【プロが見たこの映画】K-POPファンが語る「小宇宙(コスモ)は、私たちの中にもある。」
「君は小宇宙を感じたことがあるか。」
この超胸熱なセリフを生み出した伝説的漫画:車田正美の「聖闘士星矢」が本場ハリウッドで完全リブートした。
ストーリーは、こうだ。
主人公・星矢は、生き別れた姉を探しながら地下格闘技でその日暮らしをしていた。ある戦いの最中、とてつもない力を発揮してしまった星矢は、突然この力を求める謎の集団から狙われることになる。危機一髪で星矢を助けた人物からは「君の使ったパワーは<小宇宙>という、誰の体内の中にもある神秘的な力だ」「君の使命は、“知恵”と “戦い”の女神アテナの生まれ変わりであるシエナを守り、世界を救うことだ」と告げられ混乱する星矢。そして、捜している姉の存在をほのめかされることで、物語はさらに加速していくー。
本題の前に、物語に出てくる三種の神器的ワードを紹介しておこう。
▼聖闘士(セイント)…神話の時代から大地を守っている女神アテナを守護するために戦う戦士たち。
▼聖衣(クロス)…聖闘士が身に纏う防具。
▼小宇宙(コスモ)…体内に存在する宇宙エネルギーのことをいう。聖闘士は体内の小宇宙を爆発させることによって、音速に匹敵する速さの拳を放ち、物質を原子レベルで破壊するなど驚異的な力を持っている。
と、まあ堂々と紹介している私も、実は当時の爆発的人気を知らない世代。
初めはこの神器に、ハテナを浮かべていた。そして物事をすぐにK-POPと繋げる癖のある私は、あるグループの楽曲を思い浮かべてしまうー。
BTSのMikrokosmos (小宇宙) という楽曲だ。
ミクロコスモスと読み、一般的に知られてはいないが、彼らとファンとの関係性を表した人気曲である。タイトルの意味は、ライブ会場でファンが持つライト=星とし、数多の光で埋め尽くされるライブ会場を1つの小さな宇宙と例えたものである。
もちろん聖闘士星矢の<小宇宙>とは意味が異なるが、私は今作を見て、どうにも繋がりを感じてしまった。
それは、映画で描かれる<小宇宙>と、<小宇宙>という楽曲を歌うBTSには、人と人の間に生まれる熱い思いが共通しているからだ。
映画の主人公・星矢は、神々の戦いに巻き込まれながらも熱い友情と小宇宙を燃やし、不屈の精神と多彩な技で悪を倒していく。この熱い友情は、バトルアクションに匹敵するほどの物語の肝であり、小宇宙の力は自分ではなく、他人のために使われる時に最もパワーを発揮するという設定も胸熱ポイントである。その結果として、小宇宙が燃え、爆発する時、そこには登場人物の葛藤や恐れを乗り越えるドラマ・友愛の物語が描き出されるのだ。
そしてまたBTSの魅力の肝も、“ファン”という概念を超えたファンと彼らの熱い友情関係にある。国籍、性別、年齢、アイドル、政治…そんな壁をゆうに超えてしまうほどの人間愛、「共に生きていこう」という彼らのメッセージに世界中の老若男女が共鳴し、人生のどん底から救われた人も少なくないのだ。(私もその一人。)
これ以上は語るのをやめておくが、要するに<小宇宙>という力は、決して物語の中だけでなく私たちの中にも存在しているということを、2つの<小宇宙>が繋がったことで気づくことができた。
思い返せばこじつけのような発想ではあるが、こういった自分と映画との接点を通して、新たな発見が得られることも映画鑑賞の醍醐味のひとつなのかもしれない。
K-POP好き宣伝アシスタント Fuku
『聖闘士星矢 The Beginning』(2023年4月28日公開)
監督:トメック・バギンスキー
脚本:ジョシュ・キャンベル、マット・ストゥーケン、キール・マーレイ
出演:新田真剣佑、ファムケ・ヤンセン、マディソン・アイズマン、ディエゴ・ティノコ、マーク・ダカスコス、ニック・スタール、ショーン・ビーン ほか
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<参考>
© 2017 KURUMADA PRODUCTION. All Rights Reserved.「聖闘士博物館」.聖闘士星矢公式.
https://saintseiya-official.com/museum/words.html (参照 2023-05-01)
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