TBS レトロスぺクティブ映画祭 2024 「寺山修司特集」5月25 日(土)舞台挨拶レポート!佐井監督「昭和も令和もあまり変わらない。ただ、創るものも人柄も尖らないと」
2024年4月26日からスタートしたTBS収蔵の貴重なドキュメンタリーフィルムをデジタル修復して劇場公開する「TBSレトロスペクティブ映画祭」。その第一回目は昭和の鬼才・寺山修司の特集。5月25日(土)には、大阪のシネ・ヌーヴォで劇場公開された。上映後に、この映画祭のセレクションを担当したTBSの社員であり映画監督としても活躍する佐井大紀による舞台挨拶が実施された。佐井は、寺山修司のテレビドキュメンタリー『日の丸』をリブートする形で『日の丸~寺山修司40年目の挑発~』を手掛ける監督でもある。
<寺山修司構成・伝説のドキュメンタリー番組「あなたは・・・・・」+「日の丸」の上映会>
「あなたは・・・・・」「日の丸」は、寺山修司構成の伝説的ドキュメンタリー番組です。1967年の放送直後から抗議が殺到したTBSドキュメンタリー史上、最大の問題作と言われた「日の丸」。そして、ハンドマイク一つで女子大生が、淡々と決められた17の質問を町ゆく人にぶつけていく、メディア史に燦燦と輝く伝説的傑作「あなたは・・・・・」が、半世紀以上の時を超えて劇場で公開された。
まだ、上映後の感動が冷めやらぬ中、段上に上った佐井は「みなさんと質疑応答をさせていただきます」とにこやかに呼びかけました。待ちかねてたかのように、客席からは次々と手が上がりった。まず、当時の放送時間帯や放映後の反響等についての質問。「1966年に「あなた・・・・・」が22時から放送され、その3か月後に『現代の主役』という番組で「日の丸」が放映されました。時間帯は、22時30分放送です。実は、日本画家の山下清氏を戦地(ベトナム)に連れて行くはずだった企画があったんですが、没になり、急遽、制作したのが「あなた・・・・・」でした」と、佐井は裏話を交えて話した。
ドキュメンタリーを制作する場合、1960年代半ばと今とでは、どちらが自由度があるかという質問を受け、「昭和も令和もあまり変わらない。ただ、創るものも人柄も尖らないと」(佐井氏)と回答。質問はさらにアナーキスト(無政府主義者)である寺山修司が「国家」というものをどのように捉えていたのかという寺山修司論に広がり、佐井は「彼は国家を自分で創るみたいな。町を劇場にしちゃう演劇的なスタイルです」と語った。
話は、TBS レトロスぺクティブ映画祭の次回作にも及びました。佐井は、TBSから円谷特技プロに出向し『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』の演出で名を高め、後に映画監督として活躍した実相寺昭雄(じっそうじ・あきお)氏がTBSを干されていた頃に制作した映像を紹介したいと語っていた。
最後に、佐井は笑顔で「こんなにたくさんの方に来ていただいて嬉しく思います。どうか、SNSで面白かったと拡げてください」と、感謝の言葉で締めくくりった。
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