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第69回:『東京オリンピック』|瓶のコーラが美味しい!選手村の食事は予想外のハイカロリー!【瀬田ミナコのシネまんぷく】

共感シアターでもお馴染み、女優の瀬田ミナコによる連載コラム。毎回「映画」と「食」をテーマに、ゆるゆるとお届けします!

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■今回の映画:『東京オリンピック』(1964)

皆さんはオリンピックの公式記録映画というものをご存じですか?

今回2021年開催の「東京オリンピック2020記録映画」の監督は河瀨直美監督が勤めており、前回開催された1964年の東京オリンピックは市川崑監督が総監督を務め製作されました。以前、シネまんぷくでも映像の美しさに魅了され、市川崑監督の映画「細雪」について書いております。⇒こちら

そんな市川崑監督が映像として収めたオリンピックは一体どんなものだったのか気になり、今回は1965年に公開された記録映画『東京オリンピック』を選びました!軽い気持ちで見始めたのですが、終始驚きっぱなしの凄い映画でした。

まずは当時の盛り上がり方に驚きました。戦後20年足らずとは思えないほど平和で、他の国の人との交流も増え、国民みんながこのオリンピックをすごく楽しみにしていたことが伝わってきて、解説やナレーションの声にも単なる実況ではない、国民の思いを代弁するかのような熱量がありました。

現代の東京オリンピックが決まった2013年、私はオリンピックを東京で開催するということが日本にとってどんなに大きなことなのか分かっていませんでした。しかしこの映画を観て、オリンピックが単なる「世界最大のスポーツ大会」以上の意味を持つ一大イベントだということを初めて理解したような気がします。

そして何より驚いたのが、映画の芸術性の高さです!記録映画という名前から坦々としたものを想像しましたが、そんなことはなく、凝った演出が詰め込まれ、どのシーンもおもしろく、感極まって涙腺が緩むような場面すらありました。スポーツのテレビ中継は何度も観ていますが同じ事実を映すにも、どこを撮るか、どんな風に撮影するか、どう編集するか、どんな雰囲気の音楽をつけるかで、ここまで印象が変わるのかと本当に驚きました。

例えば射的では、弾がどこに当たったかという結果よりも選手の鋭い目つきをとらえていましたし、自転車競技ではあえて民家の庭先から撮影して、家の横を自転車の大集団が猛スピードで走り抜けるという非日常を映像に収めていました。

勝敗や、数字を的確に伝える中継とは違い、選手たちの緊張感や当時の空気感、競技によって異なる見どころが本当に良く伝わってくるのです。

スローモーションの使い方や音の入り方などの演出も素晴らしく、市川崑監督の凄さを見せつけられました!凄すぎる。。。

そんな巧みな演出によって、一つ一つの競技にかける時間は短いのに感動してしまうシーンが沢山ありました。特に名前も知らず、応援しているわけでもない選手の事なのに不思議です。

競歩のシーンでは競技中の選手のお尻のアップが映し出され、さらにはコミカルな音楽がつけられていたのでちょっと笑ってしまいました。しかしその良く動くお尻のアップのおかげで、楽しく観つつも、競歩という一見歩くだけの競技の運動量の多さがよく分かったので、ちゃんと意味のある演出だったんだなぁと思います。

これらのユニークでこだわりの詰まった演出は、記録映画としては良いのか悪いのか分かりません。そもそもこの映画には脚本があり(脚本を務めたのは谷川俊太郎を含む錚々たるメンバー)、果たして1964年の東京オリンピックをどこまで正しく映しているのかは謎ですが、私は映画としてとっても好きでした。

さてこの映画、当たり前ですが「ゴールの瞬間、違うアングルからも撮りたいからからもう一回!」なんて撮影はできません。なのにどうやってこんなに演出ができたのかというと、なんと103台ものカメラと556人のスタッフで作ったのだそうです。エンドロールを見て撮影した人の多さにびっくりしました。空撮カットも入っていて、ドローンなんて存在しない時代に本当によく撮影したなと思います。

そんな驚きっぱなしの映画「東京オリンピック」の映画メシは、映像にも納められていた選手村の食事です!

実はこの食堂のシーンも結構驚きました。というのも、かなりのハイカロリーご飯だったからなんです。アスリートは食事管理も厳しくしているイメージがあったので、パスタやハンバーグ、フライドポテトなどを山盛りにお皿に盛っているのは意外でした。(少し調べたところアスリートたちが必要とするカロリーは一般人よりもだいぶ多いのだとか。そう考えるとメニューにも量にも納得です)しかも、ビュッフェ形式の食堂にはかなりの種類、しかも洋食の料理が準備されており、戦後20年弱のこの時代に、ここまで沢山の材料やレシピを用意できた事にも驚きました。

選手村食堂の料理長を務めたのは帝国ホテルの料理長も務めた村上信夫さんでした!一流シェフの料理でアスリートたちをもてなす、日本の気合の入りようが伺えます。

それでは印象的だったメニューを作っていきます。

まずはパスタ!映像を観る限り、色もついていなければ具も入っていないシンプルペペロンチーノ!

にんにくと唐辛子を刻み、フライパンでオリーブオイルと一緒に熱し香りを出します。

パスタのゆで汁を少々お皿に取りコンソメを溶かしたら、フライパンに入れて熱しながらオリーブオイルと混ぜて乳化させます。

茹でておいたフェットチーネを絡めて塩コショウ、パセリで味を調えれば完成です!

お次はフライドポテト!こちらは冷凍のポテトを揚げるだけ。当時、選手村の食事を支えるために冷凍食品の技術も進歩を遂げたようです。

野菜も用意します。

ニンジンは乱切りにしてレンジで蒸していきます。

そして、メインはステーキ!!

お肉に包丁を入れて筋を切り、全体的にフォークを刺しておきます。塩コショウしたらオリーブオイルで焼いていきます。とっても良い香りです!

全部お皿に盛り付けたら完成です!

そして忘れてはいけない、コカ・コーラ!!

映像にも意図的にコーラが映し出され、皆とっても美味しそうに飲んでいました。瓶コーラってのがまた良いですね!

ワンプレートに盛り付けましたが、食べてみると、やはりかなりのボリュームでした!

アスリートたちがいかによく食べていたか分かります。

今でこそ食材をそろえるのも難しくありませんでしたが、当時の冷蔵、冷凍技術、外国の食材の流通などを考えると、これだけの食事を用意するのは本当に大変だったと思います。

オリンピックというものは、本当に国を挙げた一大イベントだったんだということがよく分かります。

今回興味本位で観た映画ですが、なんだかとっても勉強になりました。

お腹も頭も「まんぷく」です!ごちそうさまでした!

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今回取り上げた作品はコチラ!

監督:市川崑、渋谷昶子(バレーボール)、安岡章太郎(体操)、細江英公
脚本:市川崑、和田夏十、白坂依志夫、谷川俊太郎
配給:東宝

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瀬田ミナコ(Acstar所属)
1996年4月3日生まれ 東京都出身
出演作品:映画「ゆずりは」「不能犯」(2018)
映画「種まく旅人~華蓮のかがやき~」全国順次公開中!!
その他:共感シアターでMCやコメンテーターとして活躍中
Acstar:http://acstar.jp/talent/minako_seta.html
Twitter:@minako_seta

 

『瀬田ミナコのシネまんぷく』これまでの連載記事はこちらから!
https://moviemarbie.com/special/cinemanpuku_index/

 

※瀬田ミナコが出演中の共感シアターのアーカイブ動画はこちら!