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【第37回東京国際映画祭】『数分間のエールを』トークショー/ぽぷりか監督「30年分の人生喰らえ!っていう感じで作ってしまった。」

37回東京国際映画祭にて『数分間のエールを』のトークショー付き上映が行われ、監督のぽぷりかと、インタビュアーとしてアニメ評論家の藤津亮太が登壇した。

本作は、ヨルシカのMVなどを手掛けてきた映像制作チーム「Hurray!」の3名、ぽぷりか・おはじき・まごつきが初の劇映画として担当した作品。MV制作に没頭する高校生・朝屋彼方は、ある日ストリートライブをしていた織重夕に出会い、「この歌のMVを作りたい」と熱い想いを抱くようになる。

まず、今まで作ってきたイラスト的なデザインで劇映画を作ることに不安はなかったか、藤津に問われたぽぷりか監督は「めちゃめちゃありました」とコメント。また、コンテはキャラクターの表情やどのくらいの引きの画かわかる程度のとてもシンプルなもので「ジブリのような緻密なものとは対極にあるコンテだと思います」とし、「コンテをもとに全部作ってみて、最後にレイアウトを直すような作り方をしています」と答えた。

さらに、コンテの作り方はMVと劇映画は「全く変わらない」と話し、「シーンが連なっていくだけなので、極端なことを言えば、MV20個繋げていくようなものだと思って作っていました」とMV作りに長けている監督ならではの考え方も明かした。

そして光と影を使った印象的な演出の話になると、「可能な限り、先生(織重夕)は逆光で、彼方は順光にしていました」と気を付けていたことの一例をあげ、具体的には「職員室で一回も座っていなかったけど、先生が座ったら逆光になるようにしていました。もう一個は、上手に向かっていると未来に向かっている表現で、その逆は過去に向かうという意味合いがあるんですけど、それも意識したくて。彼方はずっと下手から上手に向いているし、先生はずっと上手から下手を向いているように意識しました」と語った。さらに、彼方の友人・外崎大輔のスケッチブックが影の中に入っているシーンも「人の目に見えるところではないけれど、これだけの努力を……っていうのがやりたくて」と光を当てていなかった理由を話した。

モノづくりがテーマの映画の中で、MVを扱ったことについては「字書きさんとかのお話にしようとも思っていたんですけど、聞いただけの言葉にしか絶対ならないんです」と語り、恥ずかしくはあるが自分自身のストーリーをベースに作ったとのことだ。

そして声のイメージについては、テープオーディションの際に「自分の中に元々(イメージとして)あった声で、そのままはまっていきました」とし、「劇伴があってどこで入ってくるか、セリフをどこで言うかは自分で決められるので、音楽を作っている気持ちでやっていました」と劇映画ならではの楽しさを振り返った。

最後に、劇映画を作ってみて自信がついたところはあるかと聞かれると「30年分の人生喰らえ!っていう感じで作ってしまったので、次同じようなものができるのかなっていう思いはありますね」と話しつつも、「『やってくれ』って言われて面白イなって思ったらやれると思うし、その時に今回みたいな演出ができる自信はあります」と自身の力強い確信ものぞかせた。

 

 

 

<第37回東京国際映画祭 開催概要>
■開催期間:2024年10月28日(月)~11月6日(水)
■会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
■公式サイト:www.tiff-jp.net

<TIFFCOM2024 開催概要>
■開催期間:2024年 10 月30日(水)~11月1日(金)
■公式サイト:www.tiffcom.jp