MOVIE MARBIE

業界初、映画バイラルメディア登場!MOVIE MARBIE(ムービーマービー)は世界中の映画のネタが満載なメディアです。映画のネタをみんなでシェアして一日をハッピーにしちゃおう。

検索

閉じる

【今夜何見る?】Netflix『ガス人間』配信記念!日本SF特撮の原点「東宝・変身人間シリーズ」完全網羅スペシャル

いよいよ明日7月2日(木)から世界独占配信がスタートする、Netflixと東宝が初タッグを組んだ最注目ドラマ『ガス人間』。世界中の映画ファンがその全貌を心待ちにする中、今回は本作のルーツであり、ゴジラと並ぶ東宝特撮の金字塔を大特集!新作を100倍深く味わうためにあらかじめ知っておきたい伝説の系譜を、詳細な作品データとともに公開年代順に紐解きます。

そもそも「東宝・変身人間シリーズ」とは?
東宝特撮の歴史において、科学技術によって変質・変形、あるいは特殊能力を手に入れた人間が登場する一連の特撮映画を「変身人間シリーズ」と呼びます。各作品とも怪奇映画にSF映画の要素を融合させた内容であり、人間の業や悲しみがメインテーマとなっているのが大きな特徴です。派手な特撮で街を破壊する怪獣映画とは一味異なり、核の脅威や科学の暴走に翻弄される人間の孤独、あるいは異形となってしまった者のエゴや純愛など、特撮を「心理的な表現」として演出したビターで哀愁漂う大人の極上サスペンスに仕上がっています。
東宝の名プロデューサー・田中友幸は、当時「莫大な予算をかけずに面白い特撮映画を作りたい」という動機から本シリーズを企画したと生前に語っており、小説家の小松左京も「予算はB級だろうと思うけど、アイデアがあって面白かった」と絶賛を寄せています。
公式なシリーズの区分としては、『美女と液体人間』『電送人間』『ガス人間第一号』の3作品を指すのが一般的ですが、今回の特集ではその先駆的ポジションにあたる番外編『透明人間』から、最高傑作との呼び声も高いもう一つの番外編『マタンゴ』までを一挙に網羅していきましょう。

 

『美女と液体人間』(1958年)
夜の街をドロドロに溶かす、放射能が生んだ密室の恐怖!

水爆実験の放射能を浴び、身体がドロドロの液体と化してしまった人間が、夜の街で次々と人々を溶かして襲う恐怖を描くシリーズ第1作。当時流行していたギャング映画の影響を色濃く受け、女性の登場シーンが多いアダルトな雰囲気が漂う異色作です。劇中の「第二竜神丸」の被ばくエピソードは、当時の第五福竜丸事件をヒントに描かれており、本多猪四郎監督は東海村のJRR-1や東大原子核研究所を綿密に取材して新生物誕生のリアリティを追求しました。円谷英二がセットを傾けて化粧ベース素材の有機ガラスを流したドロドロの生物感あふれる特撮表現は、海外でも『THE H-MAN』のタイトルで公開され、名ホラー作家スティーヴン・キングが自身の愛好作として公言したことでも知られています。

【ストーリー】
ある雨の夜、不思議な事件が発生。ある1人の男が、盗品の麻薬と共に身につけていた衣服一切を脱ぎ捨てて跡形もなく消え去ったのだ。その男は、麻薬密売をしているギャングだった。男の正体を調査していた化学者の政田は、あることを突き止めるのだが…。

【作品情報】
監督:本多猪四郎
特技監督:円谷英二
脚本:木村武
原作:海上日出男
製作:田中友幸
出演:白川由美、佐原健二、平田昭彦、土屋嘉男
主な配信先:U-NEXT(見放題配信中)、Amazon Prime Video(レンタル配信中)

 

『電送人間』(1960年4月公開)
受話器から鳴り響く恐怖の電子音、神出鬼没の復讐劇が幕を開ける!

物体を電送する装置を悪用し、かつて自分を陥れた者たちへ神出鬼没の暗殺を繰り返す怪人の恐怖を描く、シリーズ第2作。原作表記はないものの海野十三が「丘丘十郎」名義で発表した小説『電送美人』が下敷きになっていると考えられています。本来監督を務めるはずだった本多猪四郎に代わり、今作が特撮初監督となる福田純が抜擢。脚本の関沢新一が当時『暗黒街』シリーズも担当していたことから、サスペンス色に加えてノワール(暗黒街)映画のスタイリッシュな雰囲気を醸し出しているのが魅力です。特撮面では、円谷英二が当時のアナログテレビの「走査線」に着想を得て、中丸忠雄演じる怪人の身体に青白い横縞模様を1コマずつ手作業のロトスコープで光学合成。脳天から足先へと徐々に消え去り、移動先で雑音とともに実体化する神出鬼没の映像は当時の観客の度肝を抜きました。

【ストーリー】
遊園地で男が殺され、犯人は犯行現場からこつ然と姿を消した。現場に駆けつけた新聞記者の桐岡は、現場で奇妙な針金状の物質を発見し、工業大学の三浦博士に物質の鑑定を依頼する。そんななか、桐岡の目の前で再び同じ手口の殺人事件が起こり…。

【作品情報】
監督:福田純
特技監督:円谷英二
脚本:関沢新一
製作:田中友幸
出演:鶴田浩二、白川由美、平田昭彦、河津清三郎、土屋嘉男
主な配信先:U-NEXT(見放題配信中)、Amazon Prime Video(レンタル配信中)

 

『ガス人間第一号』(1960年)
その身体が気体となっても、あなたへの愛だけは消せない。

人体実験の犠牲となり、身体を気体(ガス)化できるようになった男が、愛する日本舞踊の家元のために銀行強盗を繰り返す、シリーズ最高傑作と名高い悲恋のSFスリラー。今回のNetflixドラマ版の直接の原作です。特筆すべきは、ガス人間を演じた土屋嘉男の内に秘めた狂気と哀愁、そして家元を演じた八千草薫の息をのむような美しさ。SFでありながら、その本質は「究極の純愛メロドラマ」であり、孤独な怪物の切ない愛の結末は観る者の胸を激しく締め付けます。ちなみに1963年には、生き延びたガス人間の水野が藤千代を生き返らせるために奮闘する、本作の直接の続編『フランケンシュタイン対ガス人間』という幻の脚本(関沢新一執筆)も存在していました。

【ストーリー】
日本舞踊の家元・藤千代に惚れ、彼女に金を都合しようと銀行強盗などの悪事を働く橋本は、自分の肉体をガス状に変質させられるガス人間だった。体をガス化し、突然消えたり現れたりする橋本の凶行をやめさせようと、警察は藤千代の手を借りようとするが…。

【作品情報】
監督:本多猪四郎
特技監督:円谷英二
脚本:木村武
製作:田中友幸
出演:三橋達也、八千草薫、土屋嘉男、佐多契子、伊藤久哉
主な配信先:U-NEXT(見放題配信中)、Amazon Prime Video(レンタル配信中)

 

番外編:『マタンゴ』(1963年)
生き残るために理性を捨てるか、禁断のキノコに溺れるか。

豪華ヨットでバカンスを楽しんでいた若い男女グループが無人島へ漂着し、食べると人間をキノコ怪人に変えてしまう生物「マタンゴ」によって、極限状態の中でエゴと理性が崩壊していく極上ホラー。公式な「変身人間シリーズ」の定義からは外れる番外編的扱いでありながら、関連の非常に深い傑作として語り継がれています。これまでの3作が「個人の変身」だったのに対し、本作は「集団の変貌(精神の崩壊)」を描いているのが特徴です。一人、また一人と禁断のキノコに手を出していくサイコ・スリラー。極彩色で描かれるマタンゴの不気味さと、人間の生々しい愛憎劇はトラウマ級のインパクトを残します。

【ストーリー】
7人の若者を乗せたヨットが、嵐のため無人島に漂着した。その島を探索した結果、彼らより先に、一艘の難破船が漂着していたことが判明する。だが乗員の姿はどこにもなく、ただあたりは奇妙な形状のキノコが群生しているのみだった。やがて食料の残りが少なくなり、彼らは恐る恐るそのキノコを食し始める。そしてそのキノコを口にした者は、人間の姿を失い、奇怪なキノコの怪物、マタンゴへと変身していくのだった……。

【作品情報】
監督:本多猪四郎
特技監督:円谷英二
脚本:馬淵薫
原作:ウィリアム・H・ホジスン(『夜の声』より)
製作:田中友幸
出演:久保明、水野久美、土屋嘉男
主な配信先:U-NEXT(見放題配信中)、Amazon Prime Video(レンタル配信中)

 

番外編:『透明人間』(1954年)
姿なき特攻隊員の哀しき咆哮、戦後の闇に消えた孤独な男の戦い!

『ゴジラ』に続く空想科学映画第二弾として公開され、後の変身人間シリーズのプロトタイプとなったモノクロ特撮の傑作。東宝特撮では珍しく田中友幸氏ではなく北猛夫氏が製作を務め、音楽には日本初の本格的ジャズ演奏家でもある紙恭輔氏が起用されました。戦時中の衝撃実験によって透明化量子「ホストン」を吸収し、可視光線を透過する身体になってしまった元特攻隊員・南条の悲哀と孤独を軸に置いた大人の怪奇サスペンスです。円谷英二特技監督による特撮は見どころに満ちており、南条が顔のペイントを落とすシーンでは墨を塗りつけた黒装束(中島春雄氏が熱演)に背景を光学合成する手法を採用。無人のラビットスクーターが夜の街を疾走する追跡劇では、車体に補助輪を取り付けて自動車で牽引するという当時の限界に挑んだ驚異の職人技が光ります。

【ストーリー】
銀座で「透明人間特攻隊」の生き残りが遺書を残して轢死し、それ以来、透明人間を騙るギャング団の強盗事件が多発する。キャバレーでピエロのサンドイッチマンとして働きながら、盲目の少女まりのために生きる南条こそが、もう1人の本物の透明人間だった。南条は新聞記者の小松の協力を得て、自分の存在を騙って悪事を働くギャング団の黒幕を暴くべく、姿なき身体を武器に孤独な戦いへ身を投じる。

【作品情報】
監督:小田基義
特技指導:円谷英二
脚本:日高繁明
原案:別府啓
製作:北猛夫
出演:河津清三郎、三條美紀、高田稔、土屋嘉男
主な配信先:U-NEXT(見放題配信中)、Amazon Prime Video(レンタル配信中)

 

いかがでしたか?

日本SF特撮の黄金期を築いた「東宝・変身人間シリーズ」は、単なる異形の恐怖を描くだけでなく、科学の暴走に対する警鐘や、社会から疎外された異端者の切ない孤独、そして人間のエゴを炙り出す、今なお色褪せない深い文学性を持った傑作群です。 この圧倒的な遺伝子を受け継ぎ、令和のSNS社会や現代の狂気へとアップデートさせた最新作、Netflixシリーズ『ガス人間』がいよいよ明日7月2日(木)から世界独占配信スタートします。メガホンを取る片山慎三監督(『ガンニバル』)のリアリティ溢れる演出と、脚本・エグゼクティブプロデューサーのヨン・サンホ(『新感染』)が仕掛ける全8話のソリッドな劇場型予告殺人スリラー、さらに小栗旬と蒼井優の23年ぶりの実写共演など、日韓のトップクリエイターと豪華キャストが魅せる新時代の“異形”に期待が止まりません。

実体を持たぬ恐怖が現代をどう侵食していくのか。迫る配信とあわせて、ぜひ東宝オリジナル版の扉を開けて、その深遠なルーツを予習してみてください。

 

Netflixシリーズ『ガス人間』
Netflixにて2026年7月2日(木)世界独占配信(全8話一挙配信)

原作:『ガス人間第一号』(監督:本多猪四郎/脚本:木村武)
監督:片山慎三
脚本:ヨン・サンホ、リュ・ヨンジェ
エグゼクティブ・プロデューサー:ヨン・サンホ、市川南、大田圭二、臼井央、佐藤善宏(Netflix)
企画・プロデュース:馮年、呉良次
プロデューサー:小野田壮吉、ヤン・ユミン
企画:山内章弘
VFX:白組
VFXスーパーバイザー:髙橋正紀、新堀巧
企画・製作:東宝
共同企画・制作:WOWPOINT
制作プロダクション:TOHOスタジオ
配信:Netflix
キャスト:小栗旬、蒼井優、広瀬すず、林遣都、UTA、竹野内豊
話数:8話

配信ページ:https://www.netflix.com/ガス人間