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ダニー・ボイル作品特集②『28日後…』

ダニー・ボイル作品特集②

いよいよ今週末に公開が迫った映画『イエスタデイ』。世界中の人々が伝説のバンド“ザ・ビートルズ”を忘れた世界で、そのザ・ビートルズの楽曲で人気を獲得していく歌手の物語だ。そんな『イエスタデイ』を手掛けたのはイギリスが誇る名監督ダニー・ボイルだ。今週の「今夜何観る?」コーナーでは、そんなダニー・ボイル監督作品をご紹介!

『28日後…』(2002年)

●ゾンビ映画新時代の幕開け

ゾンビといえばジョージ・A・ロメロ監督が生み出した両手を突き出しながら、ノロノロと歩くものを想像するだろう。この“ロメロゾンビ”に習い、他のゾンビ映画に出てくるゾンビも同様の描き方がされてきた。しかし、ダニー・ボイルが手掛けた本作『28日後…』の登場後、ゾンビ映画は新たな時代に突入した。

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【ストーリー】
怒りを抑制する薬を開発中のとある霊長類研究所。ある夜、精神を冒し即効性の怒りを発するウィルスに感染している実験用チンパンジーが、侵入した動物愛護活動家たちによって解放されてしまう。その直後、活動家の一人がチンパンジーに噛まれて豹変、仲間に襲い掛かる…。28日後。交通事故で昏睡状態に陥っていたバイク・メッセンジャーのジムは、ロンドン市内の病院の集中治療室で意識を取り戻す。ベッドから起き廊下をさまようジムだったが、院内にはまったく人の気配がなかった。人の影を求めて街へ飛び出したジムは、そこで驚くべき光景を目にする…。

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本作登場するゾンビ(厳密に言えばウィルスの感染者でゾンビではないが、広い意味でゾンビと捉えることにする)はロメロゾンビのようにノロノロと徘徊するタイプではない。ターゲットを見つければ全速力で追いかけ回すゾンビだ。人っ子一人いないロンドンで奇声を上げながら全速力でダッシュして来る様は恐怖しかない。

本作以降に公開されたゾンビ映画はダッシュゾンビの登場率が非常に高い。ロメロ師匠の代表作『ゾンビ』のリメイクである『ドーン・オブ・ザ・デッド』、今度続編が公開される『ゾンビランド』などはその代表格と言えるだろう。この『28日後…』は後のゾンビ映画に大きな影響を与えた革新的な作品なのだ。

しかし、それと同時に過去のゾンビ映画、特にロメロ師匠の作品へのリスペクトを本作は忘れていない。人としての品格を失わず、最後までに人として生きる人間。そして人としての理性を失い、自分の欲求、主に食欲や性欲を満たすことだけを考えている人間。この両者の対比が強烈なまでに印象に残る。人で無くなったゾンビよりも、人としての姿を失っている人間というのは何とも皮肉だ。そうした人間の醜悪さというテーマはロメロ師匠の作品に通ずる。

また本作で脚本を務めたのはアレックス・ガーランドだ。彼は後に傑作SF映画『エクス・マキナ』の監督を務めることになる。他にも『わたしを離さないで』など単なるSF映画に留まらない、重要な問題提起をはらんだ作品の脚本も務めている。

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 また、本作の続編『28週後…』も素晴らしい作品で、その後シリーズ3作目となる『28ヶ月後…』(多分こういうタイトルになるはず)の構想があることも明かされたが今の所実現には至っていない。しかし、英国雑誌のインタビューによると「アレックス・ガーランドと私には素晴らしいアイデアがある」とのこと。その言葉に期待を膨らまさずにはいられない。

 

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『28日後…』(2002年)
監督:ダニー・ボイル
キャスト:キリアン・マーフィー、ナオミ・ハリス、クリストファー・エクルストン ほか

 

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