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第25回:『あん』|日常の風景がとても愛おしく思える作品。やさしさの詰まったどら焼きがおいしそう!【瀬田ミナコのシネまんぷく】

共感シアター「KIQ STATION」のキャスターとしてもお馴染み、女優の瀬田ミナコによる連載コラム。毎回「映画」と「食」をテーマに、ゆるゆるとお届けします!

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■今回の映画:『あん』(2015)

河瀨直美監督の2015年の映画です。母から「樹木希林さんとあんこ作りが印象的な優しい映画だよ!」とおすすめされ、鑑賞しました。

静かで美しい映画でした!

小さなどら焼き屋「どら春」の雇われ店長千太郎は、過去に、他人に後遺症の残る大けがをさせてしまい服役経験のある男性です。その時慰謝料を肩代わりしてくれた人がオーナーを務めるどら春で、お金を返すために、毎日淡々とどら焼きを焼いて暮らしています。常連のお客さんは学校帰りの中学生たちです。その中の一人、ワカナという少女は、難しい家庭環境に暮らしていて、いつも千太郎から出来損ないのどら焼きを大量にもらって家でたべる、そんな少女です。

ある日どら春に、アルバイトとして雇ってほしいというおばあさんが現れます。徳江と名乗ったその人は自給300円でも良いから働きたいと言いますが、お年寄りであることから千太郎は一度は断ってしまいます。しかし、徳江さんの作った粒あんを口にし、あまりのおいしさに餡担当ということで雇うことになるのです。

徳江さんの餡のおかげでどら春は大繁盛し、行列のできるお店になります。やがて接客販売のほうも徳江さんに手伝ってもらうことになるのですが、ある噂が原因で客足が遠のいてしまいます。その噂とは徳江さんがハンセン病患者であるというものです。

オーナーからも徳江さんを辞めさせるように言われ悩み苦しむ千太郎ですが、結局は徳江さんには辞めてもらうことになります。そして千太郎はワカナと二人で、徳江さんが暮らすハンセン病患者の療養施設を訪ねることになるのです。ハンセン病患者への偏見の残る社会の中で生きる徳江さんの姿と、徳江さんに出会って変わっていく千太郎とワカナの姿を描いた作品です。

私はこの映画を観るまでハンセン病という病気を知りませんでした。重症化した際のショッキングな症状にも驚きましたが、それよりも「らい予防法」に基づき患者たちが社会から強制的に隔離されて暮らしていたという事実に驚きました。しかもらい予防法は1996年まで適用されていたということで、決して昔のことではないなと思いました。

廃止されたのは1996年4月1日ですが、実は私の誕生日はその2日後、1996年4月3日なんです。自分が生まれてから暮らしてきたこの日本という国は、基本的に平和で、人権も守らているほうだと勝手に思っていたので、まさか自分が生まれるたったの二日前まで、そんな生活を強いられてきた人が沢山いるとは思わず、その事実に悲しくなりました。

徳江さんの語るエピソードは衝撃的でした。生涯療養所から出ることができない法、入る前に持っていたものはすべて取り上げられた、身籠ったにも関わらず生むことが許されない、亡くなった仲間のお墓を立てることもできない、など本当に絶望的な話でした。また、らい予防法の廃止されたからと言って患者さんたちが隔離されて過ごした時間は戻ってこないし、映画の中でもあったように、偏見はすぐにはなくならず、今も残っていること思うとまだ苦しみは終わっていないんだということを強く感じました。

今は新型コロナウイルスという感染症をめぐり、あらゆる国と地域で対策がなされていますが、強制力のあるものないもの様々です。個人の考え方にしても、まったく気にしない人もいれば、ものすごく警戒している人もいます。考え方は人それぞれですが、感染してない人も感染した人も同じ人間で、人権が守られるべきだということだけは忘れないようにしようと思いました。

ハンセン病を扱った、決して軽いお話ではない映画ですが、重くて暗い映画ではありません!日常の風景や音を本当に美しく表現している、温かい映画でした。徳江さんは「私たちはこの世を見るために、聞くために生まれてきた。」といいます。そんな徳江さんの目を通してみているかのように、ありふれた日常も愛おしく思えるようなシーンが沢山ありました。徳江さんを演じているのは樹木希林さんで、他の人では演じられないだろうな、と思うほどにぴったりでした。最初はマイペースで可愛いおばあちゃんだなぁと思ってみてるんですが、途中から人間性にとても強く惹かれました。深い悲しみを秘めながらも、静かな毎日の中に、生きる意味を見出し、穏やかで優しくて、素敵な人です。しかし、セリフや表情の端々から失ってしまった時間への未練も感じ取れ、そのうえで千太郎やワカナを見る温かいまなざしにジーンときます。後半はもう徳江さんが何かしゃべるだけで泣きそうになりながら見ていました。

そして何といってもこの映画で印象的なのが粒あんづくりのシーンです。朝早くから餡の仕込みを始めるのですが、音がすごく良いです。狭くて薄暗いお店の中に、豆同士のあたる音や、煮える音、木べらがなべ底をこする音など、まどろみながら聞きたいような音が静かに響きます。オロオロする千太郎とマイペースな徳江さんのやり取りも面白いです。

調理過程でとにかく、待つ、見守る、が多くて、あんこって大人なお菓子だなぁと思いました。子供やせっかちさんはじれったくなって待ってられなさそうです。

ちなみにこの後あんこを作りますが、私はせっかちなので待てませんでした(笑
じっと豆の声に耳を澄ませる、、徳江さんの「ものの声を聴く」という生き方だからこそ美味しい餡を作ることができるんですね。

どら焼きというのもこの映画の雰囲気にぴったりのお菓子でした。華やかな洋菓子とは違い、見た目は地味だけれどもあんこの優しい甘さに、ふわふわしっとりした生地で形も丸くて、なんだか「飾らないやさしさ」でできているようなお菓子だなぁと映画を観て思いました。

永瀬正敏さん演じる店長の千太郎は、無口で不愛想な男なのですが、とても優しくて真面目な人です。喧嘩の仲裁から暴力をふるう側に回ってしまい、相手に重い後遺症を負わせてしまった過去を心から悔やんでおり、重い責任を背負って生きています。またその時助けてくれたオーナーには頭が上がらず、無茶な要求を断れなかったりします。

そんな千太郎はラストシーンでは、オーナーと話をつけたのか移動販売でどら焼きを売っていて、その明るい表情が印象的でした。

過去や恩に縛られ、自分は自由に楽しく生きてはいけないと言わんばかりの表情だった彼が、徳江さんと過ごして少しづつ変わっていけたんだと思います。

さて今回はどら焼きを作っていきます!千太郎が徳江さんを雇うきっかけとなった粒あんから作りたいと思います!

映画のように時間をかけて、豆の声を聴いて、、と行きたいところですが横で教えてくれる徳江さんもいないし、あんこ初挑戦なので、小豆の袋に書いてあった作り方で挑戦していきます!

まずは小豆を洗って、鍋に入れ一度沸騰させます。

沸騰したら灰汁を捨てるために一度お湯を捨て、再度ゆでていきます。

さし水をしながら一時間ほどコトコト煮つめたら、ふたをして少し蒸らします。

砂糖を少しずつ加え、火にかけながら練っていきます。

焦げないように、でもつぶあんの粒がなくならないように混ぜて、ちょうどいい固さになったら粒あんの完成です!

どら焼きの生地は、卵、砂糖、はちみつ、みりん、重曹、薄力粉を混ぜて準備しておきます。

ホットプレートで丸い生地を焼き、つぶ餡を挟んで完成です!

作ってみて実感しましたが、あんこってすごい繊細です。煮て砂糖を加えるだけですが、だからこそ難しい!!思ってたより少し固めの練りあがりになってしまいました。ほんの一瞬のタイミングを逃さないためには、経験と豆をよく見るというのが大事なんだと分かりました!

ちょっと固めのあんこですが、フワフワしっとりの生地に挟めばそれはまごうことなきどら焼き!!とってもおいしくできました^^

『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』の瀬田ミナコ的評価は、、、

星3.6!!!

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今回取り上げた作品はコチラ!

【キャスト】
樹木希林、永瀬正敏、内田伽羅、市原悦子、浅田美代子、水野美紀、太賀、兼松若人

【スタッフ】
監督・脚本・編集:河瀬直美

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瀬田ミナコ(Acstar所属)
1996年4月3日生まれ 東京都出身
出演作品:映画「ゆずりは」「不能犯」(2018)
今後の公開予定作品:映画「種まく旅人〜華蓮(ハス)のかがやき〜」
その他:共感シアター「KIQ STATION」でキャスターとしても活躍中
Acstar:http://acstar.jp/talent/minako_seta.html
Twitter:@minako_seta

 

『瀬田ミナコのシネまんぷく』これまでの連載記事はこちらから!
http://moviemarbie.com/special/cinemanpuku_index/

 

※瀬田ミナコが出演中の「KIQ STATION」アーカイブ動画はこちら!