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“#マルチバース”が #オスカー を制するのか!?映画祭ウォッチャーが賞レース前半戦を振り返る!

毎年12月になるとアメリカ映画界は賞レースシーズンとなり、各批評家協会賞など連日多くの賞が発表されている。アカデミー賞の前哨戦と言われるような賞もいくつか発表されるなど、やはり映画ファンにとっては気になるところだ。1月からはより重要な賞の多くが発表されるが、この記事では12月より始まった賞レース前半戦を振り返りつつ、後半戦どうなっていくのかを予想したい。

文:大西D(ヒカセン兼業ライター)

 

“マルチバース”映画がぶっちぎりのトップコンテンダー!

前半戦は“マルチバース”映画の独壇場だった。と言ったもこのマルチバース映画というのはMCU作品ではない。近年最も注目を集めている映画会社A24作品『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』である。カンフーとマルチバースを組み合わせた映画で、普通の中年女性がカンフーマスターとなってマルチバースを救うというアクション映画だ。同じくA24作品である『スイス・アーミー・マン』を監督したダニエル・シャイナートとダニエル・クワンが監督を務めた。

ロサンゼルス、ラスヴェガスと言った大都市の批評家賞を制すると、アカデミー賞を占う上で重要なゴールデン・グローブ賞は6部門、ブロードキャスト映画批評家協会賞でも最多ノミネートを獲得するなどまさに絶好調。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は他にも監督の2人を始め、ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン、ジェイミー・リー・カーティス、ステファニー・スーが受賞の山を築き上げており、特に助演男優賞のキー・ホイ・クァンはまさに独走状態だ。

賞レース向きの作品では無いと言われていた下馬評を覆し、まさにトップコンテンダーである。

 

主演男優賞はこれまでオスカーに無縁だった2名が争う

主演男優賞は『イニシェリン島の精霊』のコリン・ファレルと『ザ・ホエール』のブレンダン・フレイザーが勝ち星を争っている。特に『イニシェリン島の精霊』は作品評価が高く、ゴールデン・グローブ賞は最多の7部門8ノミネートを獲得している。人の死を予言するアイルランドの精霊バンシーをモチーフに描いたドラマ作品で、コリン・ファレルは突然友人から絶縁を宣言された男を演じている。ドラマ作品からエンタメ作品まで幅広い活躍を見せてきた彼だったが、オスカーとは無縁のキャリアだった。ニューヨーク、ナショナル・ボード・オブ・レビュー、ボストン、シカゴなど大都市の批評家賞を制し、この部門のトップコンテンダーと言えるだろう。

そのファレルを追うのが『ザ・ホエール』のブレンダン・フレイザーだ。『ハムナプトラ』シリーズでお馴染みの彼だが、本作では体重270キロの巨漢男性を演じている。本作はダーレン・アロノフスキー監督作品ということで、注目度も高くフレイザーの演技も大きな注目を集めている。

2人ともキャリアは長いが、オスカーとは無縁だった。そんな2人の主演男優賞争いは注目だ。

 

 

主演女優賞を争うのは実力派女優の2名

主演女優賞を争うのはまずは『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のミシェル・ヨー。『グリーン・デスティニー』や『シャン・チー』などで活躍する国際的女優だ。

もう一人は『TÁR』のケイト・ブランシェット。世界的名作曲家である女性首席指揮者を迫真の演技で見せ、ヴェネツィア国際映画祭では女優賞を受賞。ブランシェットは既に『アビエイター』で助演女優賞を、『ブルージャスミン』で主演女優賞を受賞しているが、本作の演技で再びオスカーを手にしても不思議でないと言われるほどの演技を披露。受賞すれば、メリル・ストリープ、イングリッド・バーグマンに並ぶ女優部門3度目の受賞となる。

主演男優部門同様に、主演女優賞もこの2人の争いと言う様な展開になっている。

 

 

MCUでお馴染みのあの女優がトップコンテンダー!

作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞とある程度争う人が絞られている部門に比べて、まだそんな感じは見せていない助演女優賞。現在のトップコンテンダーは『イニシェリン島の精霊』のケリー・コンドンだ。MCUでお馴染みと言われても中々気が付かない人が多いかもしれないが、トニーを支えるAI“フライデー”の声を演じているのが、ケリー・コンドンだ。ここまで大きく注目されるのは今回が初めてかも知れない。

そんな彼女を追うのは『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のジェイミー・リー・カーティス、ステファニー・スーの他に『ウーマン・トーキング』のジェシー・バックリー、クレア・フォイ、『TÁR』のニーナ・ホス、そして『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』のアンジェラ・バセットだ。アンジェラ・バセットはゴールデン・グローブ賞、ブロードキャスト映画批評家協会賞にも候補入りするなど強さを発揮している。

 

 

後半戦の結果次第でトップコンテンダーが変わる

前半戦は作品で見ると『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』と『イニシェリン島の精霊』の2作品が強さを発揮していた。しかし、このまま進むかと言われると、そうとも限らないのが賞レースの面白いところだ。

賞レース後半戦ではゴールデン・グローブ賞、ブロードキャスト映画批評家協会賞、そして組合賞など、よりアカデミー賞の結果に直結する賞が発表される。この結果次第では一気に形成が変わる可能性が十分にあるのだ。

例えば去年前哨戦で無類の強さを発揮していたのは『パワー・オブ・ザ・ドッグ』だったが、最優秀的に作品賞を受賞したのは組合賞を制した『コーダ あいのうた』だった。その一方で、一昨年の主演男優賞は重要な前哨戦を全て制し、受賞間違いなしと言われたチャドウィック・ボウズマンを破りアンソニー・ホプキンスが受賞を果たしている。何が起きるかは封筒が開かれるその瞬間まで分からないのだ。

それでも賞レース後半戦がより大きな意味を持つことは間違いない。まずは1月10日現地で発表されるゴールデン・グローブ賞の結果に注目だ。

 

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