いろいろな“ビギニング”映画特集③『エクソシスト ビギニング』
“ビギニング”映画特集③
映画がヒットし、シリーズ化が進むと作られることが多いのが前日談。最近もバットマン宿敵の誕生を描いた『ジョーカー』が公開され大きな話題となっている。そしてまた1本、新たなビギニング映画が産声を上げた。伝説上の人物であると同時に、数多くの映画が作られた英雄ロビン・フッド。そんなフッドの誕生秘話を描いた『フッド ザ・ビギニング』が10月18日に公開となる。そこで今週の「今夜何観る?」コーナーでは、古今東西のいろんな“ビギニング”映画をご紹介したいと思います!
『エクソシスト ビギニング』(2004年)
●第1作に直結する正統派ビギニング映画
『エクソシスト』と言えば、映画史に残るオカルト映画の金字塔である。 本作は『エクソシスト』に登場したメリン神父の若き日が描かれており、悪魔パズズとの初めての対決が描かれる。第1作でかつて両者に因縁があったことは明白であったため、まさにそこを映画し、第1作に繋げるという正統派のビギニング映画だ。
【ストーリー】
第二次世界大戦末期、世界中を放浪し、アフリカに流れ着いたメリンは古美術収集家の男と知り合い、考古学発掘隊に加わることになった。発掘現場でフランシス神父やサラ・ノヴァック、そしてアフリカ人の少年のジョセフと出会い、親交を深めた。だがその頃から、ジョセフの周囲で奇妙な連続猟奇殺人事件が発生し始めた。
監督交代劇の末、本作の監督に就任したレニー・ハーリンは、アクション映画監督のイメージが非常に強い。『ダイ・ハード2』や『クリフハンガー』と言った畑違いのブロックバスター映画を手掛けてきた彼がオカルト映画を手掛けると聞いてファンがどれだけ驚いたのかは想像に難くないだろう。
メリル神父と悪魔パズズとの対決は、スピード感のある演出もなされて入るが、本作は至って正統派のオカルト映画として見ることが出来る。知り合った少年の周りで起きる連続猟奇殺人と不可解な現象の数々。終盤の悪魔との対決はアクション性もありながら、きちんと恐怖演出に繋がっている。
映画の冒頭で起きる出来事によってメリン神父の信仰が大きく揺らいでしまうのだが、悪魔との戦いの中で信仰を取り戻し復活する流れは、これまでのレニー作品と一貫している。彼の作品に登場するヒーローたちは1度挫折し、そこから這い上がってくることが多く、監督自身が最近のインタビューでも認めている。
賛否両論が多い作品ではあるが、第1作に繋がる前日談がしっかり描かれており、あのメリン神父が何故あそこまでの信仰をもって悪魔と対峙することが出来たのか、その理由が本作では明らかになるので、ビギニング映画としての役割は十分に果たしていると言えるだろう。『エクソシスト ビギニング』を見た後で改めて第1作を観ると、冒頭のメリン神父とパズズ像が向き合うシーンがさらに味わい深くなること間違いなしだ。
『エクソシスト ビギニング』(2004年)
監督:レニー・ハーリン
キャスト:ステラン・スカルスガルド、ジェームズ・ダーシー、イザベラ・スコルプコ ほか
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