名探偵リーアム登場!#誘拐の掟

◆今週のおすすめ『誘拐の掟』
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名探偵リーアム登場!

リーアム・ニーソン。数年前までは「シンドラーのリスト」や「マイケル・コリンズ」に代表されるような名作に出る名優だった彼も、近年は「96時間」シリーズをはじめとしたアクション映画で、ひらすら最強のリーアム父さんのイメージが強い。
今度のリーアムは私立探偵だそうで、そりゃ無敵のお父さんとなれば、往年のシャーロック・ホームズや金田一耕助というよりは往年のサム・スペードやマーロウのような屈強なハードボイルド探偵を想像するのだが、これがちょっと違う。リーアム演じる探偵マット・スカダーはいきなり、断酒会(アメリカによくある禁酒サークル)で過去の飲酒告白をはじめたりして、心に大きな傷のあるショボくれた禁酒療養中のおっさんなのである。だが、そんな彼に重大な誘拐事件の依頼が舞い込む。誘拐犯は美女ばかりを次々に誘拐し、莫大な身代金を要求し、本人とその家族をもてあそんだ末に殺す。決して人質が帰ってくることはない。この身代金目的ではない猟奇殺人鬼が誘拐犯というのがこの話のミソである。そして、こんなしょぼくれたおっさんが、そんな悪魔のような犯人に立ち向かえるのか?と実に心配なことではあるが、意外やふんばるのが、リーアム探偵。彼は地道な方法で犯人を追いつめ、いよいよというところで表舞台にうって出る。実は。彼は元々NYPDの凄腕刑事だったのだ。
今、14歳の美少女ルシアが誘拐され、犯人との人質交渉をかって出た探偵スカダー。
「人質が無事でなければ、決してお前が金を手にすることはない!」
危険を知りながらあえて強気に出る探偵。相手を翻弄するのが好きな犯人は、大切な誘拐殺人の前戯を邪魔する新たな交渉相手の登場に面食らいながらも、狡猾さでは負けてない。もともとシリアルキラーというのはIQが130以上がほとんどだそうで、頭はめちゃくちゃいいのである。この探偵×犯人の交渉が実におもしろい。作家の堂場舜一氏が「もっと観ていたかった」といった部分である。
実はこの物語は、14歳の美少女ルシアが誘拐されたところから、ちょっとリズムが変わる。それまで探偵スカダーは人質を殺された依頼人に対する同情や、元刑事としての正義感で動いているが、ルシアの誘拐以降、全く違う動機が彼を動かす。それは、彼が心に抱えた闇の根源、アルコールまみれにならなければ生きていけなかった元凶、刑事時代に犯した罪の購いではなかったのか?犯人を追いつめ、徐々に猟奇殺人鬼の実体がわかるという事件モノであるとともに、主人公の探偵の心の闇が徐々に明らかになっていき、その二つが交錯しながらラストへなだれ込むという見事なミステリーがこの「誘拐の掟」である。リーアム・ニーソンはブライアン・ミルズに続く新たな定番キャラクターを手に入れた。

スタッフ
監督スコット・フランク
製作ダニー・デビート

キャスト
リーアム・ニーソン
ダン・スティーブンス
デビッド・ハーバーレイ
ボイド・ホルブルック
ブライアン・“アストロ”・ブラッドリー

5月30日公開
公式HP www.yukai-movie.com

(配給:ポニーキャニオン)

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