″広大な宇宙”がテーマの映画特集③『ライトスタッフ』
“宇宙”がテーマの映画特集
ブラッド・ピットが初めて宇宙ものに挑戦した映画『アド・アストラ』(9/20公開)。ブラッド扮するエリート宇宙飛行士が、地球外知的生命体を探して地球から43億キロ離れた太陽系の彼方で消息を絶った父を探すために宇宙へと旅立つエンターテインメント大作。今週の「今夜何観る?」コーナーでは、『アド・アストラ』公開にあわせて、壮大な宇宙を扱った作品4本をご紹介!
『ライトスタッフ』(1983年)
●有人宇宙飛行計画”マーキュリー計画”に迫る真実のドラマ
トム・ウルフによる同名のドキュメンタリー小説「ザ・ライト・スタッフ―七人の宇宙飛行士」を原作に、『SF/ボディ・スナッチャー 』のフィリップ・カウフマン監督が映像化した宇宙映画の金字塔。キャストはサム・シェパードを筆頭に、スコット・グレン、フレッド・ウォード、エド・ハリス、デニス・クエイド、ランス・ヘンリクセンと名優揃いの豪華すぎる顔ぶれ。
1947年、パイロットのチャック・イェーガーは初めて音速の壁を飛行機で突破する。それから数年後、米ソによる宇宙開発競争が加速し、ソ連が世界初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げを成功させたことで、遅れをとっていたアメリカは、国家の威信をかけ有事宇宙飛行計画「マーキュリー計画」を発動。新世界へと旅立つヒーローとして宇宙飛行士候補者7名を選出するが、ロケットも未完成の計画は無謀といえるものであった。
タイトルにある「ライトスタッフ」とは、「正しい資質」「適任」と言う意味を持つ。監督のフィリップ・カウフマンは、選ばれた7人が国家の重圧に耐えながらも、宇宙飛行士として前人未到の領域に挑戦する男たちの姿を、大空に挑戦し続けた一人の男との対比で丁寧に描いている。
注目すべきは、サム・シェパード演じる世界初の音速飛行に成功した伝説の空軍パイロット、チャック・イェーガーだろう。誰よりも正しい資質=ライトスタッフを持ちながらも、低学歴のせいで宇宙飛行士の候補に入ることができなかったが、それでも孤独にジェット・エンジンのテスト飛行を続け、音速の壁を越えた大空に住む悪魔に挑戦し続ける続ける姿は、まさに男が惚れる男の姿そのものだ。
『ライトスタッフ』(1983年)
監督・脚本:フィリップ・カウフマン
原作:トム・ウルフ
出演:サム・シェパード、スコット・グレン、エド・ハリス、デニス・クエイド ほか
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