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強くて魅力的な女性キャラクター特集 ＃３

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映画・ドラマライターの伊藤万弥乃です。前回から新たに「あなたの勇気を呼び覚ます！強くて魅力的な女性キャラクター特集」という企画をスタートしました。この特集ではやる気が出ない時、スカッとしたい時、どんな人でも楽しんでもらえる映画をご紹介していきます！

『マダム・イン・ニューヨーク』
“良妻賢母”シャシの勇気ある挑戦を見届けよ

今回ご紹介するのは、インド映画『マダム・イン・ニューヨーク』の主人公シャシ（シュリデヴィ）です。インドで夫、思春期の娘、幼い息子、そして夫の母と共に暮らしている彼女は、“家庭を守る母”として料理や家事に勤しみ、幸せに暮らしていました。しかし英語が苦手な彼女は、様々な言葉が話されるインドにおいて意思疎通が難しい時があり、英語を理解できる夫や娘にバカにされることも。また、シャシはインドの伝統菓子“ラドゥ”を作って売っていますが、夫は家事の延長として捉えており、シャシのしていることに敬意を払う様子は見られません……。そんな中、アメリカにいる姪が結婚するという知らせを受け、家族より一足先に飛行機でニューヨークに行くことになったシャシは、そこで「４週間で英語が話せる」という広告を目にし、一歩踏み出すことを決意するのです。

筆者の場合、もし英語が話せないことを馬鹿にされたら「なんでそんなこと言うの！（怒）」と思わず言ってしまいそうですが、シャシの場合は彼らの思いやりのなさに怒るのではなく、その侮辱するような発言を受け止めるだけ。その発言に心を痛めているのは事実ですが、彼らのことを面と向かって責めようとはせず、むしろ彼らに「尊重されたい」と英語を勉強するモチベーションに繋げてしまうのです。相手を変えるのではなく、自分を変えることにしたのでした。

またニューヨークの語学学校に通い始めた彼女は、自分が英語の勉強を始めたことを言いふらさず、家族にも隠れて通います。英語が話せないことに恥ずかしさを感じ、習っているとはいえ完璧に話すことができないから言いふらしたくないという気持ちもあるかもしれませんが、それ以上に自分の成長のために勉強しているのであって、他人は関係ないという内向きの姿勢を強く感じました。

そして姪の結婚式で意図せずスピーチをすることになったシャシは、そこで初めて英語を披露することになります。隣にいた夫や娘はシャシが英語を話していることに驚きを隠せず、彼女のスピーチ内容に涙してしまう瞬間は、今までのシャシに対する仕打ちを見てきた視聴者としてはスカッとするシーンです。しかし、姪に英語で話すように促されるまで、シャシはあまり積極的に英語を話そうとしていませんでした。やはり彼女が英語を勉強していたのは家族を見返すためではなく、スキルをつけて家族とさらに近づくためだったのだ……と再確認することができます。（「はやく夫と娘を見返してやれ！」と思いながら観ていた筆者は、自分の心の狭さにハッとしたほどでした）

「自分を助ける最良の人は自分」というセリフが出てきます。出来ないことを馬鹿にされてしまうと、たいていの人間は「自分にはできないんだ、仕方ない……」と受け入れてしまったり、相手を責めたりする人が多いはず。しかしシャシは、他人に自分が納得する言葉を期待したり、その場に立ち止まったりするのではなく、自分を味方につけることで乗り越えられる力を持っている強い人です。

また、語学学校で自分の職業を説明する授業があり、先生がシャシのことを“起業家”と言ったことで、彼女は自分がやっていることが大きなビジネスだったということに気が付きます。向上心が突き動かした一つの行動が、見える世界をさらに広げてくれる。そして自分を愛することに繋がる。彼女の勇気や強く前に進む姿から、人生に必要な心持ちを学ぶことができる温かい作品です。

『マダム・イン・ニューヨーク』
2012年製作／134分／G／インド
原題：English Vinglish

出演：シュリデヴィ、メーディ・ネブー、プリヤ・アーナンド、アディル・フセイン
監督：ガウリ・シンデー

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伊藤万弥乃(いとうまやの)
海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。
執筆記事：https://linktr.ee/mayano
ブログ：https://ladybird99.com/

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