<見た目が全く同じ映画>特集①『シックス・デイ』
見た目が全く同じ!映画特集①
今週末に公開される映画『ジェミニマン』は凄腕の暗殺者が<若き日の自分>に命を狙われるというSF映画。主演ウィル・スミスが1人で2役を演じていること、監督がアカデミー賞監督賞を2回受賞したアン・リーであることで話題になっている。そんな『ジェミニマン』公開に併せて今週の「今夜なに観る?」コーナーでは「見た目が全く同じ!」映画を特集します!
『シックス・デイ』(2000年)
●クローン技術はどこまで許されるのか
クローンというのは議論がつきることが無い永遠のテーマだ。そして人類の歴史上、人間のクローンは一回たりとも誕生していない(はず)。医療に対して大きな貢献が期待できると考える人もいれば、人を作れるのは神だけであると言った考えもある。もちろんクローンというのはSF映画にとっては、これ以上無く親和性の高い題材である。本作『シックス・デイ』もそんな映画の一つだ。
【ストーリー】
2010年、人間のクローン化が法規制された社会。その3年前に出来た“人間は人間を造り出してはならない”とする「6d法」のおかげで、社会はかろうじて秩序を守っていた。しかしある日、飛行士のアダム・ギブソン(アーノルド・シュワルツェネッガー)が仕事を終えて帰宅すると、そこには自分と同じ姿の男が愛する家族と共に彼の誕生日を祝っていた・・・。
自分の遺伝子情報を基に作られたクローンが、自分という存在を消そうとする。他の誰でもないもう一人の自分に殺される恐怖は想像を絶する。生き残った方が本物、例え自分が本物だと声高に叫んでも、死んでしまえば一瞬にして偽物扱いだ。本作ではそんな恐ろしい陰謀に我らがシュワルツェネッガーが立ち向かう。
タイトルの「シックス・デイ」とは旧約聖書の天地創造に由来する。神が7日間でこの世界を作り上げたとされ、人間は6日目に創造されたとされている。本作にも登場する「6d法」もまたそれに由来する法律である。つまり人間を人間を作ることが出来るのは神だけということだ。
監督のロジャー・スポティスウッドは『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』の様なアクション映画や本作のようなSFはもちろん多様なジャンルの映画を手掛けてきた、いわば職人監督だ。本作でもシュワルツェネッガーを主演に置き、アクション・サスペンス映画として描きながらも、クローンという大きな問題への警鐘も見て取れる。
本作で主演を務めたアーノルド・シュワルツェネッガーだが、本作では製作も兼任する気合いの入れぷりで、本作が掲げるクローンという問題への意識が見える。『ターミネーター』で人間を殺すために作られたマシンを演じた彼が、本作では逆に作られた人間に殺される側になるというのは何とも皮肉が利いている。
科学は凄まじい勢いで進歩した。それ自体は非常に素晴らしいことだ。しかし、科学というのはそれを活用する側次第で、一瞬で危険な爆弾に変わってしまう。クローン技術も例外ではない。科学が進歩するならば、それを使う私たち人間も進歩しなければいけない。
この映画が製作されたのは20年前。今の科学技術の進歩の速さであれば、そう遠くない未来に人間のクローンが完成したとしても不思議ではない。だとするならばこの映画のようなことが起こったとしても不思議ではないのである。
『シックス・デイ』(2000年)
監督:ロジャー・スポティスウッド
キャスト:アーノルド・シュワルツェネッガー、トニー・ゴールドウィン、ロバート・デュヴァル ほか
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