【第33回東京国際映画祭】葛飾北斎の生涯を描いた『HOKUSAI』がついにお披露目!田中民「夢中で作った映画。いいかげんな感動はいらないです(笑)」
東京国際映画祭でついにお披露目!
『HOKUSAI』
舞台挨拶レポート!
本日11月9日、第33回東京国際映画祭のクロージング作品『HOKUSAI』の舞台挨拶が行われ、主演の柳楽優弥と田中泯、監督を務めた橋本一、企画・脚本の河原れんが舞台挨拶に登壇。コロナ禍の影響で延期を余儀なくなれていた本作だが、今回の映画祭でついに初のお披露目となった。
代表作「冨嶽三十六景」などでの作品で世界に名を轟かす浮世絵師・葛飾北斎の生涯を描いた本作。売れない絵師として葛藤の中で筆をとり続けた若き日の北斎を演じた柳楽は「時代劇でチャンバラとか殺陣ではなく、アーティストを演じることがとても魅力だと思いました。」、孤独にその腕を磨き続けた晩年の北斎を演じた田中は「本当に光栄な役でした。小さいころから北斎北斎に触れることの多い人生だったと思います。北斎を身をもって演じることができるのはこの上ない幸せな撮影の日々でした。」とそれぞれ挨拶した。
青年期の資料が少ない北斎を演じた柳楽は、どういうアプローチで役を作り上げていったのか聞かれると「僕は俳優で演じるという事を勉強していますが、北斎は絵を描く。やることは違うんですが、例えば同世代の写楽、歌麿とか、当時のスターが出てくる中で、悔しいとかうまくなりたいとかいうことは、あまり変わらないんじゃないかなと。北斎が波に感動する理由を撮影していく中で見つけたいなというのがテーマとしてありました。北斎は人生をあきらめるくらいの覚悟で(波を見に)行ったんじゃないかなと。それぐらい情熱をこめて、覚悟を決めて絵と向き合っていたんだなと思います。監督と相談して『それで行きましょう』と言ってくれたので、そういう意図で演じさせてもらいました。」と話した。また、北斎の波の表現が『鬼滅の刃』にも影響を与えていると聞いて、言葉に詰まるほど驚いていた柳楽に会場から笑いが起きる場面もあった。
北斎の画が現代に生きる人々の心を動かし続けていることについて田中は「ものすごく大きい時間的な開きがあるにも関わらず、世界中の人が北斎の画を見て何かを感じる。もちろん有名な人という一面もあるんでしょうけど、でも画を見た時にそういう要素は消えて、画そのものが向かってくるというのは、本当に羨ましいですよね。言葉がなくなるからすごい」と、北斎の描く画の力について語った。続けて、「北斎が喋ったであろう言葉を僕が喋らしていただく。その中でしばしば、「もっと良い世の中ねえのかな。なんでこんな世の中なんだろうな。」と口癖のように言っていますが、僕自身もそのとき同調して、震えるようにその言葉を喋っていた。そのことが本当に嬉しかったんです。僕も子どもの頃から「何で大人はああなんだろう」、この歳になっても『やっぱり大人のせいかな』と思ってしまうことがしばしばありました。北斎と似ているかもしれないですね。カッコイイなあ(笑)」と語ると場内は笑い声と拍手で包まれた。
最後に柳楽は「10代のころから日本映画に関わらせて頂いて成長させてもらえました。こういう時期ですが、日本映画の大ファンとして、日本映画で皆さんに元気を与えられるような俳優になりたいと思っています。その1発目が『HOKUSAI』です。楽しんでください!」と挨拶。田中は「日本の劇場で今日これから上映されるわけですが、いま世界では映画が観られていない状態です。本当に特別な時間を皆さんが体験なさるということだと思います。映画どころじゃないという人が世界中にいるわけですが、作る側も夢中で作った映画です。ぜひ正直に反応するようにして下さい。いいかげんな感動はいらないです(笑)」と笑顔で来場者にメッセージを送りイベントは終了した。
『HOKUSAI』
2021年5月公開決定!
公式サイト⇒こちら
(C)2020 HOKUSAI MOVIE
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