『ミッション:インポッシブル』全作ガイド!ラストミッションの前に、27年分の“やりすぎ任務”を総ざらい!
1996年に始まった『ミッション:インポッシブル』シリーズは、毎回スタッフが総入れ替えになるハリウッドのアクション大作にしては珍しく、主演のトム・クルーズが一度も降板することなく、むしろ年を追うごとに命の張り方が増していく、という前代未聞の“実録スタント狂気史”としても知られています。いよいよシリーズ完結編『ファイナル・レコニング』が公開されるということで、ここで未見の方にも古参ファンにもわかりやすく、これまでの7作をストーリーもシリーズのつながりもまとめておさらいしていきます。
『Mission: Impossible 』(1996)
すべてのはじまり、裏切りの宙吊りミッション
シリーズ第1作は、渋めのサスペンス寄りスパイ映画としてスタートします。IMF(インポッシブル・ミッション・フォース)の任務中、イーサン・ハントは仲間を全滅させられ、自分が裏切り者だと疑われてしまいます。濡れ衣を晴らすため、彼は単独で黒幕を追い、CIA本部から極秘リストを盗み出すという命がけの潜入を敢行します。その黒幕とは、なんと死亡したと思われていた上司フェルプス。ラストは高速列車の上でのアクションへと発展します。心理戦、緊張感、そして“宙吊り潜入”の名場面が印象的な、シリーズの出発点です。
監督:ブライアン・デ・パルマ
『M:I-2』(2000)
鳩と二丁拳銃とウイルスと
今作では殺人ウイルス「キメラ」を巡る戦いが描かれます。敵は元IMFの同僚。イーサンは彼の元恋人ナイアと協力し、世界規模のバイオテロを止めようとします。ナイアは自らウイルスに感染し、イーサンは彼女を救うため、命を懸けて抗体を手に入れます。ジョン・ウー監督の演出により、鳩が飛び、スローモーションが多用され、二丁拳銃で敵を倒すスタイリッシュなアクションが全開です。メロドラマ的要素と映像の美しさが際立つ、シリーズでも異色の一作です。
監督:ジョン・ウー
『M:i:III』(2006)
“愛する人”が標的になるとき
イーサンは婚約者ジュリアと穏やかな生活を送っていましたが、かつての教え子を拷問死させた武器商人デイヴィアンを追うため現場に復帰します。しかしジュリアが誘拐され、“ラビットフット”という謎の兵器を盗むよう脅されます。イーサンは心臓を一時停止して追跡をかわし、最終的にデイヴィアンを倒してジュリアを救出します。今作からチームメンバーとしてルーサーやベンジーが本格登場し、シリーズの“家族感”も芽生え始めます。
監督:J・J・エイブラムス
『ゴースト・プロトコル』(2011)
国家に捨てられても任務は続く
ロシア・クレムリン爆破の濡れ衣を着せられたIMFは政府から見捨てられ、イーサンたちは非公認のチームとして核戦争を防ぐ任務に挑みます。ドバイのブルジュ・ハリファを素手でよじ登るシーンは、シリーズ屈指のスタントシーンとして有名です。ガジェットの不調、仲間との信頼関係の揺らぎを経て、チームの大切さがより強調されるようになります。物語的にも、前作のジュリアとの別れが語られ、次回作への流れが見えてきます。
監督:ブラッド・バード
『ローグ・ネイション』(2015)
見えざる敵“シンジケート”との全面戦争
IMFが解体される中、イーサンは正体不明の巨大組織“シンジケート”の存在を追い始めます。ここで登場するイルサ・ファウストは、以後シリーズを支えるキーパーソンとなります。敵ボス、ソロモン・レーンの冷徹さも印象的です。水中でのデータ奪取、バイクチェイス、オペラハウスの暗殺未遂といった多層的なミッションが展開され、シリーズの新たな方向性がこの作品で明確になります。これまでの『M:I』シリーズは、各作品がほぼ独立していたのに対し、本作以降はストーリーやキャラクターが地続きになります。ソロモン・レーン、イルサ・ファウストといった登場人物は続編にも登場し、シリーズ全体を貫く軸になります。
監督:クリストファー・マッカリー
『フォールアウト』(2018)
正義を選び損ねた男のリベンジ
『ローグ・ネイション』の直後を描いた、シリーズ初の“完全な続編”です。敵のソロモン・レーンは再登場し、その思想を継ぐテロ組織“アポストル”が新たな脅威に。CIAの介入、内通者、複雑な二重スパイ構造など、イーサンたちIMFが“組織の枠”で自由に動けなくなっていく様子が描かれます。ここでは、イーサンが“正しさ”と“仲間の命”の間で揺れ、ついに「任務よりも仲間を優先する」という個人的選択をすることになります。これによりプルトニウムを失うが、チームの絆と現場力でカバーし、最終的には成功に至る。ジュリアとの再会で「イーサンが背負ってきた孤独」も明確になり、「自分にしかできない役目を選ぶ」という彼の覚悟が、以後の作品のベースになります。
監督:クリストファー・マッカリー
『デッドレコニング PART ONE』(2023)
AIという“誰よりも賢い敵”
世界中のシステムに潜伏し、国家や情報を自在に操作できるAI「エンティティ」が暴走。各国がその制御権を握るために動く中、その“鍵”を巡って争奪戦が始まります。IMFエージェントのイーサン・ハントは、過去に因縁を持つテロリスト・ガブリエルの暗躍を察知。彼は「エンティティ」の代弁者として動いており、イーサンの旧友たちやかつての恋人イルサ・ファウストをも標的にしていきます。イーサンは天才スリ師グレースと出会い、半分に分かれた“鍵”の片方を入手。しかしその過程でイルサが命を落とし、チームは深い悲しみに包まれます。やがて“鍵”の秘密が旧ソ連の潜水艦「セヴァストポリ」にあることが判明。ガブリエルは鍵を奪い列車で逃走。イーサンはバイクで崖から飛び、空中から列車へ突入するという離れ業で追いつき、鍵の半分を奪還。物語は続編『ファイナル・レコニング』へとつながり、「エンティティ」の真の意図、IMFの正体、そしてイーサン自身の過去に踏み込んでいくことになります。
監督:クリストファー・マッカリー
『ファイナル・レコニング』(2025)
最後の任務、最後の選択
エンティティとの最終決戦。イーサン・ハントのすべての選択と過去が問われる時が来ました。
IMFとは何か? ラビットフットとは? そして、イーサンの最後のミッションとは?
シリーズのすべてに答えを出す完結編となります!
監督:クリストファー・マッカリー
27年にわたり、トム・クルーズは実際に命を張って走り、跳び、落ち、潜ってきました。スパイアクションとして、映画として、そしてひとりの俳優の挑戦として、ここに“最後の選択”が刻まれます。『ファイナル・レコニング』はその集大成です。ミッションの終わりが、あなたに何を残すのか。劇場で確かめてください!