【海外ニュース】『ジョン・ウィック』チャド・スタエルスキ監督、人気ゲームの実写映画『ゴースト・オブ・ツシマ」をオール日本人キャスト&オール日本語での製作に意欲
現在『ジョン・ウィック』シリーズ4作目の『John Wick: Chapter 4』を仕上げている最中のチャド・スタエルスキ監督が、ゲーム「Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)」の映画化を希望していると米Colliderが報じた。
「Ghost of Tsushima」は1274年、モンゴル帝国と高麗の軍が日本に侵攻した文永の役を舞台にしたアクションアドベンチャーゲームで、プレイヤーは対馬を守るため、侍である主人公の境井仁(さかいじん)を操作して戦う。作中で仁は、武士らしく誉れを重視し正々堂々と戦うよう求められるが、後に闇討ちなど手段を選ばない「冥人(くろうど)」スタイルをとることになる。『John Wick: Chapter 4』のタイトルが「HAGAKURE(ハガクレ)」になるという噂があるが、「葉隠(はがくれ)」は江戸時代に記された武士の心得がまとめられた書物の名だ。どちらも日本を意識していながら、正反対の要素を持っているのが面白い。
「Ghost of Tsushima」は黒澤明の映画に大きく影響を受けた作品だ。戦闘シーンやキャラクター名もそうだし、画面をモノクロにして遊べるモードはそのものズバリ「黒澤モード」と名付けられている。スタエルスキは16歳から日本に通い、かねてより日本文化からの影響について公言もしてきた。今回の米Colliderのインタビューでは、「黒澤は映画に関して最も影響を受けた人物トップ5のうちに入る」と発言している。そのため、スタエルスキは本作を完全に日本人キャストで、日本語で作り、西洋の観客にもアピールするという野望を抱いているようだ。難しいチャレンジになりそうだが、ソニーはその考えを指示しているとのこと。
日本人からすると字幕で映画を見るのは珍しくも何ともないが、アメリカ人が字幕嫌いというのはよく聞く話だ。『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督は、ゴールデングローブ賞の受賞スピーチで「字幕という高さ1インチの壁を乗り越えれば、より多くの素晴らしい映画に出会える」「我々はたったひとつの言語を使っていると思う。それは映画だ」と発言した。スタエルスキも非英語映画のハードルの高さを意識しながら、ジャッキー・チェンが成功した理由について「広東語や中国語が話せなくとも理解できるからだ。顔を見れば分かるんだ」と述べている。
幸運なことに、『パラサイト』や『イカゲーム』はアメリカでもヒットした。アメリカ人の字幕アレルギーは徐々に改善してきているようだ。スタエルスキは、自身のオフィスにバスター・キートンやチャールズ・チャップリンなどの歴代の無声映画の額縁を飾っており、言語の壁を越えるその力を信じている。無声映画のようなテクニックを身につければ、フィルムメイカーとして一段、いや二段は上のレベルに到達することになるだろう。ゲームの実写化自体にも高いハードルがあるだろうが、期待せずにはいられない。
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