『ヘルドッグス』公開記念『岡田准一アクションの系譜』を振り返る!
今や日本を代表する映画俳優となった岡田准一さん(以下敬称略)ですがその確固たる地位を築いた数多くの要因の一つに欠かせないのがアクションでしょう。格闘技・武術にも精通した師範級の腕から繰り出されるアクションシーンではとどまらず、近年はアクション・コレオグラファーとしてエンドロールに名前連ねています。そして最新作には2021年公開の燃えよ剣でもタッグを組んだ原田眞人監督の『ヘルドッグス』の公開が控えています。そんな彼の代名詞にもなったアクションを見どころにした映画を紹介します。武術などの技術の取得から、それをアクションとしてエンターテイメントとして取り込み、現在作り手の目線からも映画作りに参加し、進化を続ける岡田流アクションをぜひお楽しみください。
文:やまだパン子(座右の銘は、好きこそものの上手なれ)
岡田准一のアクションはここからはじまった
『SP 野望篇/革命篇』(2010、2011)
深夜帯のドラマから始まったSPシリーズの続編であり完結編です。主演の岡田はドラマシリーズをはじめるにあたり、役作りの一環でまず接近戦の技があるフィリピンの伝統武術であるカリを習い、つづいてジークンドー、USA修斗と続き、今ではインストラクターの資格まで取得しています。この経験がその後のアクション映画に次々と活かされていくことになるのです。過去のトラウマから特殊能力を持つ、岡田演じる主人公井上が繰り広げるアクションシーンの数々が見どころですが、接近戦以外のド派手なアクションシーンは特に注目です。車の上をかけまわり、トラックの荷台の上でファイトが始まります。まず警棒の伸ばし方がかっこよすぎます。トラックが走り続ける中でのファイトシーンではまず、走っている車の上で立てるんかい!そんで戦うんかい!と驚きの連続です。そんな中お気に入りシーンは壁を走る岡田です。自転車を投げ飛ばす適役の方もすごいですが、壁を走る姿はまるで現代版忍者です。もちろんこれもノースタントで、身体能力の高さをみせつけてくれます。まさにSPは俳優・岡田准一をアクションオタクに導いた根源作といえるでしょう!
【キャスト】
岡田准一、堤真一、香川照之、真木よう子、松尾諭、神尾佑、山本圭
【スタッフ】
監督:波多野貴文
脚本:金城一紀
アクション監督:大内貴仁
配給:東宝
(C)2010「SP」プロジェクトチーム
(C)2011「SP」プロジェクトチーム
【野望篇】
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【革命篇】
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鬼教官のツンデレにやられる人気原作のアクション×ラブ
『図書館戦争』(2013)
原作は、次々に映像化がされている作家、有川浩のベストセラー小説で、アニメ化、漫画化もされている人気シリーズの実写映画化となっています。原作はラブコメ色が強いですが、そこに岡田准一が加わると最先端アクション映画に成りかわります。通常戦争ものと聞くと銃撃戦を想像しますが、ガンアクションだけではおさまりきらないのが岡田流です。原作には徒手格闘はあまり描かれてはいないのですが、せっかく武術・格闘技の師範レベル岡田がいるなら、という勢いで、映画ではアクションシーンが増えています。それもただアクションシーンを増やすだけでなく、しっかりと意味を持ってストーリーに合わせたアクションを作り出すことに成功しています。そのアクションを間近でみた共演者に「彼は本物」といわせた今作も、スタントなしはもちろん、SPのために学び始めた武術や格闘技はさらに進化し、飛び蹴りや接近戦のシーンに活かされ、手に汗を握ります。予告にも使われている両ひざ飛び蹴りも好きなシーンの1つですが、演出も不思議とスローに見えるこのシーンは、なぜだが、自分は映画を見ているだけなのにまるで相手をぶっ飛ばしたかのような爽快感を感じられますよ。榮倉奈々演じる郁を守りながらのアクションシーンに胸キュンすることまちがいなしです。さらにドラマスピンオフや続編の『図書館戦争‐THE LAST MISSION』に続く第1作目ということで、見終えた後にシリーズの一気見をしたくなる作品です。
【キャスト】
岡田准一、榮倉奈々、田中圭、福士蒼汰、西田尚美、橋本じゅん、栗山千明(特別出演)、石坂浩二
【スタッフ】
監督:佐藤信介
脚本:野木亜紀子
原作:有川浩『図書館戦争』
配給:東宝
(C)“Library Wars” Movie Project
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自らもアクション振付を手掛ける現代劇アクション映画
『ザ・ファブル』(2019)
時代劇アクションが続いていた岡田のSP以来の現代劇アクション映画となる作品です。ファンは侍以外の岡田を見られるだけでもうれしいのに、さらに得意のアクションとくればつまらないわけがない、と見る前から言わしめます。現代劇のアクションシーンの限界をどう突破するか、という裏テーマが存在しており、岡田本人が時代劇よりも難しいと認識している現代劇アクションですが、フランス人アクション監督のアラン・フィグラルツがスタントコーディネーターとして参加しています。アランは元軍人ということもあり、リアルな殺陣シーンが完成しました。お気に入りシーンはまたまた壁を走るシーンです。もはや岡田アクションあるあるですね。重力さえも味方につける俳優はこの人だけなのではないでしょうか?さらに福士蒼汰とのアクションシーンは岡田自身が殺陣を作っています。自ら他の共演者にアクション指導をおこなったり、自身の演技をこなすだけでなく、カメラ位置まで計算し演技するという、岡田の日本アクション映画への夢や思いを感じられます。この作品のエンドロールクレジットにファイトコレオグラファーとして名を連ねていることからも、演者だけにとどまらない、限界突破した現代アクションをぜひご堪能ください。
【キャスト】
岡田准一、木村文乃、山本美月、福士蒼汰、柳楽優弥、向井理、佐藤二朗、光石研、安田顕、佐藤浩市
【スタッフ】
監督:江口カン
原作:南勝久
脚本:渡辺雄介
(C)2019「ザ・ファブル」製作委員会
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今までにない時代劇アクション、超スペクタクル新選組が参上
『燃えよ剣』(2021)
司馬遼太郎原作の完全映画化の本作は出演俳優陣の迫力の殺陣シーンは言わずもがな、主演岡田は乗馬シーンもお手の物です。数々の時代劇を演じてきた岡田だからこそ表現できる所作や殺陣シーンが多く存在しています。そんな中でも目に付くのは刀を持っていないときの手さばきです。刀がなくても強すぎる土方は岡田が演じるからこそのキャラクターになっていると感じますね。鈴木亮平演じる近藤との口論シーンではそれこそ刀がなくとも鈴木の素手に対応するスピード感が強さを演出しているといえます。そしてファブルシリーズに続き本作でも殺陣の振付を担当していて、沖田総司、近藤勇など多くのキャラクターのアクションをそれぞれに合わせて振付をしています。土方歳三をはじめとする新選組らは、ノンフィクションの戦う男たちですが、長年格闘技・武術を習ってきた岡田もまさに戦う男です。歴史好きである岡田の土方愛も感じ、現代版土方歳三といっても過言ではありません。今の日本の俳優でここまで役とマッチしている人は少ないのではないでしょうか。カットを割りながらの撮影が多いアクション映画ですが、リアルを求めたい原田監督は長回しでの撮影で、よりリアルな殺陣シーンにすることにこだわりを持っています。型にとらわれない迫力あるこの作品を、同タッグの最新作『ヘルドッグス』を見る前にぜひ体感してみてください。
【キャスト】
岡田准一、柴咲コウ、鈴木亮平、山田涼介、伊藤英明
【スタッフ】
監督・脚本:原田眞人
配給:東宝
(C)2021「燃えよ剣」製作委員会
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岡田准一アクション特集はいかがでしたでしょうか?
イケメンだけじゃない、静かな演技だけじゃない。根っからの戦う男であり、格闘家も武士も納得のたたずまい。
日本を代表するアクションアクター・岡田准一をぜひご堪能ください。
『ヘルドッグス』
9月16日(金)全国公開
【キャスト】
岡田准一、坂口健太郎、松岡茉優、MIYAVI、北村一輝、大竹しのぶ、金田哲、木竜麻生、中島亜梨沙、杏子、大場泰正、吉原光夫、尾上右近、田中美央、村上淳、酒向芳
【スタッフ】
監督・脚本:原田眞人
原作:深町秋生 「 ヘルドッグス 地獄の犬たち」(角川文庫/KADOKAWA刊)
映倫区分:PG12
配給:東映 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
(C)2022 「 ヘルドッグス 」 製作委員会
公式HP:www.helldogs.jp
公式SNS:@helldogs_movie
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