相棒は人間だけじゃない!犬・猫・怪獣がスクリーンを駆ける最強の動物バディ映画!
少年とドラゴンの友情が描かれる『ヒックとドラゴン』は、空想の存在と人間が肩を並べる夢のようなバディムービーだ。しかし映画史を振り返れば、“動物との相棒関係”はファンタジーを超えて普遍的に描かれ続けてきたテーマでもある。孤独を癒す存在として、戦いのパートナーとして、ときには人生を根底から変える存在として――彼らは物語に血肉を与えてきた。今回はその中から、時代もジャンルも異なる4本をセレクト。犬・猫・ゴリラ、そしてジョン・ウィックの犬アクションまで、多彩な「動物バディ」の魅力を堪能してほしい。
野生と人間の境界線を越える友情
『野性の呼び声』(2020)
ジャック・ロンドンの古典冒険小説を、ハリソン・フォード主演で映画化した一作。舞台は19世紀末、ゴールドラッシュに沸くアラスカ。野犬のバックは都会で飼われていたが、売られて極寒の地へ。犬ぞりの一員として過酷な自然にさらされるなかで、生きる本能を呼び覚まし、やがて老人ソーントン(フォード)と運命的に出会う。本作の魅力は、犬と人間の立場が逆転していくこと。バックは“飼い犬”という枠を超え、大自然を知る者としてソーントンを導く。ハリソン・フォードの渋みと、CGで描かれるバックの生命力が重なり、「人間と野生が肩を並べる」瞬間に心を奪われるだろう。
監督:クリス・サンダース
出演:ハリソン・フォード、ダン・スティーヴンス、オマール・シー、カレン・ギラン
原作:ジャック・ロンドン「野性の呼び声」
配信:Disney+、U-NEXTほか
猫はただの癒やしじゃない
『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(2016)
薬物依存から抜け出せずにいたストリートミュージシャン、ジェームズが拾ったのは一匹の茶トラ猫ボブ。肩に乗って街を歩き、ギター演奏に寄り添うボブの姿は、ロンドンの人々を惹きつけ、やがてジェームズ自身をも救っていく。この作品の面白さは、「猫が人間を変える物語」であること。ボブは気まぐれなペットではなく、ジェームズが社会と再びつながるための“触媒”であり、“伴走者”だ。実際に本人とボブが出演しているため、その絆の強さはドキュメンタリーに近いリアリティで迫ってくる。猫が持つ自由さと温もりが、人生を変える力を持つことを証明する感動作だ。
監督:ロジャー・スポティスウッド
出演:ルーク・トレッダウェイ、ルタ・ゲドミンタス、ジョアンヌ・フロガット
原作:ジェームズ・ボーエン「ボブという名のストリート・キャット」
配信:Netflix、Amazon Prime Videoほか
犬は復讐の引き金から最強の戦友へ
『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019)
愛犬の死をきっかけに復讐へ駆り立てられた伝説の殺し屋ジョン・ウィック。シリーズ3作目となる『パラベラム』では、犬との関係がさらに進化する。ジョンが愛犬と生き延びようとする姿に加え、ハル・ベリー演じるソフィアと彼女の2頭の犬が加わり、犬たちが“戦闘の主役”としてスクリーンを支配するのだ。この映画で描かれるのは、犬が象徴や感情の存在にとどまらず、「牙と銃を並べる戦友」となる姿。アクションシーンでは犬が敵を押さえ、ソフィアが撃ち抜くという連携が炸裂し、観客は「これぞ究極のバディ」と喝采を送る。愛と暴力が同居する“犬アクション映画”として唯一無二の存在感を放っている。
監督:チャド・スタエルスキ
出演:キアヌ・リーヴス、ハル・ベリー、イアン・マクシェーン、ローレンス・フィッシュバーン
配信:U-NEXT、Leminoほか
怪獣だって相棒になる ―
『ランペイジ 巨獣大乱闘』(2018)
ドウェイン・ジョンソン演じる霊長類学者デイヴィスと、彼が幼い頃から育ててきた白いゴリラ・ジョージ。ある日、遺伝子実験の事故でジョージが巨大化し、都市を破壊するモンスターへと変貌してしまう。だが、暴走する力の奥にあるのは、変わらぬ信頼と友情。ジョージは最後まで“友”としてデイヴィスと心を通わせ、世界を救うために戦う。怪獣映画らしい破壊のスペクタクルの中に、動物バディ映画の王道的な情感が潜んでいるのが本作の妙だ。筋骨隆々のザ・ロックと、巨獣になっても愛嬌を失わないジョージのコンビは、笑いと涙の両方を観客に与える。
監督:ブラッド・ペイトン
出演:ドウェイン・ジョンソン、ナオミ・ハリス、マリン・アッカーマン、ジョー・マンガニエロ
原作:アーケードゲーム「ランペイジ」
配信:Netflix、Amazon Prime Video
『ヒックとドラゴン』が描く空想のバディも、『野性の呼び声』『ボブという名の猫』『ジョン・ウィック:パラベラム』『ランペイジ』が見せる現実の犬猫やゴリラのバディも、根っこにあるのは同じだ。動物は人間を映す鏡であり、人生を変える伴走者であり、時に戦場の戦友にもなる。
映画の中で、彼らはただの“ペット”に収まらず、運命をともにする“相棒”として輝く。今夜はどの動物と一緒にスクリーンを旅しようか。
『ヒックとドラゴン』
9月5日(金) 全国公開
監督:ディーン・デュボア
製作:マーク・プラット、アダム・シーゲル
出演:メイソン・テムズ、ニコ・パーカー、ジェラルド・バトラー、ニック・フロスト
配給:東宝東和
公式サイト:https://hic-dragon-movie.jp/












