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第88回:『ダンサー・イン・ザ・ダーク』|缶入りキャンディは故郷を思い出す味!【瀬田ミナコのシネまんぷく】

共感シアターでもお馴染み、女優の瀬田ミナコによる連載コラム。毎回「映画」と「食」をテーマに、ゆるゆるとお届けします!

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■今回の映画:『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)

今回は4Kデジタルリマスター版の公開を記念して、映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』です!これまで観たことのなかった作品ですが、「名作」という声と、「二度と見たくない鬱映画」という感想、どちらも聞いていたので、果たして一体どんな映画なのか気になっていました。加えて、そんな賛否両論ある映画を観て、自分がどっちの感想を抱くのかちょっと楽しみでもありました!

あえて何の下調べもせずに観てみたのですが、結論から言うと、、、

「名作でした!!!!」

ただ、ダンサーの話かと思ったら違いました。(笑)

さらに、鬱映画と聞いていたので、まさかミュージカル映画だとは思わなかったし、予想外のドキュメンタリー風な撮影法にもびっくり。想像していたものとは違いすぎて驚くことだらけだったのですが、自分の中の概念が変わるような、そんな衝撃的な映画でした!

詳しく感想を書く前に、簡単な作品紹介とあらすじから。

映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」は2000年に公開されたミュージカル映画で、監督はラース・フォン・トリアーです。主演と音楽を、アイスランドの歌手・ビョークが務めており、彼女はこの作品でカンヌ国際映画祭の主演女優賞を受賞。さらに作品自体もパルム・ドールを受賞しています!

物語の主人公は、ビョーク演じるセルマです。ミュージカルが大好きな女性で、工場で働きながら、女手一つで息子のジーンを育てています。が、実は遺伝性の病気により視力を失いつつあり、息子が自分と同じ運命をたどらなくて済むよう、必死に働いてジーンの手術費用を貯める毎日を送っています。しかし、貧しい生活の中で何とか貯めてきたそのお金は、目標額を目前にして、丸ごと盗まれてしまうのです。

犯人に心当たりのあるセルマは、お金を取り戻そうとしますが、さらなる不幸に襲われていきます。

最初に「名作でした!!!」と書きましたが、「二度と観たくない」という人がいるのも納得の鬱映画であることも間違いありません。あまりにも救いのない不幸の連続は、観ているだけで辛くなってくるし、怒りや絶望といった感情が次々に湧き上がってくるので、鑑賞にはかなりのエネルギーが必要です。

ただ、セルマの「大好きなミュージカルの空想で、辛い現実を生き抜く」という姿にどこか共感し、そのミュージカルシーンの圧倒的な表現に感動し、そうやって、決して強くはない一人の女性が貫き通した愛を目の当たりにした時、やっぱり「これは名作だ」という結論になるのです。

ビョークが歌って踊るシーンについては、「表現とはこういうことだ!」なんて偉そうに語りたくなるほど、人の心に訴えかけるものがあり、同じ表現者としては何度でも見返していかなばならないと思います。一番好きなナンバーは列車の上で歌っていた「 I’ve seen it all」です。

ちなみに大変お恥ずかしながら、この映画を観るまでビョークという歌手を知りませんでした、、、。

なので、「ちょっと冴えない不器用な性格の女性」だったセルマが歌い始めた時は、人を惹きつけるパワーにとっても驚きました!さらに映画を観終わってからビョークのMVを検索してみて、あまりにセルマ役と印象が違い、また驚きました。(笑)

今まで思っていたミュージカル映画とはちょっと別物で、歌って踊りながらこんなにも生々しく感情を描く表現があるものなのかと、自分の中のミュージカルの概念が変わりました。明るい曲調でみんな楽しそうに踊っていても、それはセルマの心が求める空想の世界でしかなく、観ていて心が締め付けられるような気持ちになりました。

工場の機械音や足音など、日常に溢れる無数の音の中からリズムを見つけ出し、いつの間にか歌が始まっているので、ミュージカル特有の「急に歌いだしました」感があまりないのも、とても良かったです!

ビョーク演じるセルマの印象が強い映画ですが、親友キャシー役のカトリーヌ・ドヌーヴや、隣人であり大家でもあるビルを演じたデヴィッド・モースも素晴らしかったです。

特に親友のキャシーは本当にセルマの大切な理解者で、彼女がいなければセルマはここまで頑張ってこれなかっただろうと思います。

セルマを心配して怒ったりもするキャシーですが、やっぱり最後は見方でいてくれる姿は親友を通り越して母親のようでもあり、この暗ぁぁぁぁい映画の中で輝く存在でした!

私がドキュメンタリー風と感じた撮影方法は、ドグマ95という映画運動のルールによるもので、手持ちカメラでなければならなかったり、照明を使わなかったり、回想シーンの禁止、など、斬新なルールがいっぱいです。ドグマ95の作品は初めて見たけれど、私は嫌いじゃなかったです!ラース・フォン・トリアー監督はこの映画運動をはじめた一人であり、他にもこのルールにのっとった作品を作っているそうなので、それも観てみたくなりました!

さて、今回の映画メシは、セルマがお隣さんの家で食べていた、缶入りのキャンディです。このシーンで、故郷であるチェコの話を少しだけするのですが、セルマはどんなふうに育ち、ジーンは誰の子で、父親はどこにいて、など語られることの少ない彼女の過去が気になりました。

この後セルマは、もらったキャンディ缶に大切なお金を貯金していきます。

今回はとっても甘く、でもちょっとほろ苦いキャラメル風味のキャンディです。セルマにも食べさせてあげたいなぁ。

まずは材料を測って用意します。

まずはフライパンに砂糖と蜂蜜、牛乳をいれて、温めていきます。

砂糖がしっかりと溶けるようにゴムベラで丁寧に混ぜながら、沸騰させます。

生クリームとバターを投入して、さらに火にかけながら混ぜ混ぜ、、、。

少しとろみがついてきたら、さらに混ぜ混ぜ、、、。

色も少しづつ変わってきましたが、さらに混ぜ混ぜ。濃厚なチーズの様な、甘ーい香りがします。

ドロッとしてまとまりが出てきたら、クッキングシートの上に取り出し、冷まします。

ある程度冷めたら、切り分け(冷ましすぎて硬くなってしまったので、「叩き割った」が正解。笑)

ワックスペーパーと柄付きアルミホイルで包んだら完成です!

ではさっそくいただきます!

口に入れると一瞬で懐かしい気持ちに!

これは小さいころよく食べていたバタースカッチ味のキャンディ、「チェルシー」の味です!

本家チェルシーにはかないませんが、コクのある濃厚な甘さと、ほんのりとした苦みがとってもおいしいです!

紅茶のお供にも良さそうです。

一つ一つはちょっと不格好ですが、缶に入れるとカラフルでなかなか可愛くできました!

クッキーやチョコレートもですが、缶入りのお菓子って、宝石箱のようにキラキラ輝いて見えます。セルマの目にはどう映ったのかな?

ごちそうさまでした!

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今回取り上げた作品はコチラ!

【キャスト】
ビョーク、デヴィッド・モース、ピーター・ストーメア、カトリーヌ・ドヌーヴ

【スタッフ】
監督・脚本: ラース・フォン・トリアー
音楽:ビョーク

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瀬田ミナコ(Acstar所属)
1996年4月3日生まれ 東京都出身
出演作品:映画「ゆずりは」「不能犯」(2018)
映画「種まく旅人~華蓮のかがやき~」全国順次公開中!!
その他:共感シアターでMCやコメンテーターとして活躍中
Acstar:http://acstar.jp/talent/minako_seta.html
Twitter:@minako_seta

 

『瀬田ミナコのシネまんぷく』
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