【プロが見たこの映画】ファッションのプロが語る「巻き戻してから返却してください」
2021年1月、メルカリで3,980円のビデオデッキを購入した。
ご存知の方も多いと思うが、惜しくも2020年に閉店した新宿TSUTAYAに並んでいたビデオテープ達が今は渋谷TSUTAYA(通称:渋ツタ)に移送されている。
2021年といえば私が1番、誰も知らないようなとにかくコアな映画を観たい!という、おそらく映画を人並み以上に好きになったことがある人が一度は通る道を爆走していた時期だった。この時期は東横ユーザーだったこともあり、ほぼ週3で渋ツタに健気に通っていた。
週3も通って何を借りていたかというと、当時ツァイ・ミンリャンに激ハマりしていた私は『西瓜』を観てからその勢いは急加速し(今考えれば本当にどうかしていたと思う)ツァイ・ミンリャンの映画を片っ端からレンタルしていた。
『西瓜』
ちなみにTSUTAYAは検索機能でレンタルDVDを探すことも出来るが、該当の棚をどれだけ探しても見つけることができず、店員さんに尋ねるのも恥ずかしすぎて未だに見ることができていない『ダイナソー in L.A.』という映画がある。Filmarksの平均評価は驚異の1.8を叩き出している。当然サブスクにもないので、見かけたらご一報ください。ボロクソに言われているレビューも面白いのでぜひ覗いてみてほしい。
話がだいぶ逸れたが、ビデオデッキを購入したのも実はツァイ・ミンリャンの為で『Hole』という作品でレンタル出来るものがビデオテープしかなかったが、激ハマり爆走映画オタクは諦めもせず、ビデオデッキの購入に至ったというわけだ。『Hole』に関してはツァイ・ミンリャンに激ハマりするもっと前に下高井戸シネマのTwitterで紹介されており、そこからずっといつか見てやると執念を抱いていたので意地半分、執念半分で達成された。肝心の作品に関しては、突拍子もねえな…という感じだった。
『ダイナソー in L.A.』
『Hole』をビデオで見てからツァイ・ミンリャンではなく、ビデオテープに愛着が湧いてしまい、古書店などで映画のVHSを見つけるとついつい購入してしまうようになった。そして見ていないビデオが3本溜まっている。(『気狂いピエロ』『東京物語』『ひなぎく』という、なんともVHSっぽいラインナップ)
私は小学生の時、ビデオテープで何度も録画したこち亀SPを見ていたし、当然使い方も分かるのだが、ビデオテープが通じるのは何歳までなのだろうか‥
レンタルしたビデオを巻き戻しして返却するという行為を経験したことがあるのは何歳までなのだろうか‥でもビデオテープでしか見ることができない映画もたくさんあって、2021年の私のように、ツァイ・ミンリャンを求めて週3渋ツタ通いの若い子もきっと存在するだろう。存在するからこそ、これからもずっと、ビデオテープは無くならないでほしいし、どうか巻き戻してから返却してください。
映画ファッションマニア つみき
『ダイナソー in L.A.』(2013)
監督:ジョセフ・J・ローソン
出演:トリート・ウィリアムズ、ロニー・コックス 他
『西瓜』(2005)
監督:ツァイ・ミンリャン
出演:チェン・シャンチー、リー・カンション 他
『Hole』(1998)
監督:ツァイ・ミンリャン
出演:ヤン・クイメイ、リー・カンション 他
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