【特集】『#アリータ:バトル・エンジェル 』サイバーパンク予言の書(後篇) #アリータ降臨
『アリータ:バトル・エンジェル』サイバーパンク予言の書(後篇)
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ジェームズ・キャメロン最新作「アリータ:バトル・エンジェル」は人類の【明るくない未来】をとんでもない説得力で見せてくれる「予言の書」だ。
我々は時代の変わり目に、キャメロンの最強エンタメ脳が20年もかけて練り上げたサイバーパンク漫画を、自分たちの未来像として観ることになる。
その予言がどのようなものか?見どころとして、みてみたい。
予言1:世界は分断する
「アリータ」の未来は、持てる者と持たざる者に分断された世界。空を見上げると支配階級が暮らす空中都市ザレムがあり、そこから落ちてくるゴミの中で暮らす下層階級の街アイアンシティがある。つまり人々は隔絶しているのである。これは、貧富や地域格差など現代社会を投影しているようにも見えるし、宗教や思想による分断や対立を利用している現代の支配構造を見出すこともできる。
予言2:人と機械の境界線はなくなる。
アイアンシティに暮らす多くの人々が、機械化された身体をもっており、主人公アリータに至っては脳だけが生身のサイボーグ。そして彼女をゴミ捨て場から拾って300年の眠りから蘇生させたのはサイバネ医師のイド。現代医療にも通じるテーマ“医療サイバネティックス”の登場は医学を変え、命の価値を変える。そして重要なのは脳と脊髄なのであった。
予言3:人々は残酷に狂喜する
分断され支配された世界には人々のうっぷんを晴らす、究極のエンタテーメントが必要。アリータが映画のクライマックスで挑む、プロレスとF1を足したような競技「モーターボール」はまさに未来のグラディエーター。現代のeスポーツを観るような圧倒的スピード感と視覚的刺激に溢れた破壊的シーンの連続に人々は熱狂し、チャンピオンになればザレム行きが叶うという甘言に踊らされて出場し、散っていく多くの命など顧みる余地はないのだった。
予言4:あなたもサイボーグの少女に恋をする?
これは観た目の形や質感の問題ではない。もちろん「アバター」など近年の映画で観たこともないCG技術でクリ―チャーに人間の息遣いや感情を感じさせてきたWETAデジタルの造形は見事なものだが、今回キャメロンはどういうマジック(※1)を用いたのかわからないが、このアリータの人間性に惹かれるのだ。
この眼の大きい、明らかに人間ではない女の子が3Dで話したり、泣いたり怒ったりするのを見て、人間以上に人間的魅力を感じてしまうことを約束したい。
「人はサイボーグとも恋愛できるかもしれない」そう感じさせる映画だ。
※1キャメロンが脚本執筆時、映画の主人公アリータと同じ13歳の娘がいたそうで、その成長していく娘に対する気持ちが、この映画には溢れ出しているとみる向きもある。
(ちょっと気持ち悪い?いやいや自分の娘ですから・・宮崎駿なんかよりは。。)
『アリータ:バトル・エンジェル』2月22日(金)公開!!
配給:20世紀フォックス映画
監督:ロバート・ロドリゲス
製作:ジェームズ・キャメロン、ジョン・ランドー
原作:木城ゆきと
キャスト:ローサ・サラザール、クリストフ・ワルツ、ジェニファー・コネリー、マハーシャラ・アリ、キーアン・ジョンソン ほか
公式ホームページ:http://www.foxmovies-jp.com/alitabattleangel/
(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation
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