【#レディースデイ 何観る? 】ファントム・スレッド ダニエル・デイ=ルイス引退作。完璧なドレス職人・レイノルズが女を愛した。ただし、その美しく理想的な体だけを。しかし、女は男の全てを手に入れようとした。どんなに手段を使ってでも… ポール・トーマス・アンダーソン監督最新作

◆レディースデイ 何観る?「ファントム・スレッド」

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【ダニエル・デイ=ルイス引退作品】
数々の偉業を打ち立てきた俳優と聞かれれば、必ず誰かはこういうだろう。「ダニエル・デイ=ルイス」と。1954年生まれの彼はもう61歳。イギリス出身のこの俳優はなんと世界で唯一アカデミー賞主演男優賞を受賞している人間だ。取り憑かれたような演技力、画面に映し出された時の圧倒的な存在感は見る人の脳の中に焼きつく。しかし、悲しいことに本作が引退作であるようだ。ファンとしては、もっと彼の演技を眺めていたかったものだ。

本作の主人公であるレイノルズ・ウッドコックは上流階級が顧客の専門の1950年代のオートクチュールのファッションデザイナーである。とにかく完璧主義で妥協を許さず、他人にリズムを乱されるのが非常に嫌いである。全て自分が思った通りに仕事を完璧に仕上げる頑固者。

最高の自分が求めるモデル体型の女性に会えば子供のようにはにかみ、彼女を強烈に口説きながらも、朝食で彼女の田舎者デーブルマナーにイラっとした表情を浮かべる。主導権が全てこの男にある時、徐々にそのペースが狂わされていく演技力が見事だ!

ダニエル・デイ=ルイスといえば“メソッドアクター”として知られている。実生活でも役になりきり、高い演技力で賞賛を受ける。実は、それゆえファッションデザイナーを演じた彼はその道に開眼し、ファッションデザイナーを目指すようである。90年代にも実は靴職人を目指し、スコセッシ監督の『ギャング・オブ・ニューヨーク』への出演オファーを受けて、ようやく俳優業に復帰したということもあった。また俳優業へ戻ることを期待しつつも、今回も見逃さずに彼の圧倒的な演技に酔いしれていただきたい。

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【禁断の愛の扉】
とにかく自分のリズムで、自分が好きなものを丁寧に、一切の妥協なく作るレイノルズ。そんな彼の目の前に現れた田舎のウエイトレス。彼は、そんな彼女に一瞬で惚れてしまった。顔ではなく、その最高の体に。もちろんセクシー体系という訳ではなく、彼のドレスにもっとも似合っているという意味でである。そんな彼女に惚れたことから彼の人生は次第に狂っていく。

彼女のいない元の生活に戻りたい一方で、彼女がいなくてはどうしようもなくなっていくレイノルズ。彼女が仕掛けた巧妙な蟻地獄にまんまと引っかかっていく…「レイノルズは私の夢を叶えてくれた。私も彼が最も望むものを与えた」という言葉通りである。

是非、この「禁断の門」とはなにか?それによってもたらされた破壊と始まりを是非堪能いただきたい。

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【ポール・トーマス・アンダーソン】
世界三大映画祭の全てで監督賞を受賞しているPTA。何歳かと思えば、まだまだ47歳という若さである。『ブギーナイツ』(97)で批評と興行の両面で成功を収め、一躍人気監督の仲間入りを果たし、『マグノリア』(99)でベルリン国際映画祭金熊賞(グランプリ)、『パンチドランク・ラブ』(02)でカンヌ国際映画祭監督賞、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(07)でベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)、フィリップ・シーモア・ホフマンやホアキン・フェニックスを主演に迎えた『ザ・マスター』ではヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞した。本作では撮影監督をつとめている。監督の演出力、それを十二分に案じるダニエル・デイ=ルイス。この名コンビがもはや見れないことは嘆かわしいと見終わったあと誰しもが思うのではないだろうか。そして、美しい音楽にも注目していただきたい。

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【ストーリー】
950年代のロンドンで活躍するオートクチュールの仕立て屋レイノルズ・ウッドコックは、英国ファッション界の中心的存在として社交界から脚光を浴びていた。ウェイトレスのアルマとの運命的な出会いを果たしたレイノルズは、アルマをミューズとしてファッションの世界へと迎え入れる。しかし、アルマの存在がレイノルズの整然とした完璧な日常が変化をもたらしていく…

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配給:ビターズエンド、パルコ

公式HP:http://www.phantomthread.jp

公開情報:全国公開中

 

 

 

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