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第51回:『秒速5センチメートル』|忘れられない初恋の味はあの子の手作り弁当!【瀬田ミナコのシネまんぷく】

共感シアター「KIQ STATION」のキャスターとしてもお馴染み、女優の瀬田ミナコによる連載コラム。毎回「映画」と「食」をテーマに、ゆるゆるとお届けします!

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■今回の映画:『秒速5センチメートル』(2007

東京も桜が咲き、温かい日も増え、お花見日和な日が多くなってきました!が、今年もみんなでワイワイお花見するのは難しそうですね。だったら映画で桜を楽しもうじゃないか!ということで今回の映画は桜の印象的な映画にしたいと思います!

今回私が選んだのは、新海誠監督のアニメーション作品『秒速5センチメートル』です。桜が散って地面に落ちるまでの速さが秒速5センチメートルだそうで、作中でその言葉を聞いてからは、舞い散る桜を見るたびにこの映画を思い出します。

新海監督が「君の名は。」で2016年に大ヒットするかなり前、2007年の作品です。(私は新海監督の作品の中ではこれが一番好きだったりします。)

第一話「桜花抄」、第二話「コスモナウト」、第三話「秒速5センチメートル」の三つの短編から構成されていて、すべての短編に登場するのが、主人公である遠野貴樹です。「桜花抄」では貴樹の小中学生時代の初恋を、「コスモナウト」では高校生の貴樹に思いを寄せる少女を、「秒速5センチメートル」では社会人になった貴樹の挫折を描いています。そして時間と共に変化していく貴樹の初恋の、始まりから終わりまでを描いた作品です。

最初に観たのは高校生の頃でしたが、正直とても暗い気持ちになりました。初恋をいつまでも引きずり、孤独にしか生きられない青春時代を見せられ、女の子の方はしっかり前に進んで別の人と結婚しようとしており、「なんて救いのない映画なんだろう!」と思いました。

が、もう少し大人になって再度この映画を観た時に「あれ?これハッピーエンドじゃないか!」と驚きました。(あくまで私個人の解釈です)

第三話に登場する大人になった貴樹は、恋人も仕事も失ったタイミングで、初恋相手の明里とすれ違います。振り返った先で、彼女も自分と同じ気持ちで振り返っているはず、、、!と、期待する貴樹ですが、彼女は振り返ることなく行ってしまいました。自分が忘れることのできなかった十数年間、彼女はそうではなかったことを知るという切ないシーンですが、そこで彼はようやく初恋を終わらせることができました。彼にとって大切な思い出になり、次に進めるようになったのだと思います。このラストを悪いものではないととらえるようになってから、ここまで見てきたシーンの一つ一つがとても良いものに感じられ、観ていて苦しい思いだったシーンもとても愛おしくなりました。

私自身も時を置いて再度映画を観ることで、この物語を当事者ではなく、過去の美しい思い出を見る感覚で楽しめるようになったのかもしれません。

二話では貴樹に思いを寄せる同級生、三話では三年間付き合った女性が登場しますが、貴樹は初恋を忘れられず、心から次の女性たちへ目を向けることができません。そのくせとても優しい性格なので、女性からするとなかなか残酷な男です。好きな人の目に自分が写っていない寂しさがひしひしと伝わってきて、この二人の女性には同情してしまいます。がしかし!正直私は何故この主人公がモテるのか分かりません!高校生なのに常に落ち着いていて可愛くないし、お年寄りのようです。(笑)大人になってからも人間味がなくて怖いです、、。周りの人に興味がなさそうな雰囲気で、その絶妙な心の壁が表現されているのは、新海誠監督も声優さんも本当にすごいと思います!

彼の唯一人間味のあるシーンといえば、初恋相手が関係するシーンだけ。本当に彼女を大切に思っていたんだなぁと考えると、あまり好きになれない主人公なのに、幸せになってほしい気持ちが大きいです。

新海誠監督の作品で語らずにいられないのが、風景の描写がとてもリアルで美しい事です!秒速5センチメートルも例外ではなく、初めて作品を観た時、電車を見て本当に絵?実写じゃないの?と思った記憶があります。空や桜などの自然も本当に綺麗ですが、特に心に刺さったのは学校の校舎です。勉強机に照り返す夕日や、自分以外誰もいない静かな教室、古い本の香りがしてきそうな図書室など、見覚えのある美しい風景が沢山出てきます。戻りたいけどもう戻れない、懐かしくて愛おしい時間が描かれていてとても良かったです。「君の名は。」やこのコラムでも以前題材にした「天気の子」はRADWIMPSの曲に合わせて疾走感のある作風だったのに対し、今作は静かで繊細な作風なので、同じような美しい絵でも受ける印象がかなり違いました。

そして、主題歌になっている山崎まさよしさんの「One more time, One more chance」という曲が、この映画のために書き下ろされたのでは!?と思うほど映画にぴったりで素晴らしいです。(1997年に発売された曲なので、今作のための書下ろしではありません)全体を通して坦々と描かれている今作ですが、ラストでこの曲と共にタイトルが映し出された時の、感情が一気にあふれ出てくる感覚は鳥肌ものです!

この映画を観た後は、しばらく曲が頭から離れないので、歌いながら余韻に浸ろうと思います。。。

さて、今回作るのは、第一話に登場する明里のお手製弁当!

中学生の貴樹は一人で東京から栃木の明里の元へ向かいますが、雪で電車が大幅に遅れ、待ち合わせを何時間も過ぎてしまいます。何とかたどり着いた先では、待ち続けていた明里が温かいお茶とお弁当をふるまってくれます。貴樹は「今まで食べたものの中で一番美味しい」と言い、明里に「お腹が減っていたからじゃない?」と返されます。が、きっとお腹が減っていなくても同じ感想だったでしょう。好きな人の心がこもったお弁当、いいですね!!

今回は登場するお弁当をベースに、桜のイメージを足して作ってみます!

まずはおにぎり!

桜の塩漬けを使って炊き込みご飯にしていきます。

塩漬けを水で戻したら花を分けておき、茎をみじん切りにします。

 

洗ったお米に、桜の茎、塩漬けを戻すのに使ったお水、たたいた梅干しを加えて炊飯スタート!

炊いている間におかずを作ります。

卵焼きを焼いて(なんとなく明里の卵焼きは甘そうなので甘めの味付けで!)

タコさんウィンナーを焼いて、

作り置きの冷凍ハンバーグを焼き、ブロッコリーを茹でます。

飾りのハムは桜の形のクッキー型で切り抜きます。

お弁当箱に詰めるときに一工夫。

ブロッコリーに桜フレークをかけて、ちょっと春らしくしてみました!桜の木みたい!?

そうこうしているうちに桜ご飯が炊けました!

蓋を開けると、炊き立てご飯の美味しい香りの中に、ふわんと桜の香りが加わって、すごく春を感じます!

とっておいた桜の花びらを混ぜ込み、握っていきます。

俵型に握ったら、塩漬けの桜と、飾りのハムを乗せて完成です!

お茶はもちろん、ほうじ茶で!!

おにぎりが想像以上に美味しいです!梅干しを入れているのでちょっとだけ酸味があり、桜の香りが優しく口に広がってお花見にぴったりな味です。

最後に混ぜ込んだ花弁の塩気もアクセントになっています。

桜餅の葉っぱの部分があまり好きではないので、これは苦手かもしれない、と思っていましたが全然平気でした!

桜フレークのブロッコリーは、ノーコメントで。(笑)ゴマダレがいけなかったのかもしれない。

秒速5センチメートルで舞い落ちる桜の花びらに思いをはせながらいただきました!

ごちそうさまです!

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今回取り上げた作品はコチラ!

監督:新海誠

出演:花村怜美, 近藤好美, 尾上綾華, 水橋研二

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瀬田ミナコ(Acstar所属)
1996年4月3日生まれ 東京都出身
出演作品:映画「ゆずりは」「不能犯」(2018)
映画「種まく旅人~華蓮のかがやき~ 2021年 春より全国順次公開
その他:共感シアター「KIQ STATION」でキャスターとしても活躍中
Acstar:http://acstar.jp/talent/minako_seta.html
Twitter:@minako_seta

 

『瀬田ミナコのシネまんぷく』これまでの連載記事はこちらから!
https://moviemarbie.com/special/cinemanpuku_index/

 

※瀬田ミナコが出演中の「KIQ STATION」アーカイブ動画はこちら!