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【海外ニュース】巨匠ポール・バーホーベンが放つ新たなる問題作『Benedetta(原題)』の最新ポスター・予告編解禁!

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

ポール・バーホーベン監督最新作『Benedetta』の最新ポスター・予告編が解禁となった。本作は実在の修道女ベネデッタ・カルリーニを主人公に据え、17世紀のイタリア、トスカーナ地方の修道院で起こった実話を基にしている。エロス&バイオレンスの帝王と呼ぶにふさわしいバーホーベンが、何と禁欲的そうな題材を?「丸くなったものだ」と思われただろうか? いや、現在83歳の巨匠はどうやら相変わらず元気なようだ。

ベネデッタは、幾度もキリストが登場するなどの様々なビジョンを見たという。さらに、彼女の体には聖痕(キリストが磔になった際の傷が信者の体にも現れる現象)も現れ、一時は神聖な人物とされて修道院長にまで上り詰める。十分興味深い人物ではあるが、きっと最もバーホーベンが興味を引かれたのは(そして我々が興味を引かれるのは)、彼女が若き修道女バルトロメアとの同性愛関係に溺れていたという点だろう。当時は欲望のままに生きることはもちろん許されておらず、同性愛などもっての外だった。そしてその後、ベネデッタは宗教裁判にかけられることになる。果たして彼女は聖女か、魔女か…。

修道院のスキャンダラスな面を描いた作品はそれほど珍しくない。クオリティはさておいて、しばしば人の下世話な好奇心にアピールする題材を用いて撮られる低予算映画を「エクスプロイテーション(搾取)映画」と呼ぶ。そのサブジャンルとして、修道女をテーマにした「ナンスプロイテーション(ナン(修道女)+エクスプロイテーション)映画」があり、日本でも鈴木則文監督の『聖獣学園』などが作られている。修道院のスキャンダルを扱ったものの中には真面目な映画も多く、ポーランド版『エクソシスト』とも言えそうな修道女の悪魔憑きを描いた『尼僧ヨアンナ』(17世紀の実話に基づく)や、ある施設での修道女による性的虐待事件を描いた『マグダレンの祈り』(約60年前の実話に基づく!)などがある。過度に禁欲的な状況はフラストレーションを加速させ、人の行動を歪ませるのだ。いかに聖なる存在とされる修道女であっても、人間には変わりない。バーホーベンは常に、権威へは懐疑的な視線を向け、主人公のキャラクターは力強く描いてきた。いつも(良い意味で)やりすぎなので怒る人が出てくるのだが、『Benedetta』もすでに「冒涜的」だとか言われている。だが、彼の作品にとって、それはもはや一種の褒め言葉でしかない。本作は今年の12月3日から米国で劇場公開となる。日本公開は未定、続報が待たれる。

新予告編 https://www.youtube.com/watch?v=DW5wOtLSfPs(グリーンバンドって感じで、ヤバめなシーンはありません)