【海外ニュース】話題の台湾ホラー『呪詛』、続編制作も決定済み! ユニバース化の可能性も!?
Netflixに加入している方ならば、連日のようにホーム画面に表示されている『呪詛』なる不穏な字面を幾度か目にしていることだろう。監督の意図ではないだろうが、本編鑑賞前からその呪いは我々の脳に刻み込まれる仕掛けとなっている。本作は、まだまだ有名とは言えないまでも近年じわじわと知名度を上げている“台湾ホラー”の新たな代表作となるであろう一作だ。今年3月に台湾で公開されると、たちまち1億7000万台湾ドル(約570万ドル、日本円で約7億8500万円)の大ヒットとなり、台湾における今年の興行収入堂々トップに躍り出た。
配信の方でも、7月4日~10日の1週間で、クローバルトップ10で非英語の映画作品中4位の視聴時間をマーク。正確には配信が始まったのは7月8日からなので、たった3日間でその記録を打ち立てたことになる。日本でも、ホーム画面に映し出される「今日の映画TOP10」で1位となる日もあった(ちなみに本日は2位)。意外すぎるダークホースの出現だ。そんな『呪詛』は、Netflixからのお知らせですでに続編の準備が進行中だと明かされている。鑑賞済みの方には、筆者が皮肉でなく「幸か不幸か」と付け加えたくなる気持ちを理解していただけるだろう。
監督を務めたケビン・コーは、自身のFacebookで元々『呪詛』は3部作の最初の1本として作る予定だったと明かしている。3本それぞれ異なるテイストで、つまり本作は実験映画、2作目『醃(原題。「漬ける」の意)』は伝統的な幽霊映画、3作目『困(原題。「苦しむ」の意)』は家族愛スリラー映画として作る計画だ。だが、3部作と呼ぶからには共通する特徴がある。それは、「近年台湾で実際に起きた最も恐ろしい事件にインスパイアされた、またはそれを脚色したものである」という点だ。
『呪詛』の元になったのは、2005年、台湾の高雄市(熊本市、八王子市などの姉妹都市)に住む、両親と4人の子からなる6人家族に起きた奇怪な事件である。まず三女が第三皇子(道教の少年神である哪吒(ナタ))に憑依され、「長女を高雄市に連れ戻さないと命が危ない」と主張。すると、件の長女がいきなり観音菩薩を名乗り始める。長女は家族から悪霊に取り憑かれていると判断され、それを払おうする中で家族たちも次々に玉皇大帝(道教の最高神)や西王母(中国で信仰される仙女で玉皇大帝の妻)、七仙女(玉皇大帝と西王母の娘たち。またはその末娘、織姫を指す)に取り憑かれていく。一応、家族関係とも対応しているのがまた不気味だ。
じきに、家族はお互いに相手が悪霊に憑依されたものだと思い込み、殴り合ったり、火のついた線香で皮膚を焼いたり、排泄物を食べたりすることによって“除霊”を行おうとした。その結果、長女が死亡。家族は、長女が呼吸をしなくなった段階では、長女ではなく悪霊の方が死んだものだと思っていたようだ。家族は過去にこのような“霊媒”を行ったことはない上、子の中には看護師もいたらしく、「家族全体が精神的に病んでいた」というもっともらしい推論とは別の、より恐ろしく非現実的な可能性を疑わざるを得なくさせている。
実話の方も映画に劣らない怪談だ。映画自体も、監督の言葉通り実験的な要素が含まれ、それが斬新な恐怖表現となっている、体験型映画として新たなステージを切り開いたような怪作だが、続編は全く違うアプローチとなるとのこと。また3部作については、今では『醃』と『困』に『偶(原題。偶像、偶数、配偶者、偶然の意)』を加えた形で考えているようだ。「一字宇宙(一文字タイトル映画ユニバース)」にも興味があるらしく、将来的にアジア系のジェームズ・ワン監督がすでに作り上げている「死霊館ユニバース」に対抗できる可能性もあるのかと思うと、ホラーファンとして様々な意味で震えが止まらない。
『呪詛』がそのタイトルに恥じない、観客をも呪う異形の作品で、もう観る前には二度と戻れない感覚があるのだが、毒を食らわば皿までだ。そんなに観客の人生を狂わせたいのなら、コー監督にはいっそのこと作品を作り続け、末代まで祟ってもらおうではないか。
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