仲間との掛け替えのない瞬間、バンドがカッコいい音楽映画特集② 『ソラニン』
今週末公開の『サヨナラまでの30分』はメジャーデビュー目前で解散してしまった音楽バンドが、あるきっかけで再び音楽に向き合う物語だ。物語はもちろん、作中で披露される楽曲の数々も話題になっている。そこで今週の「今夜何観る?」はバンドがカッコいい音楽映画を特集する。
『ソラニン』(2010)
誰しもが抱える葛藤に音楽が寄り添う
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本作は誰しもが抱える苦悩や葛藤が描かれている。将来に希望を感じられず、働くことに意義を見出せないOLと夢を諦めきれないバンドマン。誰しもが抱える現実と理想のギャップに対する苦悩や葛藤が本作のベースにある。そしてその苦悩や葛藤を乗り越えるために、音楽が彼らに寄り添っている。
本作は確かに音楽バンドを描いた映画ではあるが、その根底にあるテーマは音楽をやっている人だけではなく、全ての人に共通するものだ。自分にとって大切なものは何か、伝えたい言葉は何か。それを彼らは“音楽”を通して吐き出している。そんな青春の1ページを描いている本作は観ている側の心を大きく揺さぶる。現実と理想のギャップに苦しむ彼らは紛れもなく私たちであり、そんな彼らが音楽で輝くからこそ、この映画は魅力的なのだ。
もちろん宮崎あおいの歌声も見どころの一つ。やはりクライマックスのライブハウスでの演奏シーンは必見だ。こんなに綺麗な歌声の持ち主だったのかと驚いたほど。実は本人は歌を歌うことが苦手のようだが、そんな彼女だからこそ、歌う意味がある。
【ストーリー】
OL2年目で会社を辞めた芽衣子(宮崎あおい)と、音楽の夢をあきらめられないフリーターの種田(高良健吾)は不透明な未来に確信が持てず、互いに寄り添いながら東京の片隅で暮らしていた。ある日、芽衣子の一言で仲間たちと「ソラニン」という曲を書き上げた種田は、芽衣子と一緒にその曲をレコード会社に持ち込むが……。
【キャスト】
宮崎あおい、高良健吾、桐谷健太 ほか
【スタッフ】
監督:三木孝浩