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【海外ニュース】製作費120億超、DC映画『バットガール(原題)』がお蔵入り決定!今後のDC作品は大丈夫?

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

撮影が終わりポストプロダクションの段階にあった、バットガール/バーバラ・ゴードンを主人公とするヒーロー映画『Batgirl』がお蔵入りとなったことが米The Hollywood Reporterによって報じられた。120億円以上もの制作費をかけた大作ながら劇場公開はおろか配信すらもされないとは、ファンにとってこれほど悲しい事態もないだろう。監督であるアディル・エル・アルビ&ビラル・ファラーのコンビすらも寝耳に水の上層部の決定に、「未だに信じられない」とショックを隠しきれないコメントを出している。

主演のレスリー・グレイスは昨年のミュージカル『イン・ザ・ハイツ』で鮮烈なデビューを飾った新鋭で、本作はバットガールが主人公の最初の映画になるはずだった。バットガールの父親ジェームズ・ゴードンを演じるのは『ジャスティス・リーグ』から続投のJ・K・シモンズで、ティム・バートン版バットマンを演じたマイケル・キートンも同役で出演、ヴィランには『ハムナプトラ』シリーズのブレンダン・フレイザーが配されているなど、気合の入ったキャスティングだった。

この決定を下したのは、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーのCEOデビッド・ザスラフ。試写での反応が悪く、求めたクオリティに達していなかったため、さらなる宣伝費をかけずプロジェクトを中止した方が得との判断によるようだ。映画を観る機会が失われた今では、観客目線でその判断の正しさについて論ずることは不可能だが、DC映画に悪いニュースがひとつ増えてしまったのは確実だ。

『ジャスティス・リーグ』をザック・スナイダー監督から引き継いだジョス・ウェドン監督は後に、ワンダーウーマン役のガル・ガドットやサイボーグ役のレイ・フィッシャーからのパワハラを暴露されている。特にフィッシャーは上層部の人種差別的な態度にも抗議しており、重要な役どころでありながら今後もDC映画に出演するかは不透明な状況だ。はたまた、役者が問題を起こしている場合もある。フラッシュ役のエズラ・ミラーは女性への暴行事件などの他、現地時間8日には住宅に不法侵入し酒を盗んで起訴されている。ただ、なぜか今のところ彼の主演作『The Flash(原題)』の公開には何の影響も与えていないが。

ザスラフCEOは、マーベル・スタジオ社長のケビン・ファイギのやり方を真似て、10年計画でDCブランドの立て直しを図るとしている。件のファイギは『Batgirl』監督コンビに慰めのメールを送っており、「すぐ会えることを願っている」という一文でメッセージを締めくくっている。コンビはドラマ『ミズ・マーベル』でマーベルと組んだばかりだ。ただの社交辞令的な挨拶かも知れないが、もしかしたら近いうちにDCを見返す作品を作ってしまうかもしれない。こういった些細な部分にもマーベルの余裕が見て取れ、DCとの差が改めて浮き彫りになったと言えるだろう。

 

 

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