるが、いい意味でセレブ感はなく、親しみやすい雰囲気はずっと変わらない。今後もトム・クルーズやブラッド・ピットのようなハリウッドに君臨するような存在になることはないだろう。

しかし、今後も『ジョン・ウィック』シリーズは拡大し続けるだろうし、これだけのヒットを飛ばせばメジャースタジオからもオファーは届いているはずだ。ついにマーベル映画に出演するという噂も絶えない。

どう考えてもキアヌ・リーブスという俳優の全盛期は今である。今後のキアヌがどうなっていくのか楽しみで仕方ない。

<文:稲生D>

 

【ストーリー】 
裏社会の掟を破り、粛清の包囲網から生還した伝説の殺し屋、ジョン・ウィック。地下に身を潜めながら、全てを牛耳る組織:主席連合から自由になるために立ち上がった。組織内での勢力拡大を狙う若き高官、グラモン侯爵は、これまで聖域としてジョンを守ってきたニューヨークのコンチネンタルホテルを爆破、ジョンの旧友でもあった盲目の達人ケインを強引に引き入れ、ジョン・ウィック狩りに乗り出す。そんな中、日本の友人、シマヅの協力を求めてジョンが大阪のコンチネンタルホテルに現れた…

【キャスト】
キアヌ・リーブス ドニー・イェン ビル・スカルスガルド ローレンス・フィッシュバーン 真田広之 リナ・サワヤマ ほか

【スタッフ】
監督:チャド・スタエルスキ
配給:ポニーキャニオン
原題:JOHN WICK:CHAPTER4(2023/アメリカ)
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9月22日(金)全国公開