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【『妖怪大戦争 ガーディアンズ』公開記念】②謎多き妖怪たちと、彼らにまつわる意外なトリビア特集!

前回:①世界の妖怪ハンター特集!

妖怪とは一体何なのだろうか。

誰しも、何かしら妖怪の名前や、彼らにまつわるストーリーを耳にしたことがあるだろう。確かにいそうと思えるようなもの、何のために存在しているのか分からないもの、モンスターに近いもの、概念に近いもの、様々な妖怪が現代に伝わっている。

今回は『妖怪大戦争 ガーディアンズ』公開を記念して、劇中に登場する妖怪と、登場はしないが興味深い妖怪を織り交ぜて7体ご紹介したい(不思議なものには7が付き物だ)。近年になって新たな設定が加えられている場合もあるが、面白ければ積極的に取り上げていくので、肩の力を抜いてお読みいただきたい!

ぬらりひょん
水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』の中でそう言及されたために「妖怪たちの総大将」として有名だが、他人の家に我が物顔で上がり込み勝手にくつろぎだす、老人のような風体のマイペースな妖怪としても知られている。その現場を目撃した人間たちに、ぬらりひょんこそがその家の主だと思い込ませるという謎の能力を持っており、彼のティータイムを邪魔することはできないらしい。

何とも掴みどころがない上に偉そうな妖怪だが、それで妖怪たちのボスを務めているのだから大したものだ。もしかしたら、安楽椅子探偵のように妖怪たちから様々な情報を受け取り、的確な指示を出して事態を解決に導く才能に長けているのかもしれない。まさに、「能ある鷹は爪を隠す」を体現したような妖怪だ。羨ましい。同名の、海坊主に類似した軟体動物のような妖怪の伝承も残っているが、そちらは捕まえようとしてくる人間をからかうだけの存在らしい。同じ名前でもここまで差がつくとは、どうやら妖怪の世界も楽ではないようだ。

佐脇嵩之『百怪図巻』より
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AC%E3%82%89%E3%82%8A%E3%81%B2%E3%82%87%E3%82%93

手の目(てのめ)
その名の通り、両目が顔ではなく両の手の平についている妖怪。言い伝えによっては、盲目の人物が賊などに殺されてしまい、相手の顔を見ないと死んでも死にきれないという恨みの念から生まれたとされている。可哀想な存在なので、もし見かけても無闇やたらに怖がらない方が良いのかもしれない。

ちなみに、メキシコの映画監督ギレルモ・デル・トロの『パンズ・ラビリンス』にはペイルマンと呼ばれる手の目そっくりのモンスターが現れるが、そっちは子どもを食べようとするので積極的に怖がって問題ない。

さらに、ポーランド出身のアンジェイ・ズラウスキー監督のSF映画『シルバー・グローブ』にも掌に目がある人物が登場する。そちらの目はただの絵だが……いずれにしても、手の目の活動範囲は日本だけでなく、世界を旅しながら巨匠たちに影響を与えているようだ。

もしやと思った方に忠告しておくが、やはりと言うべきか、ことわざ「壁に耳あり障子に目あり」は別に妖怪とは関係ない。

鳥山石燕『画図百鬼夜行』より「手の目」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%8B%E3%81%AE%E7%9B%AE

ろくろ首
首が伸びるタイプと、胴体から首が離れて飛び回るタイプがいる。前者は、男女の関係のもつれなどから命を落とした女性が化けたものである場合がある。そのタイプは、人を襲うというより相手の所に現れて恨み言を述べるようなので、日ごろの自身の行いに気をつけていればまず大丈夫だろう。飛び回るタイプはより複雑だ。首が抜けることは幽体離脱的な現象と紐づけて考えられることがあり、その場合はろくろ首に遭遇した人よりも、一時的にろくろ首化した本人が注意する必要がある。首のような形となって浮遊している魂を誰かに襲われれば死に至る可能性があるからだ。

一方、妖怪の方の飛び回るろくろ首は、人の血をすすると言われる。こちらの方は日本だけでなくアジア諸国に似たような話があり、中国の飛頭蛮(ひとうばん)は無害なのだが、マレーシアのペナンガランやタイのガスーと呼ばれる妖怪は基本的に女性で、首の下に臓物をぶら下げたおどろおどろしい姿で人間や動物の内臓を貪ると言われる。

インドネシアにも同様のレヤックという妖怪がおり、80年代のインドネシア産カルトホラー『首だけ女の恐怖』でもフィーチャーされている。ムエタイアクション映画『マッハ!』を手がけたプラッチャヤー・ピンゲーオ監督も近年、ガスーが登場する『ストレンジ・シスターズ』を撮っており、アジアではかなりポピュラーな妖怪と言えるだろう。

ちなみに、これらの妖怪はうら若い美女の姿である場合が多いようだ。だから何だという話だが。

葛飾北斎『北斎漫画』より「轆轤首」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%8D%E3%81%8F%E3%82%8D%E9%A6%96

枕返し
これぞ、その存在意義が分からない妖怪の筆頭だろう。夜に枕元にやってきて、枕をひっくり返すだけの妖怪とよく言われる。しかし、辞書を引けば分かるが、「枕返し」とは本来は枕の位置を変えることを意味する。

どこに変えるのか? 北の方角だ。つまり北枕、死者を寝かせる際の作法だ。伝承によっては、枕返しに枕を返されたことで寝ている人が死んだと伝えられている。枕という言葉の由来については諸説あるが、魂蔵/魂倉(たまくら、すなわち魂の入れ物)からきているという説がある。

寝ている間に魂がどこかに行ってしまわぬよう、保管するための道具というわけだ。このあたりは、ろくろ首の伝承と通ずるものがある。または、真座(まくら、神さまが座る場所)が語源とも言われている。ところで、修学旅行で恒例の行事に枕投げがあるが、枕返しよりも人間の方がよっぽどバチ当たりなことをしているのでは……?

竜斎閑人正澄画『狂歌百物語』より「枕返シ」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9E%95%E8%BF%94%E3%81%97

送り雀
夜間に山道を通る人に近づき、姿を見せずに鳴くだけの妖怪である。しかし意外にも、この妖怪は人間にとって非常に有益な存在なのだ。

炭鉱のカナリア」という言葉がある。炭鉱で有毒ガスが発生した場合、いつもさえずっているカナリアがすぐにそれを察知し泣き止むことから、危険を知らせる前兆のことを意味する。奇しくも、同じく鳥の名を冠すこの妖怪は、人間の後をつけてやって来る送り狼(または送り犬)という危険な妖怪の存在をその鳴き声で知らせてくれるのだ。そのまま無事に歩き続ければ、送り狼はその人を他の妖怪から守ってくれるが、もし送り狼の前で転んでしまうと食い殺されてしまうと言われている。

現代でも、親切なフリをして女性に付き添い、隙を見せれば襲いかかる男性を送り狼と言うが、それはこの妖怪に由来するという説がある。童話「赤ずきん」にも危険なキャラクターとして狼が出てくるが、狼に対して持たれるイメージは世界的に共通しているのかもしれない。

竜斎閑人正澄画『狂歌百物語』より「送り狼」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%81%E3%82%8A%E7%8A%AC

髪切り
突然現れては、人間の髪を気づかれぬように切り落としてしまう妖怪。人間の基準で言えば立派な傷害罪、暴行罪だが、その正体は狐や虫だったと言われている。

現代にもカミキリムシと呼ばれる昆虫が残っているが、それとは違う架空の虫だったとする説もある。そもそも、日本において髪型の自由が認められてきたのは明治時代、散髪脱刀令が出されてからだ。それにより、結い上げた髷(まげ)を切り落とし、西洋風の髪型にすることが許された。いわゆるざんぎり頭というやつだ。それでも、当時はまだ女性の短髪は認められなかったようだが……。妖怪髪切りの出現はそれ以前の江戸時代まで遡り、男女見境なく被害に遭ったと言われている。

侍が髷を落とすのはこの上ない恥とされたので、この怪異に遭遇することはある意味死ぬより恐ろしいことだったと思われる。迷惑極まりない妖怪で、現代に現れてもまだ江戸時代と比べてカバーのしようはあるのだが「髪は女の命」。己の早業を誇示するのは止めていただきたい。もちろん男性の髪に触れるのもだ。男性の髪は日々その短い命を減らしているのだから。

佐脇嵩之『百怪図巻』より「かみきり」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%AA%E5%88%87%E3%82%8A

そうはちぼん
火の怪異は世界的に見てもポピュラーなもので、鬼火人魂など数多くの伝承が残っている。

そうはちぼんも正体不明の火なのだが、他と一味違うのはその形だ。名前の由来となった、仏具として用いられる妙鉢(みょうはち)、鐃鈸(にょうはち)などと呼ばれるシンバルに似た和楽器にそっくりだと言われている。しかし、現代の一般人がその形を見て想起するのは……言うのが少しばかり憚られるが……UFOだ。それもアダムスキー型、いわゆる空飛ぶ円盤そのものなのだ。ご丁寧に、そうはちぼんによる神隠し伝説まで残っている。これはUFOによる誘拐、アブダクションとも取れる。

そして、江戸時代からこの妖怪に関する伝承が伝わる石川県羽咋(はくい)市は、UFOの町を謳っている。これまで挙げた妖怪には、日本にとどまらず世界の伝承と比較して考察したいものもあったが、何とここで地球すら飛び越えてしまった。

https://www.notohantou.net/archive/noto_only/cosmo.html (参考 のとねっと)
https://www.notohantou.net/ (のとねっとトップページ)

いかがだっただろうか。
妖怪は人類が誕生する前からいたのか、人間が存在するからいるのか、後から地球にやって来たのか……。

調べれば調べるほど謎は深まるばかりだが、一つだけ言えることがある。人間にとっては、何かしらの手段で知覚できない存在はいないも同然ということ。その手段は科学的に間違っているものでも構わない。ただの思い込みでもだ。人の目には、光を反射しないものは映らない。人の心に反射しないものは、人には感じることができないのだ。人々がその存在について考えなくなる時、彼らは本当にいなくなる。逆に言えば、忘れさえしなければ、彼らはそこに存在し続ける。この記事が、彼ら妖怪の存在証明となれば幸いだ。

 

【ストーリー】
太古の日本列島を分断していた大きな溝、フォッサマグナ。かつて海の底だったこの場所で、地中深く眠る古代の化石たちが1つに結集し、巨大な妖怪獣へと姿を変えて東京へと向かうのだった。人間からは妖怪獣の姿は見えず天災にしか見えない。人々が怯える中、日本の妖怪たちは、このまま妖怪獣が東京に向かえば、太古の結界を破壊し、世界が滅亡の危機を迎えてしまうと危惧する。東京への到達を阻止するため、妖怪たちは平安時代に実在した伝説の妖怪ハンター・渡辺綱(わたなべのつな)の血を受け継ぐ、埼玉県・所沢市の小学生・渡辺兄(わたなべけい)の存在を突き止め、妖怪の世界へと招き入れる。自分の血筋も知らない普通の気弱な小学生の兄は、突然現れた妖怪たちに驚きを隠せない中、妖怪たちから世界を救ってくれと頼まれる。果たして、世界を救う勇者に選ばれ、伝説の刀・鬼切丸を授けられた少年の運命は?そして妖怪たちの本当の狙いとは?人間、妖怪、世界のモンスター、そして“出しちゃいけないでっかいヤツ”も巻き込んだ、新時代の“妖怪大戦争”が始まる!

【キャスト】
寺田心 杉咲花 猪股怜生 安藤サクラ/ 神木隆之介
大倉孝二 三浦貴大 大島優子 赤楚衛二 SUMIRE
北村一輝 / 松嶋菜々子
岡村隆史 遠藤憲一 石橋蓮司 / 柄本明
大森南朋 / 大沢たかお

【スタッフ】
監督:三池崇史
製作総指揮:角川歴彦、荒俣宏
脚本:渡辺雄介
音楽:遠藤浩二
制作プロダクション:OLM
配給:東宝、KADOKAWA
(C)2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ

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