【海外ニュース】A24製作の傑作ホラー『X エックス』の前日譚『Pearl(パール)』ポスター&予告編
A24製作、タイ・ウェスト監督のホラー『X エックス』は現在も劇場で絶賛公開中だが、早くもその前日譚となる『Pearl(原題)』のポスターと予告編が解禁された。
「Pearl(パール)」とは『X』に登場した老婆の殺人鬼の名前だ。彼女は『X』で主人公マキシーンを襲っていたが、演じていたのは実はどちらも女優のミア・ゴスだった。『Pearl』の舞台となるのは20世紀初頭、第一次世界大戦の頃で、『X』と同じ農場の小屋。若きパールはマキシーンのように世界で最もビッグなスターになることを夢見ているが、厳格な母のもとで病の父親を看病しなければならず、何もない田舎に縛られフラストレーションが溜まっている。いつしか不満は爆発し、彼女の青春は赤く染まっていく…という内容だ。
予告編を見ると、どうやらパールは殺人老婆になる前から殺人鬼であったようだ。しかし、当時はまだパールが見ている白黒テレビの放送は始まっていなかったし、パールが踊っている戦争ミュージカルシーンのようなカラーのミュージカル映画もなかった(部分的ではありつつも世界初のトーキーと言われる『ジャズ・シンガー』は1927年公開だし、『オズの魔法使』などのカラーのミュージカル映画は1930年代に出始めた)。本作は長いスパンの物語になるのかもしれないが、ミュージカルシーンはあまりに非現実的に見えるので、パールの妄想が多分に入り込む「信頼できない語り手」映画になっているのかもしれない。
少なくとも、映画館のシーンで看板に書かれている『Cleopatra(邦題:シーザーの御代)』は1917年の作品、『Gene of the Northland(原題)』は1915年の短編映画なので、その部分は現実的な場面と思われる。車いすの父親をワニのいる湖に連れていき突き落とそうとしているように見えるシーンで「Theda(セダ)!」という声が聞こえるが、これは映画館の看板にも書かれていた『Cleopatra』の主演女優セダ・バラのことだろう。ハリウッド最初期のセックスシンボルだった彼女は、パールの憧れなのかもしれない。
映画館でパールが秘密裏に見せてもらっているのはポルノ映画のようだ。ポルノはこんなに昔からあったのかと言えば、実際に存在していたらしい。「合法なの?」と尋ねる彼女に、映写室に招いてくれた男は「いつかそうなるさ」と答えている。これはポルノを大々的にフィーチャーしていた『X』と呼応する部分だ。他にも、先述のワニやピッチフォーク、オーディションに来たパールが立つバミりのバツ印まで、『X』を思い出させる要素が多い。さらに、ゴスが一人二役していただけあり、家族関係も含めパールとマキシーンで重なる部分も多い。
本作はA24が初めてシリーズ化する作品で、3部作の2作目だ。脚本には引き続き監督を務めるタイ・ウェストとともにゴスが関わっているので、単純に殺人鬼のオリジンを描くだけの内容にはなっていないだろう。Indiewireのインタビューでウェストが語ったところによると、「ダグラス・サーク監督のメロドラマにインスパイアされており、テクニカラーで『メリー・ポピンズ』のような映画」になっているようだ。『X』をなぞっているようにも見えるが、全くテイストの異なる映画になっているのかもしれない。
ウェストが現在執筆中のシリーズ3作目は、『X』の続編で、ホームビデオが人々にどのような影響を与えたのかを描く作品になるとのこと。筆者としては、超低予算映画から出世してきた彼に「行け、ウェスト!」と声高に声援を送りたいのだが、「Go West」は「死ぬ」という意味のスラングでもあって縁起が悪いので、密かに応援しておくことにする。『Pearl』は今年の9月16日に全米公開予定だ。
ソース
https://www.indiewire.com/2022/03/ti-west-secret-horror-prequel-x-pearl-a24-1234707063/
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