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【レディースデイ何観る?】『存在のない子供たち』戸籍上存在せず、労働を強いられる子供たち。限りなくドキュメンタリーに近い、心揺さぶられるフィクション

◆公開中の注目作 『存在のない子供たち 

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中東の貧民窟で生まれた子供、ゼインは、出生届が出されなかったために法的には存在しておらず、過酷な労働を強いられている。大切な妹は強制的に結婚させられてしまい、耐えられなくなったゼインは家を飛び出していく。

長編デビュー作「キャラメル」が高い評価を得た女性監督ナディーン・ラバキー。彼女はレバノンで生まれ育ち、中東の貧困と移民問題を描くことが特徴的。カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門の審査委員長をするなど映画界でも注目を集めている。

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今作の注目すべきところはキャスティング。基本的には実際に同じような境遇にあった人物をキャスティングしている。主人公を演じるゼインは、シリアに生まれ育ち、内戦によってレバノンに逃れた。その後、国連難民機関の助けを借りてノルウェーへ移住したという、14歳にして壮絶な生い立ちを持つ。彼はベイルートで監督の目に留まり、そのカリスマ性が見抜かれ、主人公役に抜擢された。

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また当時1歳でヨナス役を演じたボルワティフは、母親を失うシーンを撮影していたところ、実際の両親が逮捕されてしまう。監督や撮影陣は、彼らを解放させてほしいと公安機関に訴えかけ、父親はナイジェリアへ、母親とボルワティフはケニアへ帰国することとなった。実際にこういった背景を持つ彼らだからこそ表現できる、人の心に訴えかける作品になったことは間違いない。

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演じている人たちはほとんど噓偽りなく、自分自身を演じているに等しく、限りなくドキュメンタリーに近いフィクションである。同じ現代で起きている貧困という現実に、日本にいる私たちはどうすればよいのか。考えさせられる作品である。


《あらすじ》
わずか12歳で、裁判を起こしたゼイン。訴えた相手は、自分の両親だ。裁判長から、「何の罪で?」と聞かれたゼインは、まっすぐ前を見つめて「僕を産んだ罪」と答えた。中東の貧民窟に生まれたゼインは、両親が出生届を出さなかったために、自分の誕生日も知らないし、法的には社会に存在すらしていない。学校へ通うこともなく、兄妹たちと路上で物を売るなど、朝から晩まで両親に劣悪な労働を強いられていた。唯一の支えだった大切な妹が11歳で強制結婚させられ、怒りと悲しみから家を飛び出したゼインを待っていたのは、さらに過酷な“現実”だった。果たしてゼインの未来は―。

【スタッフ】
監督:ナディーン・ラバキー
製作:ミヒェル・メルクト、ハーレド・ムザンナル

【キャスト】
出演:ゼイン・アルラフィーア、ヨルダノス・シフェラウ、ボルワティフ・トレジャー・バンコレ、カウサル・アル・ハダード、ファーディー・カーメル・ユーセフ他
配給:キノフィルムズ

公式HP:http://sonzai-movie.jp

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