“不器用な男が突っ走る”映画特集③『新宿スワン』
『宮本から君へ』公開記念
“不器用な男が突っ走る”映画特集
不器用な熱血サラリーマンの青春を描く映画『宮本から君へ』(9/27公開)。新井英樹の人気漫画を実写化した本作は池松壮亮が演じる宮本の暑苦しくも切ない生き様を描いた極限の人間讃歌エンターテイメント作品だ。今週の「今夜何観る?」コーナーでは、映画『宮本から君へ』公開にあわせて、“不器用な男が突っ走る”作品4本をご紹介!
『新宿スワン』(2015年)
●新宿・歌舞伎町で繰り広げられるスカウトマンたちの争い
週刊ヤングマガジンで連載していた和久井健の大人気コミック「新宿スワン」を、『ヒミズ』『地獄でなぜ悪い』の鬼才・園子温監督が実写映画化した作品。綾野剛を主演に、山田孝之、沢尻エリカ、伊勢谷友介など、実力派の俳優たちが顔を揃えている。
監督を務める園子温は日本のインディペンデント映画を牽引していた人物で、『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』をはじめとする強烈な作家性を全面に打ち出した作品を数々発表し、はベルリン国際映画祭やベネチア国際映画祭などでも評価される今や日本を代表する映画監督のひとり。監督自身も、原作漫画の大ファンで映画化の噂を聞いて誰が監督をするのか気になっていたという。
本作では、欲望が渦巻くアジア最大の歓楽街「新宿・歌舞伎町」で女性たちに水商売の斡旋するスカウトマンたちの熾烈なだまし合いによる抗争と、頂点へと成り上がろうとする熱き男たちのロマンを描く。
カネも仕事も無く、ただただ歌舞伎町を彷徨っていた白鳥龍彦(綾野剛)は、祖母ゆずりの自慢の天然パーマを馬鹿にしてきたチンピラたちに絡まれて大乱闘になってしまう。そこに助けに入ってくれたのは、スカウト会社「バースト」幹部あり、ベテランスカウトマンの真虎(伊勢谷友介)だった。この出会いから、龍彦と真虎は師弟的な関係となり、女性をキャバクラや風俗へ斡旋するスカウトマンとして生きていくこととなる。
真っ直ぐな性格だが馬鹿で不器用すぎる龍彦は、スカウトマンとして裏社会で非情になりきれず、「俺がスカウトした女の子は、必ず幸せだって言わせます!」と宣言し、裏社会の掟やしがらみなどを凄まじいパワーで振り払い歌舞伎町を駆け回る。
一度こうと決めたら止まらない性格の白鳥龍彦は、「宮本から君へ」の宮本浩にも引けを取らない。周りの空気は一切読まず、女の幸せのためにどんな障害だろうとお構いなしに突き進む姿は実に頼もしく見えるだろう。
『新宿スワン』(2015年)
監督:園子温
脚本:水島力也、鈴木おさむ
キャスト:綾野剛、山田孝之、沢尻エリカ、伊勢谷友介 ほか
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