MOVIE MARBIE

業界初、映画バイラルメディア登場!MOVIE MARBIE(ムービーマービー)は世界中の映画のネタが満載なメディアです。映画のネタをみんなでシェアして一日をハッピーにしちゃおう。

検索

閉じる

【TBSドキュメンタリー映画祭 2023】『戦場記者』須賀川拓監督最新作『アフガンドラッグトレイル』舞台挨拶レポート

【TBSドキュメンタリー映画祭 2023】
『戦場記者』須賀川拓監督最新作
『アフガンドラッグトレイル』舞台挨拶レポート
須賀川監督「まるでマッチポンプ。紛争地域や貧困地域を取材するたびに、
自分たちが作った問題を自分たちに撮りに行くような感覚に襲われる」

TBSがこれまで制作・放送してきた報道ドキュメンタリーを劇場映画として上映する企画『TBSドキュメンタリー映画祭 2023』。第3回目となる本映画祭は、【東京:ヒューマントラストシネマ渋谷/3月17日(金)~30日(木)】 【大阪:シネ・リーブル梅田/3月24日(金)~4月6日(木)】 【名古屋:伏見ミリオン座/3月24日(金)~4月6日(木)】 【札幌:シアターキノ/4月15日(土)~21日(金)】 と、前回を上回る規模で実施される。

映画祭初日に上映を迎えた『戦場記者』の須賀川拓監督による最新作『アフガンドラッグトレイル』の上映後には、中東調査会主任研究員の青木健太、政治評論家のナザレンコ・アンドリー、TBSテレビ外信部長の秌場聖治、そしてイギリスからリモートで須賀川拓監督が舞台挨拶を行った。

本作は、タリバン政権下のアフガニスタンで行われる薬物中毒者の取り締まりと同国の闇に迫る。青木氏は本作について「印象的だったのは『希望が見いだせない』と言っているところ。タリバン政権下では女性は小6を過ぎたら教育制限をされるなど、未来を見通せない。しかし前政権時も状況が良くなっていないという意味では、この国の歴史的背景や歴史的背景を知ってみるとより深みを持って見られるはず」とアピール。

ウクライナ出身のナザレンコ氏は「戦争報道を見るとミサイル攻撃などの物理的戦いが映るが、戦争とは病死、凍死、PTSD、障害、貧困、麻薬普及をもたらす。この作品はいかに戦争が社会構造に害を与えるものなのか、とてもよく表していました。そして同国での麻薬問題は根深く、根本的解決をしなければと痛感しました」と絶賛していた。

一方、秌場氏から「一番緊張した瞬間は?」と問われた須賀川監督は「夜の摘発の際には暗くて人の表情が見えないが、明るいところに行って改めて人々の表情を目の焦点が合っていない。こちらを襲ってくるのか、襲ってこないのか…。その心がまったく読めない。薬物がもたらす底知れぬ恐怖を突き付けられた気がした。彼らを救うにはどうすればいいのか?考えても答えが出ないのが苦しかった」と打ち明けた。

青木氏は「タリバン政権下ではけし栽培は全面禁止だが、その活動資金の多くが薬物であるとの報告もあり、国として4億ドルくらいの収入になっているようだ。しかもけしは換金作物と呼ばれ、簡単に育てられて現金収入にも繋がる。そうなると農家は続けたい。しかしタリバンの最高指導者は禁止だという」と同国が抱えるジレンマを紹介。

須賀川監督も「青木さんの仰る通り、農家の現金収入は薬物で彼らにはそれ以外の収入がない。言葉は悪いが、彼らからそれを奪うと多くの人が職を失い、路頭に迷い、死んでしまう。しかもタリバン政権は麻薬に変わるものを提供できずにいる。それだけ薬物のシステムが根深いということ」と解説した。

最後に須賀川監督は「アフガンは帝国の墓場と言われている。西側諸国が来てメチャメチャになった国を蝕む薬物は西側に流れ、我々は西側諸国が作ったカメラを持って取材に訪れる。これではまるでマッチポンプだ。紛争地域や貧困地域を取材するたびに、自分たちが作った問題を自分たちに撮りに行くような感覚に襲われる」と明かし「我々先進国の人間ができることは、そういった国の問題は他人事ではないと捉え、いい方向に導くようにするのが大切だ」と訴えていた。

「TBS ドキュメンタリー映画祭 2023」
3月17日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次開催

東京︓ヒューマントラストシネマ渋谷/3 月 17 日(金)~30 日(木)
大阪︓シネ・リーブル梅田/3 月 24 日(金)~4 月 6 日(木)
名古屋︓伏見ミリオン座/3 月 24 日(金)~4 月 6 日(木)
札幌︓シアターキノ/4 月 15 日(⼟)~21 日(金)

映画祭公式 HP:https://www.tbs.co.jp/TBSDOCS_eigasai/
Twitter:https://twitter.com/TBS_DOCS

©TBS

<上映ラインナップ>

『カリスマ 〜国葬・拳銃・宗教〜』
監督:佐井大紀

『通信簿の少女を探して 〜小さな引き揚げ者 戦後77年あなたは今〜』
監督:匂坂緑里

『サステナ・ファーム トキと1%』
監督:川上敬二郎

『アフガン・ドラッグトレイル』
監督:須賀川拓

『東京SWAN 1946 〜戦後の奇跡「白鳥の湖」全幕日本初演〜』
監督:宮武由衣

『シーナ&ロケッツ 鮎川誠と家族が見た夢』【東京限定上映】
監督:寺井到

『ダリエン・ルート “死のジャングル”に向かう子どもたち』
監督:萩原豊

『魂の殺人 〜家庭内・父からの性虐待〜』
監督:加古紗都子

『War Bride 91歳の戦争花嫁』
監督:川嶋龍太郎

『KUNI 語り継がれるマスク伝説 〜謎の日本人ギタリストの半生〜』
監督:佐藤功一

『それでも中国で闘う理由 〜人権派弁護士家族の7年〜』
監督:延廣耕次郎

『オートレーサー森且行 約束のオーバルへ』
監督:穂坂友紀

『やったぜ!じいちゃん』【名古屋限定上映】
監督:仲尾義晴

『93歳のゲイ』【大阪限定上映】
監督:吉川元基

『劇場版 ヤジと民主主義』【札幌限定上映】
監督:山﨑裕侍・長沢祐

 

■関連記事

「TBSドキュメンタリー映画祭2023」開催記念!今こそドキュメンタリーを見よう!おススメ5作品を紹介!

『TBSドキュメンタリー映画祭 2023』開催直前イベントレポート!爆笑問題・太田光「シーナ&ロケッツ 鮎川誠さんのカッコよさに涙」、トラウデン直美「ドキュメンタリーを観て現実に衝撃」

『TBSドキュメンタリー映画祭 2023』上映作品の<予告編>第三弾解禁!鮎川誠が家族への想いを語った『シーナ&ロケッツ 鮎川誠と家族が見た夢』ほか、 日本や世界が抱える問題を直視し真実を伝える社会派作品など

『TBSドキュメンタリー映画祭 2023』アンバサダーにLiLiCoが就任!「ドキュメンタリーだからこそ、自分が見たことのない世界を見ようと思わせてくれる」