【#観るべき100本】潜航する魂「#サイモン・バーチ」 「僕はこの小さい体でしかなしえない役割を神さまから与えられてるんだ」12歳で98cm。難病に冒された少年の勇気と、命の尊厳を描く感動作 #ガープの世界 #ホテルニュー・ハンプシャー の #ジョン・アーヴィング 原作
潜航する魂『サイモン・バーチ』
高校生の時、へんな科学の先生がいて、頭ボサボサで、顔が赤くて、鼻声で、その鼻がやっぱり詰まっていて、鼻水らしきものが白衣についてるという、きったないおっさんでした。
当然、相当生徒にナメられていて、科学の時間はサボる奴も多く、黙ってトイレに行ったり平気でしてました。それでも、その先生は飄々と適当におもしろいと思われるギャグを飛ばしながら(苦笑系でしたが)授業を続けてました。
高校生の私は、この人はこういう人だと思ってました。
1年、2年、経ち3年目に入った時だったでしょうか、一度誰かが何か言ったのでしょう。突然彼は真面目な顔で何か言い始めたのです。
「理科なんてものは高校までで、ほとんどの人は終わっちゃう。もう一生学ぶことはない。でも君たちの身の回りにあるちょっとした現象のほとんどを合理的に説明できるのは理科だけだ。もう学ばないにせよ、そういう視点はずっと持っているべきだと思うからこそ、君たちに教えている。日本は思い込みと感情で戦争に走ったんだ。それだけは忘れるな。」
完全に怒ってしゃべってました。
皆、唖然としてました。気圧されてフリーズです。
(意味がわからない)
というのがクラス全体の雰囲気で、当の先生もしゃべり終わると、しばらくの沈黙の後
「はい、じゃ63ページ」
みたいな感じでまた元のように、むにゃむにゃ鼻声で話しはじめたのです。
その時、私は何かものすごく感動したんですよ。
何でしょう、ムニャムニャ、鼻水の水中の奥底から彼の魂を発見したというか、この人は自分の役割を理解してる、誇りを持っている。みたいなことだったんだと思います。それがあるから、その他のことはどうでもよくなった人なのかもしれません。
なんだか単純にいい人、いっつもニコニコしてるだめな人とまわり評価されている人間がいると彼のことを思い出します。そんな都合のいい人はいないのだと。。
私の唯一先生と呼べる人物の話でした。
「ガープの世界」や「ホテルニュー・ハンプシャー」のジョン・アーヴィングの原作で、「サイモン・バーチ」という映画ありましたよね。
私の中で、その科学の先生と同じところに位置づけられている映画です。
12歳で98cm。
モルキオ症候群という難病に冒され、生まれつき体が小さいサイモン。
傍から見たらかわいそうな障害を持ってる子どもくらいなもんで、彼自身、目立たないでいることを心がけていたのだと思います。
でも彼の心の奥底は違います。
「僕はこの小さい体でしか、なしえない役割を神さまから与えられてるんだ。」
自分という存在が、この世にあってよい理由みたいなものを彼はずっと一人で考えてきたのでしょう。彼を暖かく見守る隣人たちは全く気づきませんでしたが、その信仰だけが彼の尊厳だった。
役割はあったのです。大人も尻込みするようなやつが、、。
「そーだったのかー!サイモン君。」
実は見てるこっちも、そこまでとは知らなかった。潜行する魂に号泣し、気づいた時には終わってました。
もう、この話は、その一瞬ですね。
全てそこに向かって動いてる。
だから、クライマックスよそ見した人は泣けません。
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