妻夫木聡「映画の力を信じたい」――映画『宝島』東京プレミア開催!広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太らキャスト陣が集結!
9月9日、東京・六本木ヒルズのTOHOシネマズ前で映画『宝島』(9月19日公開)の東京プレミアが開催された。会場には抽選で選ばれた約60名の観客と大勢の報道陣が集まり、声援とフラッシュで熱気があふれるなか、主演の妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太、塚本晋也、中村蒼、瀧内公美、栄莉弥、尚玄、木幡竜、奥野瑛太、村田秀亮(とろサーモン)、デリック・ドーバー、大友啓史監督が登場した。
主人公グスクを演じた妻夫木は「『宝島』は命をつないでいく物語。想いはどんどんつながっていきます。熱い思いを込めて作ったので、一人でも多くの方に届けたい。そして映画の力を感じてほしい」と呼びかけ、満面の笑みを浮かべた。広瀬は「沖縄という場所に愛情と情熱をもって向き合い、貴重な刺激のある時間を過ごしました」と振り返り、窪田も「まだまだ暑いこの日本に、もっと体温を熱くさせる映画を届けられるのが嬉しい」と続いた。町の英雄オンを演じた永山は「本当に素晴らしい作品が出来上がったので、ぜひ劇場で観ていただきたい」と喜びを嚙みしめ、大友監督は「6年かかりました。困難もありましたが、絶対に届けなければならない物語だとキャスト・スタッフ一人ひとりが信じて作りました」と力を込めた。
挨拶を終えた一同はその後も1時間以上にわたり、レッドカーペット上でマスコミの質問に答えたりファンにサインをしたりと交流を楽しみ、会場は終始熱気に包まれた。
原作は直木賞をはじめ三冠に輝いた真藤順丈の小説『宝島』。戦後、アメリカ統治下に置かれた沖縄で、米軍基地から物資を奪い困窮する住民に分け与えた若者たち――“戦果アギヤー”の存在を描く群像劇だ。映画では、刑事となるグスク(妻夫木)、教師として復帰運動に身を投じるヤマコ(広瀬)、兄を追うためヤクザの道に進むレイ(窪田)が、それぞれの立場で失踪した英雄オン(永山)を追い続ける姿が描かれる。3時間を超える大作は、混沌と希望が交錯する20年の軌跡を描き出す。
レッドカーペット後の舞台挨拶では、妻夫木は「ようやく東京で皆さんに観ていただける日が来た」と笑みを見せ、衣装デザイナー宮本まさ江が仕立てた特別なジャケットを披露した。「今日は“グスク風味”で臨んでいます」と会場を和ませつつ、「『宝島』は命をつないでいく物語。思いはつながっていく。映画には人の人生や未来を変える力があると信じたい」と強調した。6月から自ら宣伝アンバサダーを務め、全国を巡って作品を届け続けてきた理由については「奇跡を目の当たりにしたい。そのためには手渡しで届けなければいけないと思った」と語り、座長としての覚悟をにじませた。
広瀬は「一生分泣いたと思うくらい涙を流しました」と率直に述懐した。沖縄の海や空に触れるたびに感情が揺さぶられたといい、「現場のエネルギーがものすごく強くて、食らうし吸い取られる。けれどその中で素直な心情のまま役と向き合えた」と撮影を振り返った。「沖縄という場所に愛情と情熱をもって立ち向かった時間は、自分の役への向き合い方を変えてくれた」とも語り、妻夫木ら共演者への尊敬をにじませた。
窪田は「まだまだ暑い日本に、さらに体温を熱くさせる映画になった」と笑顔で語りかけ、会場を沸かせた。撮影現場については「監督は何度でも『もう一回』と言う。正直、くじけそうになることもあった」と苦笑しつつ、「でも一番楽しそうに走り回っていたのは監督自身。その姿を見ているともっと出さなきゃと自然に思えた」と振り返った。
英雄オンを演じた永山は「圧倒的なカリスマをどう表現するか頭を抱えた」と明かす。理屈で作るのではなく肉体で役を体得するため、嘉手納基地周辺を毎日走ったという。「自分が先頭に立つ存在だと信じなければ成立しない役。妻夫木さんを先輩と意識しないと決め、ただ引っ張る存在であろうとした」と述べ、兄貴分的な役どころへの覚悟を語った。
そして終盤、大友監督が長い年月を振り返った。「僕は1966年生まれで、高度経済成長の時代を知る世代です。その裏で沖縄はまだ復帰できず、憲法の自由や平等が及ばないままアメリカ統治下に置かれていた。弱肉強食の現実を、私たちは知らなければならないし、感じなければならないと思いました」と語り、映画をつくる意味についても熱を込めた。「歴史を学ぶのではなく、暗闇の中でスクリーンを通して登場人物の感情を追体験するもの。国や立場が違っても同じ人間として、彼らの思いに自分を重ねることができる。グスク、レイ、ヤマコと一緒に、消えたオンの背中を追うことで沖縄を体験できる。それを映画でやらなければならないと思ってきました」。制作の過程を「限界ギリギリまで歯を食いしばってやった」と表現した監督は、「映画はコミュニケーションの最高の手段。僕が何を伝えたいかより、皆さんがどう感じたかを教えてほしい」と呼びかける。そして「あの時代の沖縄には今の時代に必要な気づきがある。その気づきを共有し、自分にとっての“宝”は何かを考えてほしい。もし同じ思いを広げたいと思ってくれるなら、皆さんを“大友組”の一員として迎えたい」と締めくくると、会場は深い拍手に包まれた。
最後にマイクを握った妻夫木は、静かな口調で「映画は観てもらって初めて完成する」と語り出した。「全国を回る中で、この作品が大きく成長していくのを感じています。映画の中にはエンディングがありますが、本当の終わりは僕たちの未来の中にあると思っています」と続ける。その未来に何を託すのかについて「映画は社会の中でちっぽけな存在かもしれない。でも誰かの人生や世界を変えるきっかけになるものがあるなら、僕は映画の奇跡を信じたい。この『宝島』にはその力があると心から信じています」と力を込めた。そして「もし少しでも共感していただけたなら、一人でも多くの方に『宝島』を薦めてほしい。そこで何かを感じてもらえたら本当にうれしいです」と締めくくり、観客に深く頭を下げた。
レッドカーペットでの華やかな笑顔、舞台挨拶での真摯な言葉。六本木の夜を彩った東京プレミアは、キャストと監督の熱意そのものが観客に手渡される時間となった。戦後沖縄の20年を描く物語は、単なる歴史劇にとどまらず、「今」を生きる私たちに問いを投げかける。映画『宝島』は9月19日(金)より全国公開。長い道のりを経て完成したこの大作は、スクリーンを越えて観客の未来に響くことを願っている。
『宝島』
2025年 9月19日(金)より全国公開
【ストーリー】
1952年、沖縄がアメリカだった時代。米軍基地から奪った物資を住民らに分け与える‟戦果アギヤー“と呼ばれる若者たちがいた。いつか「でっかい戦果」を上げることを夢見る幼馴染のグスク(妻夫木聡)、ヤマコ(広瀬すず)、レイ(窪田正孝)の三人。そして、彼らの英雄的存在であり、リーダーとしてみんなを引っ張っていたのが、一番年上のオン(永山瑛太)だった。全てを懸けて臨んだある襲撃の夜、オンは「予定外の戦果」を手に入れ、突然消息を絶つ…。残された3人はやがて、憧れのオンの失踪の謎を追いながらも、「オンが目指した本物の英雄」を心に秘め、やがて警察、ヤクザ、小学校の先生になり、それぞれの道を歩み始める。しかし、アメリカに支配され、本土からも見捨てられた環境では何も思い通りにならない現実に、やり場のない怒りを募らせ、ある事件をきっかけに抑えていた感情が爆発する。そして、オンが基地から持ち出した”何か“を追い、米軍も動き出すー。消えた英雄が手にした“予定外の戦果”とは何だったのか?そして、20年の歳月を経て明かされる衝撃の真実とはーー。
出演:妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太
監督:大友啓史
原作:真藤順丈「宝島」(講談社文庫)
配給:東映/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©真藤順丈/講談社 ©2025「宝島」製作委員会
公式サイト:https://www.takarajima-movie.jp
オフィシャルX:https://x.com/takarajimamovie
オフィシャルInstagram:https://www.instagram.com/takarajimamovie/
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